無人型の民泊を営業する場合、ゲストにどうやって鍵を渡すのかは考えなくてはならないポイントです。やり方は複数あるため、今回はそれらのメリット・デメリットや、鍵の渡し方を考える際の注意点についてまとめます。新規開業をお考えの方はご参考にしてください。
キーボックス
キーボックスは民泊の鍵渡し方法として最もスタンダードな方法の一つです。キーボックスは安価に調達でき設置も簡単なため、導入しやすいのが最大のメリットです。
デメリットとしては、チェックアウト時にゲスト自身に鍵を戻してもらわなければならないため、間違えて持って帰られたり紛失されたりするリスクがあるほか、暗証番号を定期的に変えないと不正に入室される恐れがあることです。また自治体によってはキーボックスでの鍵渡しを許可していないところもあります。
キーボックスは、「防水性能が高く・頑丈で・盗難されないように固定でき・かつダイヤルを回しやすいもの」が理想です。弊社では主にこちらの商品を使っています。安価かつ頑丈で比較的開きやすいので、バランスは良いかと思います。
スマートロック
スマートロックは値段が張るほか、鍵設置のための工事が必要になるものもあるなど導入のハードルは比較的高いのですが、セキュリティを万全に保ちたいのであればベストな選択肢と言えます。
スマートロックを選ぶ際は「ゲスト専用の使い捨て暗証番号を発行できるかどうか」という点から選びましょう。多くのスマートロックはあくまで自宅用となっており、スマホにアプリをインストールし、そのアプリから解錠を解錠形式になるため、民泊には不適と言えます。
定番の製品はRemoteLOCKで、様々な予約管理ツールと連携して自動で一時的な暗証番号をゲストに送信することが可能で、利便性が非常に高い製品となっています。設置には工事が必要なため、建物を新築する場合や予算に余裕がある場合は導入を検討しても良いでしょう。
KEY STATION
都市部ではKEY STATIONという、ファミリーマートで鍵の受け渡しが可能なサービスを利用できる場合もあります。ITを活用して直接対面での鍵渡しと同等のセキュリティを担保することが可能なため、近くに導入済みのファミマがあれば選択肢の一つに入るでしょう。ただし、一定の月額費用が発生します。
2022年4月時点では東京23区(主に山手線内)を中心に展開されており、大阪市などその他の都市では利用できるファミマは少ないため、あらかじめ同サイト上で対応している店舗を調べておきましょう。
直接手渡し
スタッフが常駐していなければ民泊や旅館業の営業を認めない自治体も中にはあります。そのような自治体では、フロントで直接スタッフがゲストと対面して鍵を手渡しすることになります。また東京都豊島区などでは、フロント設置や施設内常駐は義務ではないものの、鍵は手渡しで行う必要があります。
事業として複数の民泊を営業する場合は物理的に対応が難しくなりますが、一軒だけ自宅の近所で民泊を行う場合などでは、直接手渡しする方法がスタンダードになります。
手渡しのメリットとして、ゲストと対面して会話できるため心証が良くなり、良いレビューを残してもらいやすくなるという点があります。
鍵渡しの際の注意点
鍵の渡し方を選択する際に注意したいポイントをまとめます。
鍵紛失時に補償を受けられる保険に入っているか
賃借物件で鍵を紛失してしまうと、鍵そのものを交換する必要が出てしまいます。安いものであれば1万円台でも交換が可能ですが、高いものだと数万円単位の出費が発生してしまいます。
保険の中には、鍵の紛失による鍵交換の費用を補償してもらえるものもあります。加入を検討している保険が鍵紛失でも適用されるかどうか、担当の方に聞いてみると良いでしょう。なお民泊用の保険についてはこちらの記事に詳しいので参照してみてください。
自治体の鍵渡し要件をチェックする
自治体によって鍵渡しの方法に規制を設けている地域もあります。特に東京23区では各区によって規定が変わるため、必ず確認が必要です。 キーボックスでの運用を認めない区も多いため、リモートロックなどの導入が必要になるケースも多々あります。
また、原則として無人施設で鍵渡しを行う際は、ゲストのチェックインをカメラなどで監視できる状態にしておく必要があります。 カメラをどこに設置するのか、録画の必要はあるのか、24時間常に録画していないといけないのか、などの細かい要件も自治体によって判断が変わるため、併せて確認しておきましょう。
チェックインの仕方は丁寧に案内する
民泊でゲストとトラブルになりやすい最大のポイントはチェックインです。道に迷うことと並んで「鍵の開け方がわからない」という問い合わせが多いため、チェックインの仕方は念入りに案内しましょう。
中にはキーボックスを使ったことがなく開け方がわからない、というゲストもいるため、そのようなゲストがいることを前提に、写真をメインにした分かりやすい案内資料を作ると良いでしょう。また鍵穴の位置や鍵の開け方(どちらに鍵を回すのか等)も必要です。
まとめ
鍵渡しの方法には、キーボックス・スマートロック・KEY STATION・直接手渡しの四つの方法が考えられます。それぞれ一長一短ありますが、まずは自治体が定める要件を保健所に確認したうえでどの種類を採用するかを考えましょう。
また、ゲストに鍵の開け方を含めたチェックインの案内を丁寧に行うことも欠かせません。これを抜かりなく行えるかどうかで問い合わせ対応にかかるコストを大きく削減できるので、わかりやすい資料作りを意識しましょう。