宿泊者名簿という言葉を聞いたことがありますでしょうか。旅館業法に基づいて営業している日本の宿泊施設は、必ず宿泊者名簿を宿泊客に記入してもらわなければなりません。あなたもホテルなどに宿泊した際、最初にフロントで氏名や職業などを書いた記憶があるでしょう。
では、民泊施設には宿泊者名簿の記入義務があるのでしょうか。今回はそれについて解説していきます。
民泊にも宿泊者名簿の記入義務あり
民泊新法・旅館業法の区別によらず、またスタッフ(事業者)が施設内に滞在していても不在型でも、宿泊者名簿をゲストに記入してもらうことは法律上の義務となっています。
宿泊者名簿に決まった形式はなく、紙でもデータでも可能ですが、以下の内容は盛り込んでおく必要があり(自治体によって若干異なります)、3年間の保存も必要です。
- 宿泊開始日
- 開始時刻
- 宿泊終了日
- 終了時刻
- 宿泊日数
- 宿泊者の種別(代表者or同行者)
- グループ識別(一組を識別できる情報)
- 宿泊者氏名
- 住所
- 職業
- 国籍
- 旅券番号(外国籍のゲストのみ)
なお、外国籍のゲストは、パスポートのコピーを提出することにより、旅券番号などいくつかの項目の入力を省略することが可能です。
宿泊者名簿の記入依頼を怠るとどうなる?
旅館業法においては、宿泊者名簿を備え付けていない場合、50万円以下の罰金に課されると規定されています。民泊新法では同様に30万円以下の罰金が課されています。
何かのタイミングで保健所から宿泊者名簿の提示を求められる場合があり、その際に提出ができなければ、罰金を払わなければいけなくなったり、行政指導が入ったりする可能性があるため、必ず宿泊者名簿の記入をゲストに依頼してください。
宿泊者名簿を記入してもらう手段
スタッフ不在の施設でどのように宿泊者名簿を記載してもらうか、その手段をまとめました。
紙面を施設内に置いておく
玄関やリビングなどに印刷した宿泊者名簿の用紙とペンを置いておき、ゲストに記入してもらう形式です。記入後はそのまま施設内に置いてもらい清掃時に保管したり、ゲストに所定の場所へ入れてもらったりします。
伝統的な手段でホスト・ゲストとも馴染みやすいとは言えますが、情報を整理するのに手間がかかるため、あまりお勧めはしません。
Googleフォームを事前送付する
弊社では無料のGoogleフォームを使用して宿泊者名簿を作成し、ゲストに事前送付して記入してもらう形をとっています。無料でありながら非常に使い勝手が良く、回答の一覧表示も出来るため、記入漏れが簡単にチェックできるほか、住所一覧を確認すればどのエリアから来るゲストが多いのかも簡単に調査できます。
ただし、Googleフォームのみでは宿泊者名簿を備え付けたと認めない自治体もあるため、その場合は紙も現地に用意しておくか、チェックイン専用のツールを導入するなどで対応しましょう。
チェックインツールを使う
費用はかかりますが、最も便利なのはチェックイン専用のツールを使用することです。フォーム形式での宿泊者名簿の入力機能のほか、ゲストが1タップでホストと通話ができる機能や、パスポートの撮影アップロード機能などが搭載されています。現地にタブレットを用意して、そのタブレットでツールを常時起動しておくケースが一般的です。
名簿の記入が完了次第、自動で暗証番号を送ったり、名簿を御記入のゲストに催促を送ってくれたりする機能も用意しているものがあり手間がかからない点が大きなメリットです。
まとめ
宿泊者名簿は日本独特の規定ですが、感染症の蔓延や犯罪の防止といった観点から必要になるものであり、ホストにとってもゲストの個人情報を取得できるため、安全性を向上できます。
民泊でも宿泊者名簿の記入は義務となっているため、何らかの手段でゲストには必ず記入してもらうようにしましょう。また住所や職業といった情報を分析することで、どのような人から予約が入っているかを確認することも可能なため、マーケティング上もメリットがあります。
もれなく宿泊者名簿を用意してゲストに記入してもらうようにしてください。