東京23区の民泊・旅館業条例まとめ。開業しやすい・しにくい区は?

民泊新法(住宅宿泊事業法)と旅館業法は、各自治体によって条例や条文解釈の違いにより規制が異なり、開業に必要な条件が変わります。そのため、自分が開業したい地域の要件はどのようになっているのか、開業までの難易度は高いか・そうでないかをあらかじめ把握しておく必要があります。

この記事では、民泊開業が最も多い東京23区について、各区の民泊新法・旅館業法の規制の概要をまとめています。開業するエリア選びのご参考にしてください。

※2022/4/17時点、弊社調査に基づく情報です。詳細は各自治体の関係各庁(保健所・消防署・区建築課など)にご確認ください。

23区の民泊新法(住宅宿泊事業法)の規制

民泊新法 上乗せ条例の概要
千代田区 家主滞在型or常駐で文教地区等・学校等周辺以外の地域は制限なし
その他地域は金土のみor営業不可
中央区 土日のみ営業可
港区 家主居住型は制限なし
住居専用地域・文教地区の家主不在型は営業期間に制限あり
新宿区 住居専用地域は金土日のみ営業可
共同住宅は住民と施設の動線を分ける必要あり
文京区 住居専用地域・文教地区は金土日のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
台東区 家主滞在型or常駐は制限なし
その他は土日祝・年末年始のみ営業可
墨田区 上乗せ条例なし
江東区 土日のみ営業可
品川区 商業地域・近隣商業地域(文教地区を除く)は制限なし
その他は土日のみ営業可
目黒区 金土のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
大田区 住居専用地域、工業地域は不可
世田谷区 住居専用地域は土日祝のみ営業可
渋谷区 住居専用地域・文教地区は営業期間に制限あり
中野区 住居専用地域は金土日祝のみ営業可
杉並区 住居専用地域での家主不在型は金土日祝、祝前日のみ営業可
豊島区 上乗せ条例なし
北区 上乗せ条例なし
荒川区 土日のみ営業可
板橋区 住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可(家主居住型は規制対象外の場合あり)
練馬区 住居専用地域は金土日祝、祝前日のみ営業可
届出の15日前までに近隣住民に通知が必要
足立区 住居専用地域は金土日祝のみ営業可(年末年始を除く)
葛飾区 上乗せ条例なし
江戸川区 上乗せ条例なし

民泊新法で上乗せ条例が存在しない区は「墨田区・豊島区・北区・葛飾区・江戸川区」の5つです。これらの区であれば営業しやすいといえるでしょう。民泊可能な物件も比較的出やすい傾向にあるほか、特に豊島区は宿泊需要が非常に高いエリアなので強い人気があります。

一方、宿泊需要が高いものの規制の厳しい区として「千代田区・中央区・台東区」などがあります。これらの区は旅館業法でもスタッフの施設内常駐を課されるため(後述)、無人型の宿泊施設を運営することは非常に難しいと言えます。

なお、羽田空港のある大田区には特区民泊制度があります。2泊3日以上の予約に限定されますが、180日規制が適用されませんので、旅館業法と合わせて取得を検討するのも良いでしょう。

23区の旅館業法の規制

旅館業 常駐義務 フロント設置義務 駆けつけ要件 鍵渡し
千代田区 あり あり 常駐 直接対面
中央区 あり あり 常駐 直接対面
港区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
新宿区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
文京区 なし なし 徒歩10分以内 直接対面
台東区 あり なし 常駐 キーボックス不可
墨田区 なし なし 徒歩10分以内 キーボックス不可
江東区 なし なし 徒歩10分以内 キーボックス不可
品川区 なし なし 10分以内 制限なし
目黒区 なし あり(施設外可) 10分以内 直接対面
大田区 なし なし 10分以内 制限なし
世田谷区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
渋谷区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
中野区 なし なし 10分以内 キーボックス不可
杉並区 なし なし 徒歩10分以内 制限なし
豊島区 なし なし 10分以内 直接対面
北区 あり あり 常駐 直接対面
荒川区 あり なし 常駐 直接対面
板橋区 なし なし 徒歩10分以内 直接対面
練馬区 あり なし 常駐 直接対面
足立区 あり なし 徒歩10分以内 制限なし
葛飾区 なし なし 徒歩10分以内 制限なし
江戸川区 あり なし 常駐 制限なし

旅館業法は民泊新法に比べて必要な要件が若干細かくなります。スタッフの常駐が必要な地域も複数あるため、スタッフ不在で営業しようと考える際には候補から除外する必要があります。

フロント設備は多くの区で省略することが可能ですが、ゲストのチェックインや鍵渡し、宿泊者名簿の記入などに漏れがないよう、常にカメラで監視し、かつ緊急時にはすぐ駆けつけられる体制を整えておく必要があります。

駆けつけ要件は区によって少々定義が変わり、徒歩10分以内を厳密に課す区(江東区など)もあれば、移動手段問わず10分以内なら構わない、とする区もあります。なお、スタッフがどこから駆けつけるのか、駆けつけのための運営体制はどのようになっているか、などを証明する書類の提出も必要になるため準備しておきましょう。

他にも、マンションの場合は「旅館施設とその他の住居部分の動線を別としなければならない」とする区もあり、その場合はマンションでの開業はほぼ不可能になります。

東京23区における旅館業許可取得の難易度は、区によって異なるものの、他の自治体に比べると全体的に厳しい傾向にあります。行政書士などのプロに依頼するか、よく調査しながら窓口担当者に相談して、慎重に進める必要があります。

まとめ

民泊新法・旅館業法ともに各区で条例が異なり、千代田区・中央区など民泊には非常に厳しい区もあれば、比較的スムーズに開業までこぎつけられる区もあります。民泊物件を探す際は、事前にこの記事も参考にしながらエリアを選定頂ければと思います。

なお、この記事で挙げた内容は条例改正などによって変わる可能性があるほか、細かい部分の判断は担当者によっても変わること、また保健所が比較的緩くても消防署と建築課は厳しいという可能性もあることなどから、あくまで参考程度に留めておいてください。

基本的には、候補物件が見つかったら行政書士を探し、事前相談を行って、許可が取れそうならお任せするという形を取るのが良いかと思います。民泊新法なら自身でも届出受理までは完了できるかと思いますが、平日の日中に動ける方でなければ厳しいと言えます。旅館業は個人で行うにはハードルが高いため、自身で許可を取得するのは苦労するでしょう。

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