民泊物件の良し悪しはどう判断する?物件検討の流れとコツまとめ

不動産活用

民泊可能な物件を探していく中で「これは良さそうだ」と感じる物件に出会えた場合、実際に内覧に赴いて投資判断を行うことになります。判断に必要なポイントは複数あり、最初はどのように良し悪しをチェックすれば良いかも分からないことでしょう。

そこで、この記事では具体的な民泊物件の検討方法について、必要なアプローチを一つずつ解説していきます。

エリアニーズと立地条件を確認する

気になる物件の情報が見つかったら、まずはそのエリアの宿泊ニーズと立地条件を確認します。内覧に行く前に、市区町村の宿泊人数や客室稼働率などのデータを確認したり、Googleマップで周辺環境を見てみたりするなどで先に調査しておくと良いでしょう。その後、実際に内覧をして立地条件の良し悪しを判断します。

具体的な判断方法については以下の記事をご一読ください。

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外観、内装と間取りをチェックする

内覧の際には建物の外観や内装、間取りが民泊に適しているかどうかも確認することが必要です。後から改修することも可能ですが、なるべく現状のまま、手を入れる箇所が少ない物件の方が開業コストを安くできます。また物件によっては外観や内装の改修がNGな場合もあるため、そうした物件の場合は現状のままでも民泊が運営できるかどうかという視点で考える必要があります。

特に間取りは開業許可が取得できるかどうかを左右するため、とても重要です。各部屋に十分な広さの窓はあるか、 廊下はやたらと狭くないか、階段が急すぎないか、トイレの室内か近くに手を洗える洗面所などがあるか等のポイントを確認しておきましょう。

また、ゲストが使いやすいかどうかという観点からも確認することが大切です。例えば以下のような視点で物件を確認してみましょう。

  • 寝室になる各部屋の位置と広さ(1名につき3㎡以上の確保が必要。6畳は3人、4.5畳は2人が目安)
  • 脱衣所、洗面所置き場はあるか
  • トイレ、浴室、キッチンなどの水回りはキレイか、女性にも抵抗なさそうか
  • 子供や老人に使いづらい造りになっていないか
  • 消防設備は付いているか(特にマンションの場合。共用部もチェックし、設置されていない場合は事実上開業不可能になるケースもあるので要注意です)
  • 防音性は高そうか

開業許可が取得できそうかチェックする

最も重要で難しいところではあるのですが、旅館業法に基づく許可あるいは住宅宿泊事業法による届出の受理が現実的に可能かどうかを精査することは欠かせません。物件によっては許可等を取得するために多額の費用をかけて改修しなければならないケースや、旅館業法の許可を取得することができない物件である一方、年間180日までの民泊営業では利益が期待しづらい、というパターンもあるからです。

許可が取得できるかどうかの確認ポイントについては、次回の記事で詳しくまとめます。

近隣住民の民泊に対する反応を確認する

戸建物件や防音性が低そうな物件などでは特に注意が必要な部分です。民泊に悪いイメージを持つ人も多いため、近隣住民の温度感を確認することで、営業後の近隣トラブルの可能性を推測することが大切です。

自治体によっては、宿泊施設を開業するまでに近隣住民への説明会もしくは別訪問による事業説明を行い、その結果をまとめた書類を開業許可申請に必要な書類として求めてくるケースもあります。その際に反発があっても宿泊施設の開業許可を受けること自体には問題はないのですが、今後のトラブルが予想されます。そのため、物件を実際に借りたりする前に近隣トラブルの可能性を確認しておきましょう。

やり方としては例えば、内覧が終了した際に現地で解散とし、そのまま周辺環境の調査をしながら、近隣住民と話ができそうな機会を伺います。「あの物件(部屋)で民泊をしようかと考えていますが、この近くで何かトラブルや迷惑になったという声はありますか」というような聞き方で反応を探ってみると良いでしょう。

快い反応を返す方は少ないかもしれませんが、強く反対されなければ納得してもらえる可能性は高いと言えます。「なるべく迷惑をかけないために、こうします」ということをきちんと伝えたり、緊急連絡先(代行業者等でもOK)を渡したりして、将来トラブルが起きにくいようにコミュニケーションを取りましょう。

一方、一人でも強い反対が出る場合には慎重になり、なんとか説得を試みるか、その物件は諦めるかしたほうが無難です。強行してもトラブルになる可能性が高く、ゲストにも悪い心証を与えるケースも考えられますし、嫌がらせ等があった場合にも、訴訟を起こすのは費用面やその後の近隣との関係性を考えると望ましい行為ではないからです。

