不人気物件が民泊用途の賃貸で人気になる可能性(事例あり)

「駅から徒歩15分以上あり、内見すら入らない」
「築年も内装も古い戸建が長らく成約しないが、リフォーム費用を考えると採算が合わない」
「部屋数が多すぎて、単身者もファミリー層もターゲットが絞りきれない」

不動産経営において、こうした「癖の強い物件」は頭痛の種です。賃料を下げて募集をかけ続けるか、多額の費用をかけてフルリノベーションするか、売却損を覚悟で手放すか…。

しかし、その悩みは「居住用賃貸(住む家)」という物差しで測っているから生じるものかもしれません。視点を「民泊」に変えた瞬間、そのデメリットは強力な武器に変わる可能性もあるのです。

本記事では、一般賃貸市場で「不人気」とされる物件が、なぜ民泊市場では「高稼働・高単価」に化けるのか、そのメカニズムと実際の事例を紹介します。

1. デメリットをメリットに変える「価値転換」

インバウンド(訪日外国人)やグループ旅行者が求めているのは、「便利な寝床」ではなく「日本ならではの体験」や「仲間と過ごす時間」です。このニーズのズレが、物件評価の逆転を生むことがあります。

物件の特徴 居住用市場での評価(×) 民泊市場での価値(◎)
駅から遠い 通勤・通学に不便。
家賃を下げないと決まらない。
「静寂な隠れ家」
タクシーやレンタカー利用で一定の需要あり
「住むように泊まる」体験が好感されることも
築年数が古い 設備が古い、耐震性が不安。
若者に敬遠される。
「ジャパニーズ・レトロ」
畳、障子、縁側は外国人にとって魅力的
古民家好きの日本人ニーズも一定数あり
広すぎる
(5LDKなど)
核家族化で持て余す。
掃除が大変、光熱費が高い。
「グループ客の受け皿」
大家族や友人グループに人気
(ホテルだと部屋が分かれるうえ高額になりがち)

特に「広さ」は強力な要素です。日本のホテルは狭く、5人以上で泊まれる部屋は顕著に不足しています。「駅から遠くてもいいから、家族8人全員で同じリビングで過ごしたい」という需要は、皆様が想像する以上に存在するものです。

2. 「一等地」じゃなくても勝てる。民泊のエリア戦略

「民泊=新宿、渋谷、浅草」のように、限られた一部の人気エリアでしか成立しないとお考えの事業者様もいらっしゃることでしょう。確かに都心部は高い宿泊単価が見込めますが、宿泊施設の競合も多く、仕入れ値(物件価格・家賃)も高騰しています。

しかし実は、以下のような「ニッチなエリア」にも確実な市場が存在します。

  • 空港へのアクセスが良い住宅街:
    「早朝フライトの前泊」「深夜到着の寝床」として、蒲田や川崎、成田など空港近辺の需要は底堅いものがあります。
  • テーマパーク周辺:
    ディズニーリゾートやUSJ、ジブリパークなどの周辺は、ホテル代が高騰するため、電車や車で20〜30分圏内の民泊が「安くて広い代替手段」として選ばれます。
  • ニッチな文化施設や病院の近く:
    長期滞在の通院患者家族や、特定のイベント(コミケ、スポーツ大会)会場周辺など、特定の目的を持った層にピンポイントで刺さります。
  • 主要観光地の近く:
    箱根観光のために御殿場や小田原、富士山観光では河口湖などの人気エリアを離れ、ある程度交通便利ながらリーズナブルな宿を選ぶ層も少なくありません。

民泊にはこうした様々な需要があり、一見ただの「住宅街にある物件」が高い宿泊需要を持っている場合もあるのです。今一度持て余している物件の立地をこうした観点で振り返ってみると、民泊での賃貸に出すことで空室が埋められるかもしれません。

