レンタルスペースの営業許可は必要?開業手続きにかかる手続き・法律

コロナ禍によって民泊の稼働が見込みにくい現在、物件を時間単位で貸すレンタルスペース事業がにわかに拡大しています。元々は数十坪以上のスペースを時間貸し・日貸しするのが一般的でしたが、最近では個人事業者などが物件を賃借して小規模なスペースを開業するケースが増えています。

今回はレンタルスペースの開業にあたり、どのような許可が必要になるのか、関連する法律にはどのようなものがあるかをまとめました。

行政による営業許可は不要

まず、レンタルスペースでは、民泊のように行政による営業許可(届出認可)を取得する必要はありません。民泊においてはこの部分が開業における一番のネックとなっていたため、初期投資の安さも相まって、レンタルスペースを始めたいと考える個人事業者が増えているのです。

貸主の許可は必須

行政の許可がいらないとしても、貸主にレンタルスペース営業の許可を書面でもらうことは必須です。レンタルスペースの営業は転貸行為と見なされるケースが多いため、契約書に営業を許可する旨が盛り込まれていなければ、貸主(家主)から契約違反による損害賠償請求や立ち退き命令を受ける可能性もあります。

しかし、転貸を許可する貸主は少なく、それゆえにレンタルスペース用の物件を探すのは少々骨が折れる、という状況になっています。また需要に対し供給が少ないこと、住居ではなく店舗扱いになることから、居住用物件や事務所物件に比べると賃料や敷金、礼金などは高くなります。

用途変更の可能性に注意

レンタルスペースは、業態にもよりますが建築基準法上の特殊建築物に該当する用途とみなされるケースもあります。その場合、建物全体において特殊建築物の用途に使用される延床面積が200㎡を超える際には、家主において建物の用途変更を行わなくてはなりません。

用途変更には高額な費用が発生することから、家主が一つの新たなテナントのために手続きに着手する可能性はほぼ0でしょう。もし家主・借主ともに用途変更の必要性が生じることを知らず、行政から家主へ指導が入った場合、家主と借主とでトラブルになることは自明です。両者ともこのリスクを頭に入れておく必要があります。

その他確認しておきたいこと

その他にも確認しておくと良いポイントを解説します。

開業届・青色申告承認申請書の提出

開業届を出していない個人がレンタルスペース事業を始める際には、一番はじめに税務署へ開業届を提出することをおすすめします。同時に青色申告の届出も行うことで、確定申告時の所得控除額を増やすことが可能です。

青色申告には複式簿記による記帳が必要なため、日商簿記3級程度の知識が必要になりますが、事業(副業含む)をやるなら必須スキルなので、商工会議所や税理士にも頼りつつ勉強してみましょう。

本業や家庭が忙しくて、各種届出や会計処理などの事務に割く時間を削りたいという場合や、ミスなく確実に手続きを行いたい、自分ではきちんとできるか不安、という方は、税理士ドットコムなどを利用して税理士と契約しても良いでしょう。費用はかかりますが、時間と労力は大きく節約できるため、今後の事業規模拡大を考えるとメリットが上回るでしょう。

物件が消防法に適合しているか

特殊建築物には定期的な消防点検が義務付けられており、共同住宅(マンション等)やホテル、店舗などは毎年これを実施しています。

レンタルスペースが特殊建築物に該当するケースは多いと上述しましたが、念のため、開業を検討している物件が消防法上問題が無さそうかどうかもチェックしておくのが無難です。

確認に必要なポイントは複数ありますが、築年の浅い物件(特に新耐震基準適合物件)ほど消防法に抵触するリスクは低くなる傾向にあります。ひとまず、共用部に自動火災報知設備、避難誘導灯、非常用照明、消火器が備えられているか、専有部内の自動火災報知設備がきちんと動作しているか、といった点をチェックすると良いでしょう。

騒音トラブルリスクの精査

レンタルスペースは不特定多数が出入りする業態であることから、騒音による近隣トラブルのリスクがどれくらいありそうかも調査しておかなければなりません。

分譲マンションや鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート造の店舗物件などであれば、床や壁が厚いため騒音リスクは下がりますが、木造や鉄骨の賃貸物件は騒音リスクが高いため注意が必要です。また住宅の密集度なども確認したいポイントです。

騒音トラブルは発生しやすく、かつ立ち退き要求の正当事由にも該当しやすい厄介なポイントです。近隣からのクレームが無いように運営するのはもちろんですが、借主の観点では、それ以上に騒音リスクの低い物件選びが肝心です。自分自身では対応に限界があるので…

まとめ

レンタルスペースは開業のハードルが低いため、個人事業者でも気軽に参入できるビジネスです。しかし、騒音リスクや、特殊建築物用途に該当しうることに伴う諸手続きについては、あらかじめ念頭に入れた上で物件を選ぶ必要があると言えます。慎重にリスクを精査しながら検討を進めましょう。

レンタルスペースの開業を本格的に進めていて、物件が決まった方やもうすぐ決まりそうという方は、スペースマーケット等でアカウントも開設しておきましょう(リンクから開設ページへ)。設営と同時並行で物件ページを作成しておくと後が楽で、収益を生むまでのスピードが早くなります。

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