時間貸しで不動産を利用し収益を得るレンタルスペース事業の中でも、貸し会議室と並んで人気の高い業態がパーティールームです。
コロナ禍の現状において、外での飲み会もままならない中、仲間内だけで安心安全に飲み会ができると言うことでパーティールームを予約する方も多く、比較的安定して収益を狙えるのが魅力です。一方、その性質上、事業の立ち上げやトラブル対応など手間がかかることは多く、工夫と努力次第で利益が大きく変わってくるという特徴もあります。
ここではパーティールーム運営の特徴と、他のレンタルスペース授業と比較した際のメリット・デメリットについてまとめていきます。
パーティールームの特徴
パーティールーム運営の特徴を以下にまとめます。
「空間の魅力」を販売するビジネス
パーティールームは空間の魅力を販売することが肝要な事業となります。なぜなら、非日常的なおしゃれ空間で友人との飲み会などの時間を楽しみたいというニーズが強いためです。パセラなどをイメージして頂ければ、分かりやすいという方もいらっしゃるかと思います。
そのため、物件のコンセプトとそれに応じたおしゃれな空間づくりが必要となり、工夫の余地は大きい一方で手間がかかり、かつデザインのセンスや相応の初期投資が必要になります。デザイナーや空間づくりが好きな方には特に向いているでしょう。
工夫の余地が大きい
コンセプトやデザインのほか、パーティールームでは家具や備品など用意すべきものがたくさんあったり、お客さんがストレスやトラブルなく快適に使ってもらえるためのマニュアルや掲示物の整備が必要だったりするなど、開業に向けて必要なものは多岐にわたります。
最初はこれらの準備を完璧に行うことは難しいものですが、一つ一つ細部までこだわったりブラッシュアップしていったりすることで、将来的な利益が変わります。このように運営面でも工夫の余地がさまざまにあるのがパーティールームの特徴のひとつです。
繁華街やターミナル駅に集中する
パーティールームはレストランや居酒屋のように、あちこちから仲間が集まりやすいターミナル駅や、遊びに行きたいと思わせるような繁華街に出店が集中する傾向があります。例えば新宿や渋谷、難波や心斎橋といった、地域を代表するような繁華街への出店は非常に盛んです。これらのエリアでは競争が激しい一方で需要も大きく、しっかりと作り込めれば比較的安定的に利益を目指せます。
一方で繁華街やターミナル駅でない場所にはまだ供給が少なく、需要の大きさが未知数であることも多くあります。またターミナル駅の繁華街でも郊外や地方まで行くと出店が少なく、まだ未開拓のエリアも多いのが特徴です。
繁閑の差が大きい
パーティールームは繁忙期と閑散期の売上単価や稼働率に大きな波があることも特徴です。例えば長期休暇シーズンの8月や忘年会シーズンの12月などは大きな売上が見込める一方、1月2月などは売上が落ち込む傾向にあります。こうした繁閑の差は民泊などの宿泊事業にも通じるものがあります。
繁閑に合わせて販売単価を変えたり、想定収支を計算したりする手間はかかりますが、繁忙期の収益力は安定していると言えます。閑散期でも利益が出るような物件選びと作り込みを意識すると良いでしょう。
運営代行会社に委託しやすい
パーティールームは高い売り上げを期待しやすい一方で、後述のように様々なデメリットもあり、自身で運営するには骨が折れるビジネスです。しかし、運営代行業者が複数が存在するため、売上歩合報酬を支払えば代わりに面倒な運用を担ってくれます。また物件の立ち上げも委託可能です。
ただし、事業者によって品質や報酬には幅があることから、情報収集をした上でどの事業者に依頼するかを決めるのが望ましいと言えます。
パーティールームのメリット
パーティールーム運営の主なメリットは以下の通りです。
長時間利用が多く客単価が高い
パーティールームは比較的長時間の予約が入りやすく、それゆえに一組あたりの単価が高くなりやすいのがメリットです。具体的には6時間以上の予約も珍しくはなく、丸一日予約が入ることもあります。
さらに、備品やサービスなどのオプション販売でも収益を増やすことが可能であるため、工夫次第でより単価を高くすることも狙えます。
繁忙期は高い売上を出せる
上述のように繁忙期のパーティールームは高い売り上げを期待でき、相応の利益も狙えます。パーティールームの収益力は民泊と比べると劣るケースが多いと言われていますが、こと繁忙期においては民泊を上回る収益を出すことも可能です。
パーティールームのデメリット
一方、パーティールーム運営では様々なデメリットもあります。
内装や備品への投資額が多い
パーティールームはコンセプトメイキングやおしゃれな内装作りが肝心になるぶん、内装や備品、消耗品類に投資する必要額はどうしても大きくなってしまいます。
初期投資が大きくなるため、開業にはある程度の資金力も必要になります。概ね100万円程度が最低ラインになるのではないでしょうか(不動産初期費用も含む)。また消耗品の補充や水光熱費、ネット代などでランニングコストも発生します。
トラブルが多い
パーティールームはその性質上、トラブルが多いことが最大のネックです。具体的には酔っ払ってテンションの上がったお客が騒いで近隣から苦情が入ったり、共用部にゴミを捨てられてしまったり、部屋の中で喫煙されて臭いがこもってしまったり、備品類を破損されたり盗まれたりと、トラブルの事例は様々にあります。
対策として監視カメラを用意したり、マニュアルや注意書きなどオペレーションを徹底したりする必要がありますが、それでも完全に防ぐことは難しいと言えます。近隣からの苦情が相次いだことによって営業停止に追い込まれる事業者の話も最近では珍しくなくなりました。
様々なトラブルの種を事前に潰し、いざ問題が発生したときにどれだけスピーディかつ誠実に対応できるかがパーティールーム運営では問われると言えます。
清掃費がかかる
また施設内で飲み会をするお客がほとんどであることから、パーティールームでは清掃費が発生することを収支計画にきちんと入れ込んでおく必要があります。会議室などではお客によるセルフクリーニングのみで済ませる施設も多くありますが、パーティールームでは限界があるため、頻繁に清掃を行う必要があるのです。
予約サイトに集客を依存しやすいレンタルスペース事業はどうしても薄利多売のビジネスモデルになりがちです。その中で清掃費の負担は決して少ないものではなく、高い稼働率と売上客単価を確保しなければならないのがネックです。
まとめ
パーティールームは運営代行会社に運営を委託しやすく、また繁閑の差は大きいものの比較的高い売上を期待しやすいレンタルスペース業態です。自身で運営する場合には、コンセプトメイキングや備品の設置などの立ち上げや、マニュアルなどの整備、トラブル対応など、様々な労力やノウハウが必要になりますが、運営代行会社にまるまる委託することも可能です。
空間作りや店舗開発が好きな方にとっては面白いビジネスになるでしょう。また運営代行会社に全てを委託して、投資のようなスキームで事業を運営する方も多くいるため、自身の目的に合った運営の仕方を考えて参入を検討してみてはいかがでしょうか。