不動産収益向上の武器「民泊用賃貸」のメリットと注意点

「駅徒歩10分以上の物件が決まらない」「築年数が古く、リフォームしても家賃が上げられない」「外国人入居希望者が増えているが、トラブルが不安で断っている」

不動産オーナー様、管理会社様において、こうした悩みは尽きないことと思います。人口減少により「住む人」が減り続ける日本において、従来の居住用賃貸一本での経営は、長期的に「賃料の値下げ競争」へと向かいかねません。

しかし、視点を変えれば、そこには巨大な需要がまだ存在しています。その一つが「民泊事業者への賃貸」です。「民泊を運営すれば賃貸より高い収益が得られる」と聞いたことのある方もいるかもしれませんが、運営の手間などの懸念で参入できないことも多々あるでしょう。しかし、賃貸する形であれば、手間なく収益向上を狙えるのです。

本記事では、自ら民泊運営のリスクを負うのではなく、「民泊運営者に物件を貸す」ことで、居住用相場以上の安定収益を得る手法について解説します。

1. なぜ「民泊用」に貸すと賃料が上がるのか?

最大のメリットは、居住用相場よりも高い賃料設定が可能になる点です。なぜ、民泊事業者は高い家賃を払ってでも借りてくれるのでしょうか。

「居住用相場」と「宿泊用相場」の差異

答えはシンプルです。民泊事業者は、借りた物件で「宿泊事業」を行い、高い収益を上げるからです。

  • 居住用賃貸の論理:借主の「(給与)収入」が家賃の上限。相場は上下幅が緩やか。
  • 民泊賃貸の論理:事業が生み出す「利益」が家賃の原資。インバウンド需要により上限が高い。

例えば、月額家賃10万円が相場のマンションでも、民泊として稼働させれば月30〜40万円の売上を作ることが可能です。そのため、事業者は相場より2〜3割高い家賃(例:12〜13万円)を支払っても十分に採算が合います。

民泊営業可能な物件の希少性

加えて、民泊の営業が可能な賃貸物件は非常に少なく、例えば新宿区や大阪ミナミなどの宿泊需要が非常に高いエリアにおいては、民泊事業者によって熾烈な取り合い合戦が繰り広げられています。

さらに、民泊など宿泊営業を行うには、基本的にテナント側で消防法などの規定をクリアするための改修を行い、保健所から営業の許認可を取得しなければなりません。物件によっては必要な投資額が過大になるものも珍しくなく、それも「民泊として収益が期待できる物件」の競争激化に拍車をかけています。

これらにより、住宅の賃料相場とは顕著にかけ離れた賃料でも、民泊用途で借り手が付くケースは珍しくないのです。

貸主側のコスト負担分の転嫁

一方、民泊は事業用賃貸となるため、居住物件用の火災保険は一般的に利用できなくなります。また、土地の固定資産税に対する住宅用地減免が解除されるケースもあります(最大で現状の6倍の税額に)。こうした貸主側の負担分も賃料に転嫁される解釈となりますので、この点についてはあらかじめ留意頂く必要があります。

2. 「一般入居者」vs「民泊事業者」。貸主にとってのメリット比較

民泊事業者への賃貸は、単に賃料が高く取れるだけがメリットではありません。例えば以下のようなものがあります。

比較項目 一般的な住宅賃貸 民泊事業者への賃貸
契約形態 普通借家契約が多く、貸主からの解約は困難 事業用定期借家契約が可能
(契約終了が確実。賃料増額交渉も優位)
室内の状態 退去まで数年間ブラックボックス。
ゴミ屋敷化のリスクあり
月に何度もプロが清掃。室内が綺麗に保たれる
テナント側が改修工事を行うため、貸主負担なくバリューアップも期待できる

原状回復トラブルからの解放

一般賃貸で最も揉めるのが退去時の原状回復です。しかし、民泊事業者は「内装を作り込んで価値を高める」ことが仕事です。多くの場合、退去時には事業者が設置した高付加価値な設備や内装を「造作譲渡」として残してもらう交渉も可能であり、次の入居者募集(または売却)において有利に働きます。

民泊以外の事業用賃貸との比較

民泊と同様に、店舗や事務所といった用途では住宅よりも高い賃料を期待できます。しかし、それは「経済的メリットがある」と判断される場合のみ。つまり、需要がない物件では、そもそもテナントが付きにくいし、付いたとしてもアップサイドは見込みにくいのが現実です。

そして、民泊の特徴は「住宅を活用して運営される宿泊施設」であること。つまり、店舗や事務所としての需要が低い立地や構造であっても、高い賃貸需要を持つ物件が多く存在するというわけです。

駅から徒歩で10分ほど歩いた住宅地の路地にある戸建に高い賃料を払ってまで、わざわざ店舗や事務所を構えたいと思う事業者は少ないでしょう。しかし、もしその物件の最寄り駅から新宿などの人気エリアに10分以内でアクセスできるような立地だとしたら、民泊用に借りたい事業者は思った以上に多くいるものです。

3. 懸念点の解消:近隣トラブルや汚れはどうなる?

