「民泊を始めたい・民泊のテナントを入れたいが、近隣住民からクレームが来ないか心配だ」「外国人がゴミを分別せずに捨てて、地域やマンションの管理組合で問題になるのが怖い」
不動産オーナー様や管理会社様からご相談をいただく際、必ずと言っていいほど挙がるのがこの「運営トラブル」への懸念です。ニュースなどで報じられる一部の悪質な民泊のイメージから、「民泊=無法地帯」という印象をお持ちの方も多いかもしれません。
しかし、結論から申し上げます。適切な管理体制を敷いているプロの運営物件において、トラブルの発生率は一般的な店舗用賃貸物件と変わらないか、むしろ低く抑えることもできます。
本記事では、私たち民泊運営のプロが現場で実践している「トラブル防止の具体的なノウハウ」を公開します。
目次
1. 入居審査とは違う「ゲストフィルタリング」の仕組み
賃貸契約では、保証会社や収入証明による「属性(支払い能力)」の審査がメインですが、民泊では宿泊客の「行動(マナー)」の審査が重要になります。
相互レビューシステムによる自浄作用
民泊の集客における主要プラットフォーム(OTA)であるAirbnbには、ホストとゲスト(運営者と宿泊客を指します)がお互いを評価する「相互レビューシステム」があります。
過去に騒音などのトラブルや施設の破損・汚損を起こしたゲストには低い評価がつきます。私たちは予約を受け付ける際、この過去のレビューを厳格にチェックし、トラブルに繋がる可能性の低いゲストのみを受け入れるよう注意を払っています。評価の低いゲストやレビューのない新規アカウントからの予約を制限する設定も可能です。
厳格な本人確認(パスポート提出)
日本の法律(住宅宿泊事業法・旅館業法)により、宿泊者全員の宿泊者名簿作成と本人確認が義務付けられています。私たち運営者は、予約時やチェックイン時にパスポートや身分証明書のデータおよび、宿泊者名簿にて個人情報を取得したうえで、宿泊者の入退室の遠隔監視などで本人確認を行っています。
そのため「誰が泊まっているか分からない」という状態は、基本的にプロの運営現場ではまず発生しないのです。
2. 「ゴミ出し」はゲストにさせない
近隣トラブルで最もよくある原因の一つが「ゴミ出し」です。しかしプロの運営者は、「ゲストにはゴミ出しをさせない」という運用を徹底します。
事業系ゴミとして民間回収業者が処理
民泊から出るゴミは、法的には家庭ゴミではなく「事業系一般廃棄物」として扱われます。そのため、無断で地域のゴミ集積所に出すことはせず、清掃事務所から許可を得て専用のラベルをゴミ袋に貼付したうえで集積所に出すか、契約した民間のゴミ回収業者が物件まで直接回収に来るスキームを組みます。
- ゲストへの指示:「ゴミは街やマンションの集積所には捨てず、分別ラベルに従って室内のゴミ箱にまとめて置いておいてください」と伝えます。集積所への投棄は違法であることも理解していただきます。
- 回収の流れ:チェックアウト後に清掃スタッフがゴミを回収・分別し、バックヤードや専用ストッカーで保管。その後、回収業者が定期的に搬出します。
この運用をきちんと行うことで、地域の集積所が汚れることはなくなり、近隣住民の方々に迷惑をかけるリスクは根絶されます。
3. 騒音・パーティを未然に防ぐ「IoTテクノロジー」
「宿泊客が夜中にパーティをして騒ぐのではないか」という懸念に対しては、事前の注意喚起の徹底に加え、テクノロジーを活用して遠隔監視・予防も行います。
IoT騒音センサーの設置
室内に、プライバシーに配慮した(会話内容は録音せず、音量デシベルのみを検知する)騒音センサーを設置する場合もあります。設定した基準値を超える音量が一定時間続いた場合、即座に運営チームにアラートが飛びます。近隣からクレームが入る前に、運営側からゲストへ「声が大きすぎます。静かにしてください」とメッセージや電話で警告を入れることが可能です。
玄関カメラによる人数確認
玄関外部に防犯カメラを設置し、入室人数を確認します。「2名で予約したのに、実際は10名で入室してパーティをしている」といった不正利用をリアルタイムで検知し、即時退去などの厳しい対応をとることができます。
4. 国籍・文化の壁を越える「多言語対応」と「駆けつけ体制」
文化や習慣の違いによるトラブル(土足での入室、深夜のシャワーなど)についても、プロの運営者には大量の知見があるため、適切な案内や仕組みの構築を行うことでトラブルを防いでいます。
「禁止」ではなく「ルール」として視覚化
テキストだけの注意書きは宿泊客にはなかなか読まれません。そこで私たちは、イラストやピクトグラムを多用した「ハウスマニュアル」を多言語で用意し、視覚的に日本のマナーを伝えます。
- 靴を脱ぐ場所の明示
- 静かにすべき時間帯(22時〜翌7時)の明示
- トイレの使い方(紙を流して良いか等)
- 喫煙や電話の仕方
- ゴミ出し、清掃のルール 等
24時間365日の多言語コールセンターと緊急駆けつけ
それでもトラブルが起きた場合、最も重要なのは「初動」です。一般的な不動産管理会社は夜間や休日に連絡がつかないことも多いですが、民泊運営においては24時間365日対応が法令上の義務です。
- コールセンター:英語・中国語・韓国語など多言語対応スタッフが24時間常駐し、ゲストからの問い合わせや近隣からの連絡に対応します。
- 緊急駆けつけ:電話で解決しない場合(騒音が収まらない、火災報知器の作動など)、提携する警備会社や管理スタッフが現場へ急行します。
5. まとめ:よく管理された民泊なら大丈夫です
「民泊はトラブルが多い」というのは、個人が副業感覚で行っていた黎明期の話や、違法民泊が起こした事例がメディアに取り沙汰されたことで生じた、少々行き過ぎたイメージであると言えます。
プロの運営会社は、これまで様々なトラブルやクレームを経験し対処してきたことで、民泊の黎明期に比べて大きくレベルが上がっています。また個人事業者にも同様に理解が進んでおり、今や民泊を「トラブルメーカー」と捉えるにはそぐわない状況です。
「トラブルが怖いから」という理由だけで、住宅賃貸よりも高収益が見込める民泊という選択肢を捨てるのは、弊社からするともったいないことです。
弊社では、安心して自社の物件で民泊を運営したりテナントを入居させたりするためのアドバイスを、民泊運営会社兼宅建業者の目線から行えます。ご関心がございましたらお気軽にお問い合わせください。
