民泊用の売り物件を選ぶ際のポイントは?出口戦略も踏まえて解説

民泊は賃貸物件で営業するスタイルが主流ですが、自身で物件を購入して営業する方法もあります。その場合、良い不動産を見極める能力が賃貸以上に必要となりますが、将来的に売却益も狙えるため、トータルで高い収益を狙うこともできます。

この記事では、民泊用の物件を購入する際にどのようなポイントを見れば良いかについて、それぞれ簡潔にまとめてお伝えします。

3種類の利回りがどのくらいか

収益物件を購入する際に最も大切なのは収益性です。通常の投資用物件であれば、賃貸に出した際の表面利回りと詳細な想定収支から判断するでしょうが、民泊用物件を購入する際には、以下の通り合わせて3つの視点で収益性を評価すると良いでしょう。

事業利回り

「事業利回り」は、自身(もしくは代行会社)で民泊を営業した場合の収益性を表すもので、「1年間の想定粗利益÷(物件購入費用+民泊開業費用)」で求めるものと定義します。

例えば、1年間に120万円の粗利が出る想定の物件を、諸費用含め総額500万円で購入し、民泊の開業のために300万円かけたとすると、「120÷(500+300)=0.15」、つまり15%の事業利回りとなります。

なお粗利益(=売上総利益)は、売上(宿泊費+清掃費+その他の売上)から、清掃費・OTA手数料・運営代行費用・減価償却費・消耗品費・水光熱費・ネット代・その他経費といった売上原価を差し引いて求めます。

民泊賃貸の利回り

民泊可能物件として賃貸に出した際の実質利回りも見ておきたいポイントです。

民泊用賃貸は住宅としての貸出に比べて好条件でテナント付けを狙えたり、テナント側で消防設備の導入やリノベーションといったバリューアップを期待できたりする一方、保険料や固定資産税等の増額(旅館業の場合)といったリスクもあります。

住宅賃貸の利回り

また、通常の住宅用賃貸に出した場合の利回りも考慮する必要があります。住宅はとにかく収益に安定感があるため、収支計画を組みやすく、よほどの田舎でない限りは賃借人を見つけてある程度の家賃収入を得られる期待があります。

住宅としても回せる物件であれば、いざ民泊が立ち行かなくなった際の非常に有効なリスクヘッジ手段が確保できるため、住宅用賃貸の採算性は重要なポイントと言えます。

売却益を狙えそうか

不動産を購入する際は、売却益(キャピタルゲイン)を狙えるかどうかも重要な視点になります。例えば、土地の相続税路線価以下の価格で土地建物を購入できる場合がありますが、その際には建物をリノベーションしてバリューアップすることで売却益を期待しやすくなるでしょう。

売却益を狙える物件を見極める基本的なコツは「相場より安いか」「土地の担保価値が売値に見合うか」「建物をリノベーションしたら、賃貸利回りは何%期待できるか」「減価ポイントはどれか」といった要素を確認することです。

良い物件を見つけるには相応の審美眼が必要になるため簡単ではありませんが、売却益にこだわって探せば失敗する可能性は大きく減らせるかもしれません。

水回りのグレードと状態

トイレや浴室、キッチンといった水回りは改修に費用がかかる一方で、民泊ゲスト・住人ともに与える影響が大きいポイントです。新しく清潔で快適な状態であるほど与える印象は良くなりますが、古くて機能性が低ければ、レビューに強い悪影響を及ぼしかねません

浴室は昔ながらの造作風呂は望ましくなく、なるべく新しいユニットバスが入っている物件を選ぶのが無難です。また、トイレは水洗・洋式であることが欠かせません。キッチンは物件により重要度が変わりますが、古いワンルームタイプや公団タイプの場合は塗装やシート施工などで見栄えを良くしたほうが良いでしょう。

その他、築古の物件では水漏れや配管の劣化、カビやシロアリの発生といったリスクも見逃せません。欠陥がないかどうか、あった場合には修繕にどれくらいの費用がかかりそうかを冷静に確認する必要があります。

旅館業許可取得が可能か

旅館業法の許可が取れる物件は、そうでない物件よりも収益を確保しやすいため価値があります。以下のポイントも含めて、できれば行政書士や一級建築士などのプロと一緒に確認すると良いでしょう。

用途地域

旅館業を取得できる用途地域は限られています。詳細は「民泊をする際は「用途地域」に注意!開業できるエリアや調べ方を解説」に記載していますが、以下の用途地域に該当する必要があります。

  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 用途地域無指定の地域
  • 都市計画区域外
  • 特別用途地区の指定により営業が可能な地域

