パーティールームの開業後の運営方法、トラブル対応や必須ポイントを網羅

最後に、パーティールームの運営の仕方について書いていきます。値段設定やトラブル対応、日々のメンテナンスなど、必要な作業は少なくありませんが、一つひとつ押さえていきましょう。

パーティールームの値段設定

レンタルスペース運営では、曜日やシーズン、時間帯によって細かく料金設定を行い、つど調整を図っていくことが大切です。正解はありませんが、予約状況を見ながらつど最適化を図り、利益の最大化を目指しましょう。以下、値段設定のポイントをまとめます。

平日は安く、週末や休日は高く

パーティールームの値段設定の基本は「平日安く・休日高く」です。多くのゲストは休日の飲み会や集まりの場所としてパーティールームを予約するので、需要に大きな差があるためです。

具体的には「平日1時間あたり1,000円、休日は2,000円」くらいの落差を設けることが一般的です。これくらいの差を付けても、先に休日の予約が埋まり、後から平日にぼちぼち予約が入ってくる、ということも珍しくありません。

加えて、パーティールームは繁閑差の大きい業態なので、繁忙期・閑散期でダイナミックに価格調整を行うことも大事です。特に年末年始などは通常の倍の金額まで上げても予約を期待できます。他に3-5月、8月は需要が高く、逆に1-2月などは低い傾向にあります。

予約状況を見て調整する

日々の値段の調整については、現在の予約状況を見て行うと良いでしょう。予約が全然入っていなければ高すぎる可能性があり、逆に空き日程がほとんど無ければ安すぎる可能性が考えられます。

後者のパターンだと、予約が大量に入っていることでつい満足してしまいがちですが、本来レンタルスペース運営に求められるのは稼働率ではなく「利益の最大化」です。薄利多売よりも適正な価格で適正な稼働率を目指すことが理想なのです。

売上単価の高い土日祝はほぼ全ての日程を埋めたいところですが、平日は予約が入らない日も珍しくないほか、日中はパーティー用途の予約は入りづらいので、週15~20時間程度の稼働が現実的なところではないかと思います。

類似スペースを参考にする

値段設定には、近隣の類似したスペースで予約がきちんと入っているところを参考にすると良いでしょう。駅からの距離、広さ、備品といった要素の近しい人気物件をいくつか抽出して、それを基準に自分の物件の良し悪しを加減して単価を決めるのが王道です。

なお、予約があまり入っていない類似物件は、「この値段だと高すぎるな」ということを判断したり、どの点において競争力が劣っているのかを考えたりするのに役立つので、合わせて参考に見ておくのも良いでしょう。

最低売上単価を考える

また、値段設定を行う際には「一回の予約で最低でもこれだけの売上は取ろう」と決めることが大切です。これは非効率的な薄利多売を避け、逆ザヤ予約(売上より経費がかさんで損失が出る予約)をほぼ0にする効果をもたらします。

最低売上の設定は、最低利用時間を設けることと、固定費用(スペースマーケットでは「維持管理費」)を設けることで調整が可能です。少なくとも予約サイトに支払う手数料と清掃費用を引いても最低限利益が出る価格には設定しておきましょう。

オプションで売上を底上げする

また、通常の時間あたりの売上に加えて、オプション利用を有料化することで売上を底上げすることもできるので、積極的に活用しましょう。

例えば、ゴミ処理や清掃を運営側で行う有料オプションを設定したり、パーティープレートや準備に手間のかかる調理器具の提供などを有料化するといったものが挙げられます。

パーティールームのゲスト対応

続いてパーティールーム運営に係るゲスト対応の仕方についてポイントを解説していきます。

メッセージへの返信はなるべく早く

レンタルスペース運営の基本ですが、ゲストからの問い合わせメッセージにはなるべく素早く対応しましょう。また急ぎの際は電話がかかってくることもあるので、出来る限りすぐに出られる体制を作っておくことが望ましいと言えます。