しかし、オーナー様や管理会社様が民泊用に物件を賃貸するにあたって最も懸念されるのは「不特定多数の宿泊客が出入りして、建物が荒れるのではないか、クレームの嵐になるんじゃないか」という点でしょう。しかし、これは「誰に貸すか(どの業者を選ぶか)」でコントロール可能です。

プロの事業者は「トラブル=事業停止」のリスクを知っている

弊社含むプロの民泊運営会社にとって、近隣クレームは事業継続に関わる致命的なリスクです。そのため、小規模(副業レベル)運営者に比べて、豊富な運営経験に基づいた厳格な管理体制を敷いていることが一般的です。

  • 緻密なハウスルールの作成と周知徹底:騒音等の防止に効果的なハウスルールや貼り紙の作成
  • トラブルを起こさせない設計:防音対策や集積所へのゴミ投棄などをさせない仕組みの構築
  • 宿泊客の管理徹底:宿泊者名簿や通話での身元確認、早朝深夜も常時連絡を取れる体制の構築
  • 営繕管理体制の構築: 利用後の清掃のつど破損・汚損を確認し修繕。業者手配もスムーズに

こうしたトラブル防止への取り組みを努力している事業者であればあるほど、一般的に民泊が引き起こすと思われている騒音やゴミ出し等のトラブルの懸念は低くなります(もちろんゼロには出来ませんが)。

4. 不動産会社が民泊賃貸を提案すべき「物件の条件」

全ての物件が民泊に向いているわけではありません。前提条件として「宿泊需要が高いエリア」であればあるほど、民泊用賃貸のメリットが大きくなります。東京、大阪、京都など主要大都市の都心部や、箱根、熱海、軽井沢、ニセコ、沖縄などのリゾート地、そして札幌、金沢、別府などの人気観光エリアなどがそれに当てはまります。

そうしたエリアでは、「居住用としてはマイナス評価」な物件が、民泊市場では「お宝物件」に化けることもあります。

居住用賃貸では不利だが、民泊なら有利な例

  • 駅から遠い(徒歩10分〜): 団体客はタクシー移動が多いため、広さがあれば駅距離は許容されやすいと言えます。レンタカーを利用する宿泊客も多くいます(外国人でも!)
  • 店舗・事務所併用住宅: 事業用部分も民泊の一室として改装・利用できるため、併用住宅に比べて賃貸の門戸が大きく広がります。
  • 築古物件: 特に旧耐震の物件は嫌気されがちで賃料も取りづらいですが、民泊用途だとあまり気にされない傾向があります。
  • 歓楽街にある物件: 民泊でもお客は選びますが、高い利便性のため民泊用物件としては「立地条件が良い」と判断されます。

こうした物件を抱えているオーナー様に対し、「家賃を下げて募集しましょう」ではなく、「事業用(民泊用)として、家賃を上げて貸しませんか?」と提案できることが、これからの不動産会社においては強みになるでしょう。

5. 結論:不動産収益向上に「民泊用賃貸」の選択肢を

「民泊」はもはや一部の事業者がやるブーム的な事業ではなく、オフィスや店舗と並ぶ「不動産の正当な運用使途」の一つです。大手デベロッパーと大手外資系ホテルが組んで新築の建物に一流ホテルを展開する動きを最小化したものが、民泊用途での賃貸であるとも言えるのです。

保険料や固定資産税といった必要経費が上昇する点、クレームや建物の劣化といった懸念を抱える事業者様も多いですが、それらは高い収益性と賃貸先のスクリーニングによってカバーができます。特に収益性に関しては、宿泊需要の高いエリアでは大幅な上昇も見込めます。

民泊用途で賃貸するか、居住用のまま貸し出すかの最も重要な判断要素は、「どれだけ収益がアップするか」に尽きます。弊社は複数施設の運営経験及び宅建業者としての知見から「民泊用賃貸としてどれくらいのメリットがあるか」を正確に判断できるほか、両社にメリットのある条件にてお借上げすることも可能です。ご関心がございましたらお気軽にお問合せフォームよりご連絡ください。

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