3. 【事例紹介】負動産が稼ぐ資産に変わった実例3選

実際に、賃貸ではなかなか決まらなかった物件が民泊として再生した事例をご紹介します(実際のケースからは情報をぼかしています)。

事例1:坂の上の「再建築不可」古民家

状況:車が入らない山中の細い路地の奥にあり、建替えもできない東京郊外の築50年の戸建。
転換:内装を和モダンにリノベーション(表層と水回りが中心)し、「東京の日常を暮らすように体験できる自然豊かな宿」としてリリース。
結果:階段や坂道も「アニメの風景のよう」と好評する宿泊客や、近隣への出張客を獲得。想定家賃5万円程度のエリアで、低単価ながらそれ以上の粗利益を出す月も。

事例2:190㎡、3階まで階段のみの巨大な元二世帯住宅

状況:人気駅に至近だが、広すぎる・エレベーター無し・そのままでは住めない現況で、住宅としての需要が乏しい。
転換:事業用賃貸として掲載し民泊で成約。テナントにて内装工事等を行い、大人数が宿泊できる宿泊施設として開業。
結果:大人数かつ多くの寝室数を求めるグループ客の評判を呼び、安定的な稼働を誇る。

事例3:店舗としても住宅としても弱い「店舗併用住宅」

状況:商店街の外れで集客力が弱く、長年シャッターが降りていた築古の店舗併用住宅(1階が元飲食店、2階が住宅)。
転換:店舗部分を日本独特な内装のダイニング部分に改装し、それをアイキャッチにした宿泊施設へ。
結果:日本の趣を楽しみたい外国人や、プロ仕様の厨房で料理を楽しみたい宿泊客などで人気に。

4. 居住用を上回る「高利回り」とテナント付けの優位性

こうした物件を民泊用途で貸し出す場合(または自ら運営する場合)、収益性の向上が期待できます。

「不人気」だからこそ、利回りが跳ね上がる

不動産投資の基本ですが、物件取得価格(または賃料)が安ければ安いほど、同じ売上でも利回りは高くなります。

駅遠や築古の物件は安く購入できるほか、戸建などの住宅物件は主に「土地としての価値」および「住宅としての建物価値」で価格が評価されます。しかし、宿泊需要の高い物件であれば、それらによって算出された売買価格だと「非常に割安」になるケースもあるのです。

結果として、表面利回り20%超えなど、通常の賃貸経営では考えられない数字が出るケースも珍しくはありません。※ここでの「表面利回り」は「粗利益÷売買価格」としたもの

「民泊事業者」という新たなテナント候補

また、民泊営業が可能な物件は供給が非常に限られており、宿泊需要の高いエリアの物件は多くの民泊事業者が常日頃から虎視眈々と探し続けています。

そのため、住宅用途での賃貸に加え、民泊営業が可能な物件としても賃貸に出すことで、より多くの引き合いを確保できるようになるのです。加えて、宿泊需要が高い物件ほど、住宅よりも良い条件で成約できますので、高い収益性が実現します。

注意点:保険料や固定資産税は上昇

ただし注意しておきたいのが、民泊用途での賃貸は住宅ではなく事業用と扱われるため、住宅用の火災保険が利用できなくなったり、固定資産税の1/6の減免が受けられなくなったりするリスクがあります。あらかじめこれらのコストがどれだけ増えるかを試算したうえで、民泊に賃貸する場合の契約条件を設定する必要があります。

5. まとめ:癖のある物件は民泊賃貸の検討を

なかなか空室が埋まらず売却も難しい物件にお悩みの際は、一度「民泊」というフィルターを通して物件を見直してみてください。そこには、今まで気づかなかった「宝の山」が眠っている可能性があります。

特に、「広い」「古い」「変わった間取り」といった特徴は、民泊においてむしろ武器になり、市場価値が大きく化ける可能性も秘めています。

弊社では豊富な民泊運営の実績を活かし、物件の借り上げや民泊に適した物件の目利き、リノベーション提案、そして民泊事業者への仲介やテナント付けのコンサルティングまで幅広く対応しています。

「所有している空き家が民泊で使えるか知りたい」「割安な投資物件を購入して民泊運用したい」などお考えの方はお気軽にご相談ください。不人気物件を収益物件に変えるための具体的な処方箋を提示いたします。

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