古い住宅の電気は「単相2線式」に注意!アンペア増量には工事が必要

だいたい築40年以上の築古物件には、電気が「単相2線式」で引きこまれているケースが多くあります。

上記の写真は、今は弊社で民泊を運営している、築40数年の戸建物件に付いていた分電盤です。見た目から古さが分かると思いますが、これが単相2線式で、回路も四つしかありませんでした(足りないので、右側に誘導灯用の回路が増設されていました)。

単相2線式の何が悪いかと言うと、基本的に契約電力は30アンペアよりも上げられないという点です。2DK・約50㎡程度のマンションまでであれば30アンペアでもさほど問題はないでしょうが、IHヒーターを使う場合や戸建の場合には不足だと言えます。

事実、弊社で民泊を運営してからも、30アンペアの状態だと、何度か「ブレーカーが落ちた!」とゲストから苦情が来ました。特に真冬だったことやIHヒーターを導入していることもあり、当然にブレーカーが落ちてしまうので、早々に単相3線化工事を手配しました。

単相2線⇒3線化にはお金がかかる!

単相2線式の分電盤がある物件で40アンペア以上を確保しようと考えた場合、単相3線式に変更する電気工事が必要になります。弊社では単相3線式に変更し、50アンペアで契約しようということで、電気工事業者さんを手配し作業してもらいました。

単相3線化工事の相場は、Webで調査したところ約10万円程度です。弊社ではそれより若干安い価格で施工してもらえましたが、それでも痛い出費です。しかし背に腹はかえられません(賃借物件の場合でも、借主負担の工事とするケースが一般的のようです)。

アンペア増設には時間もかかる

工事当日は現場で終日立会を行い、ブレーカーを交換してもらいます。ブレーカーを交換したからといって、まだアンペア数を増量できたわけではないのですが、使用できる回路は一気に8回路まで増えたため、エアコンの専用コンセント増設なども出来るようになりました。

実際にアンペア数の増量を完了するには、ブレーカーを交換した後日に行われる電力会社の工事も必要です。その工事を経てようやく50アンペアを使用できるようになるのですが、弊社はここでトラブルに遭遇しました…。

どうも対象の物件は電気の引き込み方が特殊で、電力会社の他に鉄道会社などにも工事の許可を取る必要があるとのことで、結局ブレーカー工事から電力会社の工事完了までには3ヶ月も待たされることになってしまいました。

その間は真冬の寒さを30アンペア契約で乗り切らなければならず、暖房を使うにも心許ないため、上記のようにブレーカーが落ちたという苦情をゲストから何度か貰い、レビューに悪影響を受けてしまったのです。

通常であればブレーカー増設工事から2~3週間程度でアンペア増量まで完了するようですが、例えば線路沿いにある物件などでは、弊社のように長引いてしまう可能性が出てくるため、あらかじめリスクを考慮して計画を立てると良いでしょう。

余談:古民家ではより大掛かりな電気工事も必要かも

古い住宅によくある単相2線式のデメリットについてお話ししましたが、余談として、さらに築年の経過した物件でたまに見られるのが「布被覆の電線」や「シーリングではない照明コンセント」です。

布被覆の電線には発火の危険性が高いため禁止されているものもあったり、シーリングがなければ現代の照明機器が設置できなかったりするなど、そのままでは使用に難があるため、家じゅうの電気配線を取り替えなくてはならないケースもあります。もちろんブレーカーのみの工事よりも金額がかさみます。

リノベーションの手が入っていない古民家を活用する際には、かなりの投資額(場合によっては取得や開業を諦めざるを得ない程度)が必要であることは覚悟しておきましょう。

※関連記事:古民家で民泊をする際の注意点、内覧時のチェックポイントは?

まとめ

築40年を超える物件は、分電盤が単相2線式かどうかをチェックしておくと良いでしょう。現代の生活習慣では40アンペア以上はないと厳しいことが多いため(特に民泊などの場合)、できれば3線式となっている物件を選びたいところです。

また、さらに築年の古い物件の場合は、電線自体の張り替えやシーリングの設置工事などの費用も発生する可能性があるため、くれぐれも注意が必要です。

なお、電気工事は資格がないと行えず、電気工事士でない方のDIYは違法になりますので、安くて良さそうな電気工事業者さんを見つけてお願いしましょう。

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