コインランドリー投資の限界と、そもそも店舗いらないんじゃないか仮説

ふと思いついたことを頭の体操に書いていきます。

数年前にコインランドリー投資が不動産投資家を中心に流行しました。しかし、その多くは採算が合わないということで撤退したようです。

コインランドリーは不動産ではなく、あくまで「洗濯物を楽にするサービス」です。「儲かりますよ」という業者の甘言に乗った個人がその点を勘違いして、収支を精査せず多大なイニシャルコストとランニングコストを回収できず潰れていった印象を受けています。

投資判断において、想定収支を弾いて実利回りベースで検証するのは最低限必要です。投資用不動産業者には自社利益を優先する人達が多いので、投資家は彼らの甘言には乗らず、自分の頭で慎重に投資判断を行うことが必須となります。

 

さて、だまされた人達だけではなく、自分でしっかり事業性を検証してコインランドリーで稼いでいる人達もいるわけですが、参入している万人に共通するのは「稼ぎたいから」コインランドリーをやっている、という点です。

少なくとも「俺はコインランドリーに命を賭ける!コインランドリーLOVE!」みたいな人はまずいないんじゃないかと…。いたらすいません。

となると、稼ぎ方や金額、ライフスタイルにはよるものの、「とどのつまり稼げれば良いんでしょ?」というのが本質的な問いに近いものになります。

そこで浮かび上がった選択肢が、イニシャルコスト(実質的に)不要かつランニングコストが必ず売上未満に収まる「自宅の洗濯機貸したらいいんじゃね説」です。ジャストアイディアなので、以下書きながらザックリ検証してみたいと思います。

自宅の洗濯機を貸す、とはどういうことか

着想は今流行りのシェアリングエコノミーです。Airbnbです。

洗濯機って買うと高いじゃないですか。縦型なら中古で1万円を切るようなものもありますが、ドラム式となると中古でも5万円は出さないと買えません。しかも古いマンションとかだと、間取りや洗濯パンの都合で導入できないこともあるので厄介です。

ですが、ドラム式の自動で乾燥してくれる機能はめっちゃ楽です。我が家ではドラム式洗濯機を導入してから、毎週洗濯物を干して回収する手間と時間を削減することができています。特に忙しい子育て世帯や共働き世代にはおすすめです。

時間にして30分、そこに労力削減も加わるので、生活の効率もQOLもアップです。縦型だとそうはいきません。乾燥機能はおまけ程度なので結局干さなきゃいけませんからね。

そこで、もしコインランドリー投資に関心のある人が自宅にドラム式洗濯機を置いているのなら、近所の人から洗濯物を預かってそこにぶち込み、乾燥まで終わったら返却してお金を貰う形にすれば、リスクなく稼げるし、利用する側も楽になるのでは?という話になるのです。

ここで疑問に出るのは「コインランドリー行けばよくね?」という話ですが、これには以下のような課題があると考えています。

  • 近所にあるとは限らず、コストの観点から多くの新規出店は見込めない
  • 洗濯乾燥機がない店も多く、その場合洗濯終了後に乾燥機にぶち込む手間が大きい
  • 毎度現金を入れる必要があるのが面倒くさい
  • 古い店も多く、暑いし寒いし、衛生的に嫌悪感を覚える場合もある

つまり、「自宅の洗濯機を貸す」という行為が、上記のような課題を持つ「コインランドリーを利用すること」よりも便利だとユーザーが感じれば、投資家は超ローリスクでお小遣いを得られるビジネスモデルを構築することが可能になるかも、というわけです。

以下、本当にそれ可能性あるの?ということを検証していきます。

 

自宅洗濯機貸しのビジネスモデルは成り立つのか

コインランドリーが持つ上記4つの課題に対して、実際それらを解決するベネフィットは実現するのかを考えていきます。

 

近所にあるとは限らず、コストの観点から多くの新規出店は見込めない

近所にコインランドリーがない地域に住んでいて、ドラム式洗濯機を持っていれば解決すると思います。広告は近所に張り紙なりポスティングなりで、あまりお金をかけずに行えば良いでしょう。

ちなみにサービス(プラットフォーム)全体の話をすると、コインランドリーの出店よりコストが圧倒的に小さく、ドラム式洗濯機を持っている家庭の数も多いので、新規出店ペースの早さは比にならないと考えられます。これによるネットワーク効果で、継続的に複数のユーザーが利用を検討する環境が実現する可能性があります。

 

洗濯乾燥機がない店も多く、その場合洗濯終了後に乾燥機にぶち込む手間が大きい

ドラム式洗濯機で洗濯乾燥を全部やってから返却してもらえるので無問題です。乾燥できる容量を事前にきちんと共有して、乾ききらなかったら自己責任って形をマニュアルにすれば良いかと。

 

毎度現金を入れる必要があるのが面倒くさい

これも洗濯物と一緒に現金を受け取ればいいだけです。予約フォーム+オンライン決済アプリで事前にお金を貰うことも可能ですね。予約ページを作って、URLをQRコード化してチラシ等に入れ込めば実現できます。