特に無人でサービスを提供するレンタルスペース業態は、「部屋の入室方法がわからない」という問い合わせが多く、これに素早く対応できない場合はゲストに大きな負担を強いることになってしまいます(どれだけ案内を詳しくしても、一定数のゲストは問い合わせてきます…)。

仕事が忙しくて電話に出られる時間やメッセージを返信できる余裕が少ないという方は、運営代行会社に委託するという選択肢が有効です。

入退室方法、ルール等テンプレートを作っておく

部屋への入室方法や退室時の手順、その他スペース利用上のルールなどは細かく作っておき、ゲストに確認してもらうようにしましょう。また予約が入った際やチェックアウト時間が近づいてきたときに自動でメッセージを送れる機能が予約サイトには付いているので、もれなく設定しておきましょう。

ポイントとしては「中学生でもわかるように記載する」「ビジュアルを中心に説明する」ということです。なぜならゲストは文章を読むことを面倒くさがるため、簡単かつ視覚的に理解できる内容でなければ、きちんと読んでもらえない可能性が高いためです。

どれだけマニュアル用テンプレートを作り込んでも読まないゲストは一定数いますが、これらをきちんと整備することで、少なくともトラブル発生の確率は大きく抑えることができますし、ゲストとのやりとりの手間も少なくなります。

カメラで出入りや利用の仕方をチェックする

レンタルスペースに防犯カメラは必要?メリット・デメリット、設置費用など」という記事でも詳しく解説しましたが、パーティールーム運営に当たっては防犯カメラの設置は大切です。入退室時間を破ったり、備品類を破損してそのままバックレたりするゲストが一定数いるからです。

こうしたゲストに対しては、防犯カメラで出入りの確認や利用状況の確認を行い、さらにそれを録音・録画しておくことで、保険申請や損害賠償請求に使える証拠を押さえておくことが大切です。

ビルや商業施設などにあるような本格的な防犯カメラが望ましいのですが、費用面を考えると現実的な選択肢ではありません。そこで用いられるのが数千円程度のネットワークカメラで、インターネット環境さえあればスマホでいつでも画像を確認できるほか、録画・録音機能や通話機能も付いています。

ただしカメラに布を被せて見えなくしたり、電源コードを引っこ抜いたりするゲストもいるため、そうした行為自体に罰金を導入することも検討が必要です。

パーティールームの清掃・備品等の補充

地味ですが欠かせない要素として、普段の部屋の清掃や備品の補充といった作業もあります。これらの手順やポイントについて解説していきます。

清掃・補充は外注がおすすめ

これらの作業はできるだけ外注することが望ましいでしょう。清掃スタッフは比較的採用しやすく、1回あたりの単価も値ごろで、採用のハードルは低いと言えます。

清掃や備品補充の作業は、移動時間も考えると拘束時間が長くなる一方で、それに見合った利益を生み出せる仕事かと言うとそうではありません。自身で清掃や備品補充を毎回を行っていたら、自由な時間が減ってしまい、新規出店も制限されてしまいます。

外注できる作業は外注して時間を作り、その浮いた時間で売上を伸ばしたり利益率を改善したりする作業を集中的に行うのが事業者としての良い動き方です。

まだスペースをオープンしたてで、勉強のために自ら清掃や備品の補充などを行うことは良いと思いますが、利益を確保するためにこれらの作業を延々と自身で行うことは辞め、外注しても利益が出る体制を構築しましょう。

ゲストにセルフクリーニングを依頼する

レンタルスペースではゲストに清掃を依頼するセルフクリーニング形式を採用することが一般的です。そのため、スペースの中にゲストも使える掃除機やふきんなどの清掃用具を用意しておきましょう。またクリーニングの手順についてもマニュアルを作り、ゲストに現地でも確認してもらえるようにしましょう。

ただしあくまでもゲストのやり方にお任せすることになるため、清掃自体のクオリティは十分ではない可能性が高かったり、そもそも清掃をすっぽかして帰ったりするゲストも多くいます。そのため自社でも適宜清掃を入れることは必要です。

