数年前、「普通に不動産を買うよりも安く買える!」ということで競売物件に人気が集中したらしいです。
それからと言うもの、競売物件はだんだんと競争が激しくなり、今ではどんどん落札価格も吊り上がってきています。
今ではもう市況価格よりも高い価格で落札されることも珍しくなく、「競売のほうがむしろ一般市場より高い」といういびつな状況になることもままあります。
そんな状況を嫌気した投資家が目を向けるのが「公売」。地方自治体や省庁が所有する不動産(公有不動産)を入札方式で売りに出すものです。
僕も競売を敬遠して公売物件を探すようにしているのですが、結局、こちらも全然美味しくないなということが判明してきました。
価格ももちろんそうなのですが、不動産競売・公売いずれも美味しくないなと思う理由についてまとめていきます。
内覧ができない場合が多い
競売物件や公売物件の場合、通常の不動産取引のように内覧をできないケースがほとんどです。
公売の一部物件では内覧会を実施するものもありますが、それも日程があらかじめ決まっており、かつ仲介業者などのプロではなく公務員が対応する形となるので、専門的な質問はできません。
なので「物件の正確な状態がほぼ掴めない」というのが、競売・公売物件の最大のリスクなのです。
もちろん、通常の不動産取引と同様、説明のない瑕疵が潜んでいる危険性があるので、それを自ら発見できないのは怖いです。
もちろん瑕疵担保責任も免責になるので、物件に瑕疵があってもその責任を全所有者に追求することはできません。
内覧無しで瑕疵リスクを全て買請人が負わなければならず、その大きなリスクを加味しても得するような破格で購入できない限り、競売・公売物件には手を出せません。
そもそも価格がそんなに安くない
そもそも、競売も公売も「言うほど売出価格が安くない」ケースがほとんどです。
競売はまだ良いものの、公売はお得な物件がだいぶ少なく、売れ残っているものも珍しくありません。
一応「公売特殊性減価」という、「公売は買請人に不利な売買方式だから減額しなさい」という法律はあるのですが、それを加味したってイマイチな値付けが多いです。
少なくとも、上記の大きな瑕疵リスクを取ってまで購入できる金額ではないですね。
入札のハードルが高い
競売や公売は、入札する際に保証金として、売出価格からそれぞれ競売は20%、公売は10%ぶんのお金をデポジットしなければなりません。
なので、そもそも現金がないと入札に参加することもままならなくなる可能性があるのです。
また、落札から残代金の支払いまではたった1ヶ月しかないので、融資を断られる可能性も高いです。
「競売・公売物件の融資もOK」という金融機関を抱えておかないと、物件を落札しても買えないので大損です(落札したのに購入しない場合、保証金は没収される)。
それに加えて、競売で面倒なのは「必要書類の提出」「保証金は銀行備付の専用用紙で振込」という手続きがあることです(公売はインターネット公売対応のものもあるため、手間が軽減されます)。
現金を持っていなければならないこと、わざわざ銀行まで行ったり書類を書いたりする手間を考えなければならないことを考慮すると、なかなか競売物件に入札するのは難しいですね。。
占有者の立ち退きは自己責任
さらに、競売・公売の典型的リスクと言えば「占有者の存在」。
物件の多くはまだ所有者が住んでおり、もしあなたがその物件を落札した場合は明渡請求をしなければなりません(当然、明渡行為の正当性は法律で保証されています)。
競売や公売で所有物件が強制売却されるということは、その所有者が借金を返せなくなったとか、自己破産したとか、そういう理由があります。
なので、「ちょっといわくつきの人物が占有している可能性が高い」ということも考えなければならないのです。
実際、立ち退きには成功したものの、後々で物件の設備を壊したり、入居者に嫌がらせをしたりする前所有者に悩まされる人もいると聞きます。
そんな厄介ごとに関わるのは、ちょっと僕はごめんですな…。
結局は普通の不動産売買が一番美味しい
確かに競売や公売は、通常の不動産取引より僕達投資家が不便を強いられてしまうため、政府も法律で「割引しなさい」と言ってくれてはいます。
しかし、結局のところリスクに対して価格が高く、投資対象あるいはマイホームとして購入できる対象にはなり得ない物件がほとんど、という現実も否めません。
もちろん中にはお宝物件も出てくるんでしょうが、やはり数は少ないですし、何よりそんな物件があっても入札で価格がつり上がってお宝ではなくなります。
あァァァんまりだァァアァ
というわけで、競売や公売に夢を見ることなく、地道に不動産ポータルサイトや仲介屋さんに行って物件情報を探していくのが吉じゃないの、ってことを言いたかったわけです。
まぁ、一応僕も競売・公売物件のウォッチは時々しますが、色々と面倒くさいので今後も手を出すかどうかは分かりません。