民泊をやるに当たって、旅館業の取得時に頭を悩ませるものの一つが「駆けつけ要件」です。
駆けつけ要件とはその名の通り、スタッフ非常駐型の宿泊施設において、緊急時に所定の時間内に宿泊施設へスタッフが駆けつけられる体制を整備しなければならない規定のことです。
投資として民泊を行う方の多くは遠方にいるため、オーナー自身が駆けつけ対応を行えるケースが少なく、また対応を依頼できるスタッフや業者が見つからずに開業を断念するケースも0ではありません。
この記事では、旅館業法(住宅宿泊事業法(民泊新法)における駆けつけ要件も含む)における駆けつけ要件を満たすための方法に加え、旅館業法・民泊新法どちらで許可を取るべきかということも併せてご紹介します。
駆けつけ要件は自治体により異なる
本題に入る前に、駆けつけ要件の規定は自治体によって異なるため、事前に自治体が用意している旅館業の開業の手引きなどの書類をよく確認しておく必要があります。以下、自治体ごとの例です(法改正などによって実際の規定は変動するため、許可申請時は必ずご自身にて要件をご確認下さい)。
- 徒歩10分以内:京都市、東京都江東区・墨田区など
- 移動手段問わず10分以内:東京都渋谷区・新宿区・豊島区、福岡市など
- 駆けつけ対応不可、常駐義務あり:東京都千代田区・中央区・台東区など
また、自治体により民泊新法の規定においても駆けつけ要件が存在することが一般的ですが、旅館業法よりは規制が緩く、さほど問題にならないケースもあります。
駆けつけ要件を満たす方法
駆けつけ要件を満たすには「民泊代行業者に依頼する」「清掃代行業者に依頼する」「施設外帳場サービスを使う」「スタッフを雇う」といった選択肢があります。
一番楽なのは代行業者に依頼することですが、民泊の立地によって対応できる業者は限られるため、探すのは少々手間取る可能性もあります。
また「代行業者に支払う売上歩合がもったいないから自分で運営したい!」と考える方には、清掃代行業者や施設外帳場サービスを提供する会社(京都市などに多い)も選択肢に浮上します。
そのほか、アルバイトや業務委託などの形式で駆けつけ対応できるスタッフを雇うという選択肢もあります。募集の手間と時間がかかってしまいますが、頼れる業者がどうしても発見できない場合には唯一の手段になると考えられます。
なお、旅館業の許可申請の際には、駆けつけ要件を満たしていることを証明する契約書などの添付が必要なので、忘れずにコピーを取って持参するようにしましょう。
旅館業・民泊新法どちらで許可を取るべきか
頑張って業者を探してみても、どうしても駆けつけ要件が満たせそうになく、旅館業の申請を諦めてしまうというケースも散見されます。その場合、民泊新法ならどうか?ということを考えることになります。
しかし、そもそも旅館業より民泊新法で営業してしまった方が良いケースもあります。以下のような場合であれば、許可手続き(届出)の手間が比較的小さい民泊新法に絞って考えても良いでしょう。
- 年間180日以上の稼働が見込めない
- マンスリー賃貸借のニーズを十分に見込める
- その他旅館業法の規定により営業体制に懸念がある
まとめ
駆けつけ対応を依頼できる業者には、民泊代行会社・清掃会社・専門業者といった種類に分かれます。その他、駆けつけ対応を行えるスタッフを雇うという選択肢もあります。
コロナ禍が落ち着き、再び旅行が活発になれば、特に都市部の民泊においては年間180日以上の稼働を期待するところでしょう。都市部であれば駆けつけ対応可能な業者が見つかる可能性は高いので、ぜひ諦めずに探してみてください。