なおゲストにはゴミを持ち帰ってもらうことも原則です。レンタルスペースから出るゴミは事業ゴミなので、町のゴミ集積所などに捨てることは違法となります。このこともゲストに伝え、ゴミ処理を事業者側で行うオプションを設定したり、違反したゲストに対する罰金制度を設けたりすることが有効です。

消耗品は一気に買って補充頻度を減らす

消耗品類は意外とすぐに無くなるものです。そのため、できれば一度に大量に買い込み、補充の頻度を減らすことが有効です。Amazonなどで一気に発注してしまいましょう。ただし、スペース内に大量の消耗品類を保管しておける収納が十分にあれば、の話ですが…。

ワンルームタイプの物件などでは収納が少ないことも多いため、あらかじめ確認しておきましょう。

備品類の使用状況・減り具合から改善余地を探る

備品の補充などは外注した方が望ましいと述べましたが、それでも自身で備品や消耗品類の使用状況や減り具合をつど確認することは大切です。これにより必要な備品と不要な備品の仕分けができるようになり、新規出店の際に役立つからです。

パーティールームのトラブル対応

パーティールーム運営にはつきもののトラブル対応の仕方についてのポイントを解説します。

トラブル発生時は迅速に対応する

メッセージ対応と同様に、トラブルの発生時は迅速に対応することが必要不可欠です。問題を放置しておくと、別のゲストにも迷惑がかかったり、貸し出しができない期間が長くなって機会損失が増加したりしてしまうためです。

特に設備関係のトラブルは修理完了までに時間がかかるため、発生後すぐに管理会社などに連絡し、早急に対応してもらうように依頼することが肝心です。

ゲストによる損害はカメラ等で証拠を押さえる

上述のように、ゲストによって発生した損害については防犯カメラなどできちんと証拠を押さえておきましょう。保険の申請や、損害賠償を請求する際の証拠として提示できるからです。またカメラを設置すること自体にも抑止力があります。

保険申請時のポイント

ゲストによって備品の破損などが生じた場合は、予約サイトの保険もしくは賃借時に加入した借家人賠償責任用の保険で補償を受けられる場合があります。

保険の申請を行う際には、あらかじめ保険金がおりる条件をよく確認しておきましょう。その条件に沿って保険金がおりそうかどうかを判断しつつ、保険金の申請に至るまでの事件の経緯を分かりやすく文章化し、保険会社もしくは保険代理店に連絡を行います。

やみくもに保険申請を行っても、保険の対象外になる場合には時間の無駄になってしまいますし、本来は保険金の対象になるであろう事件のはずなのに、伝え方を誤ったせいで保険の対象外と判断されてしまう可能性もゼロではないのです。必ず事前にパンフレットや保険証券には目を通しておきましょう。

損害賠償請求のポイント

ゲストにより損害が発生したものの、保険の対象外となった場合には、事業者自らがゲストに対して損害賠償請求を行う必要があります。

一般的には予約サイトのチャットを通じて連絡を取り合い、原状回復の見積書を添付しつつ損害賠償金の追加請求をサイト上で行う流れになります。

問題なく解決まで至れば良いのですが、中にはこちらからの連絡を無視したり、しらばっくれたりしようとする悪質なゲストも存在します。

このようなゲストには防犯カメラの録画映像を添付したりするなどで明確な証拠を突きつけたうえ、予約サイトの事務局にも協力を仰ぐことが有効です。また氏名などの個人情報からSNSのアカウントを割り出しコンタクトを取るという選択肢もあります(予約サイトの事務局からは推奨されないやり方ですが…)。

被害額が大きいものの、ゲストがしらを切り通して話が進まない場合には、個人情報の開示請求をした上で訴訟に踏み切ったり、事件性がある場合には警察に相談したりする選択肢もあります。最終手段ではありますが、このような措置に踏み切ることになる可能性もゼロではないので、頭の中に入れておきましょう。

よくあるトラブルの事例

パーティールームの運営上よくあるトラブルの事例について、箇条書きでまとめておきます。あらかじめ事例を把握しておくことで、どのような対策を講じればいいか考えやすくなるでしょう。