 

古い店も多く、暑いし寒いし、衛生的に嫌悪感を覚える場合もある

玄関前などで受け渡しをすれば問題ないかと思います。また、ドラム式を持っているということは貧乏というわけではないはずなので、古いコインランドリーよりは安心感を持って頂けるんじゃないでしょうか。もしそうでなければ要改善か。

 

というわけで、コインランドリーが抱える課題は解決できそうなので、ニーズはあり得るかと思います。まあ、当然ながら実際にやってみないと分かりませんが。

しかし、ビジネスモデルの検証にはもう一つ必要です。それは「ドラム式を買うのと、他人のドラム式を使うのと、どちらが得か?」というポイントです。

 

洗濯機を借りるモデルは利用者にとって得なのか

コインランドリーを洗濯・乾燥で利用すると、通常の洗濯物で大体300~500円ほどかかる計算になると思います。仮に、「洗濯乾燥と受け渡しまで行って、一回200円を受け取る」としましょう。すると、利用者が払うコストは以下のような試算になります。

  • 週1回洗濯:200円×52週=年間10,400円
  • 週2回洗濯:400円×52週=年間20,800円

しかし、単身者ならドラム式1回転だけで済むものの、ファミリーであれば2~3回転はしないといけない程度の洗濯物が出てくると見込まれます。それを考慮した場合、以下のようになります。

  • 週1回×2回転=年間20,800円
  • 週1回×3回転=年間31,200円
  • 週2回×2回転=年間41,600円
  • 週2回×3回転=年間62,400円

日経BPの記事によれば、4人家族で1日に出る洗濯物の量は6kgが目安とのことです。家庭用のドラム式で一度に洗濯乾燥できる量は6kg程度が一般的かと思われるので、その場合は週に7回転。1,400円×52週で年間72,800円となります。

ドラム式洗濯乾燥機を購入するには、数年前の型の中古で約5万~7万円ほど。大手メーカーの新品であれば13~15万円ほどとなります。使用するのは家庭で使っている洗濯機なので、比較対象は中古であることを考えると、家族世帯ではコスト・手間両面から考えて、普通にドラム式を買って使うという選択肢になると分かります。

つまり想定し得るターゲットは1~2人世帯ということになります。うちは2人世帯で週に2~3回転なので、コスト面では2年が購入とレンタルの境目になります。

 

オペレーションはどうするのか

しかし、もう一つの課題は利便性です。洗濯物を洗って干すのが楽か、洗濯物を受け渡すほうが楽かの勝負です。これを解決するには「場所が近い」「求める時間に対応してもらえる」ことが必要になります。

場所の近さは無視するとして(リソースが自宅なので)、利用者がちょうどいい時間、つまり「仕事から帰ってきたら、洗濯物が乾燥できている」「休日のルーチンとして利用できる」といった要望に応えることは必要でしょう。

となると、どうしても自宅にいる必要があるため、洗濯機を貸し出せる人は限られます。お小遣いが欲しくても、実際に「洗濯物を預かり、ぶち込み、最後に引き取ってもらう」という対応をどれだけ出来るかどうかに左右されるのが実情です。

従来のコインランドリー投資は、不動産投資のような「不労所得」として、自身の労働によらず利益を上げられるのが人気となった理由でした。これを考えると、時間的拘束と軽作業が伴う洗濯機貸しのモデルは、コインランドリー投資とは性質が違うということが分かります。

自宅にあるものを使うので初期投資をかけず、電気代や水道代といったランニングコストも売上より必ず下回る(1回転20~70円程度と見込める)など、収支面におけるリスクは0に近い一方、不労所得モデルではない内職的モデルであるというディスアドバンテージが存在する、ということが言えます。

 

まとめ

ということで、ひとまずの結論は以下のようになりました。

  • 近所に住む1~2人世帯のニーズは期待できる
  • ほぼリスクなく稼げるが、受け渡しと洗濯の対応が必要になるため、時間的拘束が生じる(不労所得とは言えない)

もし自身がドラム式洗濯乾燥機を持っていて、かつ自宅に誰かがいる時間が長いのであれば、お小遣い稼ぎにはなるんじゃないかな、というイメージです。

僕当初の仮説としては「コインランドリー投資より、こっちの方が稼ぐ効率良いんじゃね」というものでしたが、必ずしもそれを証明できたわけではありませんでした。どちらかと言えば、コインランドリー投資とは異なる「お小遣い稼ぎの手段」という形ですね。

もしかすると、そういうサービスを提供するプラットフォーマーになるほうが儲かるかもしれません。単価が安いうえにオペレーションに手間がかかるのでユーザーが集まるかどうか未知数ですが。

とりあえず僕が言えることは、「ドラム式洗濯乾燥機めっちゃ便利だから、導入できるならぜひ買いましょう」ということです。国産の2011年式以降でヒートポンプ式乾燥の中古がコスパ的におすすめです。家事負担を減らしたい人にはすべからく推奨する!

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