民泊を行う際には「長期滞在」を意識することも大切です。多くのゲストは1~4泊程度ですが、中には1ヶ月以上滞在するゲストもおり、そのニーズを上手に掴むことで安定稼働を目指せます。
この記事では、長期滞在を受け入れる際に必要な準備や気を付けておくべきこと、そして長期滞在ゲストの集客におすすめのサービスについて解説します。
長期滞在の受け入れに必要なこと
長期滞在を受け入れるのに準備しておいた方が良いことはいくつかあります。 以下、主なものを解説していきます。
最高宿泊日数を長くする
AirbnbなどのOTAでは、最大宿泊日数を設定できます。デフォルトでも90日など長期の設定になっているOTAが多いため、基本的には問題ないでしょうが、念のため確認しておいてください。
長期滞在に割引を設定する
Airbnbなどでは、一週間や30日といった単位でその日数以上の予約が入った場合に、宿泊料金を割引できる機能があります。Beds24などのサイトコントローラーを利用すれば、「〇日~は〇%」など、さらに細かく割引設定をすることも可能です。
長期滞在では清掃の回数が少なくなるため、粗利益率が向上します。また稼働率が伸び悩む閑散期や緊急事態宣言などの状況下では、空室リスクをカバーでき安定した収益を得られるメリットもあります。そのため、長期滞在を獲得するために割引は設定しておくと良いでしょう。
長期滞在に必要な備品を揃える
長期滞在では洗濯機やキッチン設備の充実、予備のリネン類などが必要になるため、もれなく揃えておきましょう。自身が実際にその物件で生活する場合に、何がないと困るか?を考え、必要なものを抜かりなく用意しましょう。掃除機などの掃除用具をゲストが使えるようにしておくのも大切です。
なお、民泊で出るゴミは事業ゴミになるため、事業者が処分しなくてはなりません。ゲストが集積所などにゴミを捨てるのは違法となります。なので、定期的な事業ゴミ回収や、屋外用のゴミストッカーを用意しておくことも大切です。
長期滞在受け入れの際の注意点
長期滞在を受け入れる際に注意しておきたいポイントもまとめておきます。
OTAでは民泊の180日規制を回避できない
Airbnbでは、2021年4月1日から、宿泊日数にかかわらず、全ての予約が住宅宿泊事業法(民泊新法)の180日規制に伴う営業日数のカウントに含まれることになりました。 つまり、30日以上の長期予約を獲得すると、その分だけゲストを泊められる残り日数が減るということになるのです。
具体的には、2021年4月1日以降、宿泊期間の長さや適用される条例に関わらず、住宅宿泊事業法に基づく宿泊施設での宿泊はすべて180泊の計算に含まれています。2021年4月1日以降にすでに確定している予約も、その予約の長短に関わらず、180泊の計算に含まれており、どのプラットフォームで予約されたかに関わらず、「届出住宅」リスティングにおける予約に適用されています。
たとえば、2021年4月2日から6月までの長期滞在予約の60泊は、上記のとおり180泊の計算が適用され、観光庁や地方自治体に共有されます。
引用:Airbnb「日本国内の「年間上限180泊のルール」に関するよくある質問」
これは、Airbnbでホストがゲストと締結する契約が「宿泊契約」になるため、賃貸借契約とみなすことができないのが原因です。 もちろん180日をオーバーして貸し出してしまった場合には罰則が適用されますので、くれぐれも注意が必要です。
民泊180日規制の回避には賃貸借契約が必要
民泊(住宅宿泊事業)物件で30日以上の長期滞在を受け入れる際には、180日規制の適用を免れるために必ず賃貸借契約を締結しましょう。
ゲストの宿泊に際して特に契約を結んでいなければ、宿泊契約とみなされて180日規制の対象となってしまいます。そのため、ゲストの入居前に、指定した期間内で契約が終了する「定期建物賃貸借契約」を結ぶ必要があるのです。
マンスリー物件の予約サイトの中には、オンラインで定期建物賃貸借契約を締結できるものもあるため、そうしたサービスを利用すると便利です。 それ以外の場合には、オンラインで契約が締結できるクラウドサインなどの活用も便利です。
なお、1ヶ月未満の滞在については、賃貸借契約を締結しても宿泊契約とみなされるため、くれぐれも注意が必要です(契約期間内に解約が行われ、その契約終了日までに新たなゲストを受け入れたなど、実質的に1ヶ月未満となった場合も同様)。
宿泊より利幅は小さくなる
長期滞在では割引の適用をすることが一般的であることから(というより、割引をしないと高額になりすぎて予約が入らないので)、利幅は宿泊契約に比べると小さくなります。水光熱費も上がるため、割安にしすぎると機会損失が大きくなるケースもあるため注意が必要です。
一方でまとまった売上が確定するため、収益が安定するというメリットもあります。
マンスリー賃貸の募集方法
民泊新法物件の場合、実質的にAirbnbなどのOTAで30日以上の予約を受け付けることは現実的ではありません。そこで、以下のようなマンスリー物件の募集サイトをご紹介しておきます。
NOW ROOM
NOW ROOMは Web上で簡単にマンスリー物件を予約できるプラットフォームで、従来の競合プラットフォームに比べて、直感的でスマホにも最適化されたインターフェイスが特徴です。
若年層のアーリーアダプターを中心に集客力が期待でき、操作性も高く、さらにオンラインで賃貸借契約を完結することも可能なため、非常に使い勝手が良いサービスと言えます。手数料は売上の10%前後とさほど高くないため、この点でも活用をお勧めできるサービスです。
Sumyca
Sumycaは民泊の総合サービスを提供するmatsuri technologiesが運営するマンスリー物件募集サイトです。 同社自身がマンスリー予約を積極的に受け付けている実績があることから、プラットフォームの集客力にも一定の期待が持てます。
これまでは一時帰国や自主隔離といった、コロナ禍に伴う長期滞在ニーズに多く応えてきたとのことですが、今後はより多様な用途での集客が期待されます。
ジモティー
意外に思われる方もいるかと思いますが、ジモティーでも長期滞在の集客は可能です。実際に弊社でも長期滞在の賃貸借契約を受け入れた実績があります。
不動産カテゴリーの「短期賃貸」の欄に物件情報を登録できます。ゲストとのやり取りや契約、決済など全て自身で行う必要があるものの、無料で利用でき、反響もそれなりにあるため、活用して損はないでしょう。
ただし、匿名サービスで本人確認も厳格ではないことから、ユーザーの良し悪しはよく見極めたほうが良いでしょう。また、家賃保証サービスへの加入を義務化したり、賃料の全額前払いを課したりするなどでリスクヘッジすることも大切です。
まとめ
民泊で長期滞在を受け入れることで、安定した稼働率と売上を確保しやすくなります。一方、民泊新法の場合は180日規制の対象とならないように、30日以上の滞在は定期賃貸借契約を結ぶようにしましょう。
長期滞在の受け入れには、適正な割引率を設定したうえで、自炊に便利なキッチン環境を整備したり、予備のリネン・タオル類を用意しておいたり、洗濯や掃除などを快適に行えるようにしたり等の準備が必要になります。
上手に長期の予約を獲得できるようになれば、閑散期でも稼働率を高くでき、収益を安定化できます。一週間以上、一ヶ月以上といった単位で、上手に予約が取り込めるようにリスティングの調整を行ってみてください。
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