  • 食器を割られた
  • 部屋が汚い状態でそのまま退室された
  • 室内に汚物や飲み物をぶちまけられた
  • テレビの液晶を割られた
  • 電子レンジの使い方を誤って壊された
  • ガラスを割られた
  • 騒音や振動で近隣からクレームが来た、警察を呼ばれた
  • ゲストが間違えて他の部屋に入ろうとしてクレームが来た
  • レンタルスペースの鍵を盗まれた、紛失された
  • 煙草を室内で吸われ、臭いや焦げ跡が付いた

その他のポイント

その他、パーティールーム運営において押さえておきたいポイントをまとめます。

カレンダー連携を行う

ダブルブッキング(予約を重複して受けてしまうこと)を避けるために、複数の予約サイトに掲載する時は必ずカレンダー連携を行いましょう。Googleカレンダーなどのカレンダーツールを予約サイトと接続し、相互に予約管理を行えるようにするものです。

Googleカレンダーであれば、物件専用のGoogleアカウントをまず作成し、予約サイトの管理画面からそのGoogleアカウントのカレンダーとiCal連携の設定を手順に従って行います。難しい作業ではありませんので、予約受付を開始する前に必ず設定するようにしましょう。

損益とキャッシュフローはしっかり管理する

毎月の損益およびキャッシュフローはきちんと記録し、月々どれくらい利益が出ているのか、資金繰りは問題ないかを常にチェックできるようにしておきましょう。

事業者の中には銀行の残高だけしかチェックしない方もいますが、それではどれほどの利益が出ているかも、どれほどの入金と出金があるかも分からないため、事業を改善することができなくなってしまいます。特に複数店舗を運営する場合には、このようなどんぶり勘定を続けるのはあまりにも危険です。

Excel等の表計算ソフトで収支表を作ってまとめたり、クラウド会計ツールでキャッシュフローを管理したりするのが手っ取り早く簡単な方法です。あまりにも面倒と感じたり、数字をまとめている暇が無かったりする方は、税理士などに依頼するのも一つの選択肢です。

新規出店のタイミングと判断ポイント

さて、パーティールームの一店舗目がうまく立ち上がったら、新たな物件もスタートしてみたいと思うようになることでしょう。しかし、最適な新規出店のタイミングはどう図れば良いのでしょうか。

明確な答えはありませんが、弊社の場合は「3ヶ月以上連続して粗利益を確保できており、今後も利益が継続して得られる見込みがあり、新規出店する場合にも利益が出るように作れる自信が付いた」ことを目安としています。

ポイントは「新規出店しても利益が出せる自信が付いた」という点です。なぜかと言えば、多店舗展開において最も重要な要素の一つである「事業の再現性」が頭の中に出来上がってきたからこその自信だからです。

レンタルスペースのような店舗ビジネスは「こうすれば稼げる」というノウハウをいかに習得し、横展開していくかがカギとなります。そのため、まず一店舗目に試行錯誤し、安定して利益が出せるようになったら、二店舗目以降を展開しても利益が出せる自信があるかどうかを自問して考えてみるのが良いでしょう。

おわりに

レンタルスペース事業は個人でも気軽に始められるビジネスで、にわかに人気を集めています。中でもパーティールームは比較的安定したニーズがあり、初期投資と収益性のバランスも良い業態のため、注目している事業者も多く存在します。

一方、騒音や備品破損などのトラブルに見舞われるケースが多いため、事前のリスク対策が大切になります。また、収益を安定して得られるようになるには物件の審美眼も必要なため、様々なポイントからマーケティング調査を行い、慎重に選ぶようにしましょう。

パーティールーム運営は副業でも行える程度の難易度と手間で済む事業ではありますが、繁忙期などは特に、平日の日中にゲスト対応が必要になることも多くあります。本業などで時間が取れない方は、運営代行会社への委託を検討することも選択肢の一つです。

開業に関心のある方は、ぜひリサーチを進めて損をしない経営を目指して頂ければと思います。

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