マンスリーや時間貸しのニーズも考える

また民泊だけではなく、マンスリー賃貸や時間貸し(レンタルスペース)のニーズもあるかどうかを考えておくとベターです。

マンスリーはビジネス客の利用や自宅の建て替えのための一時的な住まいして利用する人が多く、都心部に近く最寄り駅への距離が短い場所にあれば、比較的安定した需要が期待できます。マンスリー賃貸を併用することで、住宅宿泊事業法による日数の上限を超えても収益化ができるため、賃貸ニーズがあるのはプラス要素であると言えます。

また1時間単位で物件を貸し出す、レンタルスペースの形態も流行の兆しを見せています。例えばプライベートな空間で仲間と飲み会をしたいというニーズなどに応えるパーティールームや、小規模な撮影スタジオや会議室、貸し教室などといった形でレンタルし、収益化を実現します。旅館業許可を検討している場合は、マンスリー賃貸と合わせてレンタルスペースも検討すると良いでしょう(住宅宿泊事業の場合はあくまでも住宅用途での利用が前提となるためです)。

特に2021年4月現在においては、新型コロナウイルスの影響により依然として宿泊需要が低い状態にあります。そのため、これらの業態との併用も考えることが、 経営状況をするための重要なポイントであると言えます。

プランを図面やノートに起こして考える

内覧を行い、周辺環境や物件についてある程度の情報が把握できたら、開業プランを図面やノートに落とし込んでいきましょう。

図面には、どこに家具や寝具を配置するか、どこにリネン類や備品類を保管するか、避難経路はどうなるか、どの箇所をどのように改修するのか、といったポイントを書き込んでおきましょう。この図面は開業許可等の申請時にも使用することになるため、他人(保健所・消防署の職員等)が見てもわかるように記入し、コピーも数枚とっておくことをおすすめします。

また、自分で頭の中を整理するために、テキストに書き起こしておくことも有効です。購入すべき備品の一覧や、その他やっておくべきことなどを洗い出すと、抜け漏れに気付きやすくなります。その結果、より精度の高い収支計算も可能になります。

想定収支を計算する

以上のことを終えたら、改修費や家具備品類・消耗品の購入費、家賃、水光熱費やネット代、運営代行費や清掃費、OTA手数料などの諸々のコストと、期待できる売上をそれぞれ月ごとに表計算シートにプロットし、想定収支を作成します。これにより、事業として採算が合いそうかどうかを確認し、その物件への申し込みを判断することとなります。

想定売上については、Airbnb等で近隣の競合物件を検索し、予約状況と平日・週末それぞれいくらで販売しているかを確認した上で設定するのがスタンダードです。2021年4月時点ではコロナ禍により予約状況がどの物件も壊滅的なため、あまり参考になるデータは得られないかもしれませんが、平時であればこの手法で十分な予測精度を担保できるでしょう。

改修費と家具備品類、消耗品については、可能な限り見積りを取得したり購入物品一覧表を作っておいたりすることをおすすめします。消耗品については定期的な補充も加味して収支に反映させましょう。

また、運営や清掃を業者に委託する場合は、候補業者の料金表から想定費用を算出します。多くの民泊運営代行業者は売上歩合制を取っているため、売上が上がるほど費用は多く、売上が少ない時は費用もかからない形になります。清掃費の算出には宿泊組数を加味する必要があるため、想定売上を求める際は「宿泊組数×平均単価」で算出する形を取ると便利です。

なお売上の項目に関して注意したい点は、「売上=OTAの手数料差引後の振込額、ではない」という部分です。売上には手数料差引前の金額を入れ、OTA手数料は費用の項目に追加しましょう。これは、会計上は売上とOTA手数料を分けて仕訳する必要があるため、その便宜をはかる目的で行います。他にもOTAごとに手数料率が異なるため、後から手数料額をチェックして、どのOTAに予約を集中させるのが最適なのかを精査できるようにするという目的もあります。

その他、マンスリーマンション等で賃貸した場合にどれくらい収益が出るのか、といった観点でも収支想定をしておくと、よりリスクを軽減できます。

まとめ

民泊物件は様々な観点から良し悪しを判断する必要がありますが、最も肝心なのは「収支は合うか」という点です。開業許可に要する費用や改修費用、その他家具備品等の購入費などの諸費用を積み上げ、最終的にどれくらいの損益になりそうかを計算することで投資判断を行うことになるためです。

また、トラブルの種になりそうな近隣住民との関係性や物件の防音性なども慎重に見ておきましょう。これらは必ずしも収支に反映される要素ではない一方、事業の継続性に影響を及ぼす可能性があるため、要注意です。

民泊物件を検討する際は、焦らずにじっくりと検討を重ね、十分に納得できる場合にだけゴーサインを出しましょう。特にコロナ禍の現状においては低空飛行の経営状況が続くことを見越す必要があるため、出血量を抑えるためのリスク分析は精緻に行いましょう。

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