接道要件

旅館業物件は住宅と異なり「特殊建築物」に該当します。特殊建築物とは、不特定多数の人の出入りが生じる用途(旅館・ホテルや店舗、共同住宅、集会所など)で使用される建物のことで、通常よりも厳しい建築要件が課せられます。

中でも工事で解決することが困難な問題が「接道要件」です。原則として特殊建築物は、建築基準法上の道路に4m以上接していなければならないため、接道幅が2mの旗竿地などでは旅館業許可を取得することはできません。

隣地を購入して一つの土地に合筆できるケースはまれなので、土地の接道状況については必ず確認しておきましょう。また、上記の接道要件は基本的に都道府県の建築安全条例で細かく規定されているため、こちらも確認が必要です(東京都は他道府県より厳しめでした)

近隣住民の感触が悪くないか

民泊で懸念すべきは近隣住民からのクレームです。ゲストが夜中に騒いだり、ゴミを路上に投げ捨てたりすることでトラブルになるケースは、かつてニュースでも多く取り上げられましたが、そのようなゲストの悪行によって営業を停止せざるを得ない状況になることもあります。

また、上記のニュース等を繰り返し見たことで、民泊など無人営業の宿泊施設に対して悪い印象を持つ人は多くいます。そのため、気に入った物件を購入する前に、出来るだけ近隣住民と会話し、民泊に強く反対する人物がいないかどうかは確認しておきましょう。

反対派の住民が近隣にいると、クレームやトラブルに発展する可能性が高くなり、後々自身の首を絞めることになります。保健所や警察は事業者を守ってはくれません。慎重に調査しましょう。

その他、物件選びのポイント

他にも、私が物件を選ぶ際に重視する主なポイントを紹介します。

擁壁

擁壁のある物件には注意が必要です。建て替えの際に大きな造成費用が発生する可能性があったり、建物の傾きの原因になったり、擁壁の崩落により多大な損害が損じる(しかも保険は原則利用不可)リスクがあったりするほか、それゆえに大きな減価要因ともなるためです。

建築確認を取得しており、適法性や耐久性に問題がないことがわかる擁壁であればまだしも、そうでない物件の場合は慎重にリスクを精査して判断する必要があります。

なお、擁壁が施工されていない法面(傾斜地)が売買対象地に含まれている場合も同様に注意が必要です。

ハザードマップ

浸水、津波、土砂災害の危険性を表すハザードマップに物件が掛かっていないかもチェックすると良いでしょう。警戒区域等の指定があると災害リスクが増えるほか、物件の減価要因になったり、土砂災害特別警戒区域の場合には再建築等に制限がかかりコストが上がったりしてしまいます。

特に、南海トラフ地震による津波で壊滅的な被害が出ると見込まれている地域(静岡・愛知・三重の沿岸部など)は軒並み人気が下がっており、物件価格が大きく下落しているので、そのように色々な意味で危険なエリアの物件には手を出さないのが無難です。

躯体の損傷

基礎のひび割れや大黒柱などの蟻害がある、屋根に穴が開いているなど、建物の躯体、つまり主要な構造部の損傷具合も注意すべきポイントです。修繕に大きなコストがかかったり、そもそも修繕できなかったりするリスクがあり、かつ欠陥を放置してしまうと建物の倒壊など重大な事故に繋がりかねないからです。

築古で状態の悪い戸建物件などは安価に買えるため、掘り出し物も散見されますが、躯体がイカレている物件は避けるのが賢明です。建物に明らかにわかる傾きがあった場合は特に注意しましょう。

最低限、シロアリが巣食っていないか、柱や梁が食い荒らされていないか、基礎に危険なひび割れがないか、地盤沈下が深刻でないか、といったポイントは確認すべきでしょう。

まとめ

民泊用物件を購入する際は、3つの観点から収益性を評価したうえで、その物件を購入するとどれくらいの出費が必要そうかや、リスクはどこにあり、ヘッジは可能かどうかといった点で検討すると良いでしょう。

基本的には「民泊運営で収益を得られて、さらに売却益も狙える物件」が理想なので、相場より安価で致命的な欠陥がない戸建や区分マンション(民泊が禁止されていないか、管理規約の確認が必須)を購入し、きれいに改修工事を行ってバリューアップを図る戦略が王道です。

物件の精査は押さえるべきポイントが多いため簡単ではありませんが、焦らずじっくり、不動産や建築の知識を学びながら選んでみてください。

※なお、弊社では民泊用候補物件のレビュー・セカンドオピニオンのご相談は無償で承っております。お気軽に代表すずきまでご連絡ください。賃貸・売買いずれの物件もご相談可能です。

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