先日、箱根の民泊で、ゲストが禁煙にもかかわらず喫煙してしまい、さらにリビングの畳に吸い殻をこぼして焼け焦げを作ってしまうという事件がありました。
今回は事なきを得たので費用請求はせず、注意のみで済ませましたが、同様のトラブルが起きた際に、賃貸人・賃借人それぞれの立場でどう対応すれば良いのかを参考にまとめてみます。
大家の対応手順
大家さんが、自分の賃貸物件の畳を賃借人(賃借人が宿泊させたゲスト等も含む)に焦がされた場合の対応は以下となります。※管理会社に委託している場合は管理会社の指示に従ってください。
- 賃借人から報告を受ける(or 何らかの形で報告前に発覚した場合、賃借人に書面で事実を認めさせる)
- 修理業者の手配をする
- 見積もりを受領し、請求先を賃借人にする
- 賃借人に「借家人賠償責任保険が使えるので申請してください」と伝える
- 工事を終え、賃借人が費用を支払う
賃借人によって畳に焼け焦げができた場合、賃借人の過失となるので費用負担は賃借人です。しかし、大抵の場合、賃貸時に加入させている借家人賠責が使えるため、賃借人が直接修繕費用を負担する可能性は低いと言えます。
賃借人も直接の費用負担がないと分かれば問題なく修繕費用の支払いをしてくれるはずなので、明確に「保険が使えるから費用負担は無いですよ」と伝えてあげることが重要です。
ちなみに、自宅で自分や家族がたばこの焼け焦げを作ってしまった場合は「不測かつ突発的な事故」などの補償範囲に含まれる可能性があるため、補償を受けられるかどうか、火災保険の内容を確認してみましょう。
賃借人の対応手順
弊社の場合は、建物の賃借人である弊社が宿泊させたゲストによる損害のため、弊社が大家さんに対して修繕責任を負わなくてはなりません。賃借人の責任による場合の対応手順は以下となります。
- 大家または管理会社に損害が発生した旨を伝える
- 大家または管理会社が業者を手配しない場合、修繕の手配
- 見積書と写真をもって借家人賠償責任保険の申請
- 修繕完了の報告および修繕費の支払い、保険金の受取
ゲストが発生させた損害については、賃借人からゲストに対して請求を行うこととなります。その場合、見積書をもとに先方へ掛け合い、解決することが必要です(今回弊社では保険が下りるので控えましたが)。
民泊などお客様を建物内に呼ぶ業態の場合、どうしてもお客様による建物の破損・汚損トラブルは付きものです。そのため、しっかり上記の手順を把握した上で、トラブルを未然に防ぐ注意書きやマニュアルの整備などを行う必要があります。
まとめ:不動産の保険はあなどれない
今回のような小さなトラブルは、賃貸経営や民泊運営をする中では必ず遭遇するものです。そして、そんな時に活用できるのが、大家側なら火災保険、賃借人側なら借家人賠償責任保険となります。
これらの保険を活用することで、修繕費用の負担なく破損・汚損箇所を直すことができるため、せっかく加入しているのなら活用しないと損だと言えます。
たまに所有物件に火災保険をかけていない大家さんも見られますが、個人的には絶対かけておくべきだと思います。台風や大雨などによる災害リスクが高まっている今、数百万円にもなり得る修繕費をカバーしてくれる火災保険は賃貸経営には不可欠なリスクヘッジです。保険料なんて一発で元が取れます。
賃借人に加入を求めるだけでなく、自身も火災保険にきちんと加入し、お互いに事業や居住のリスクを限定したいものです。