民泊の始め方は?許可の取得方法、物件探し、経営のコツなど徹底解説

不動産活用

民泊の開業に関心を持つ方は、まず「どうすれば開業できるのか」を知ることが大切です。物件の契約や家具備品類の購入など、まとまった初期費用が必要になるほか、営業許可を取得する手順は事前に覚えておかなければ苦労するためです。

この記事では、0から民泊をスタートしようという方に向けて、簡単に開業までの手順をまとめています。ぜひご一読いただき、不明点があればコメント等でも解答しますので、ご参考にしてください。

どこで開業するかを考えリサーチする

まずは「どこで民泊をやるか?」を考えることからスタートします。自分が今住んでいる地域の近くで宿泊ニーズが高いエリアを選定するのが一般的ですが、あえて自分と縁のないエリアにしたり、宿泊施設の供給がない田舎町にしたり、というケースも見られます。

基本的に宿泊ニーズは東京や大阪といった大都市の都心部ほど高くなります。宿泊ニーズのマクロ調査は「宿泊需要+(地域名)」で検索すれば様々なリサーチデータを閲覧できるので便利です。都道府県・市区町村単位での客室稼働率が高い場所ほどニーズの高い地域であると考えられます。

ミクロ調査に関しては、Airbnbで気になるエリアの民泊物件一覧を検索し、「物件数がどれくらいあるか」「検索上位に出てきた物件にどれくらい予約が入っているか」「価格はどれくらいか」「売れている物件にはどんな傾向があるのか」といったことを分析するのが一つの手段です。複数のエリアをじっくり比較検討し、少しずつニーズを掴んでいきましょう。

税務署に開業届を出す

個人事業の開業届もしくは法人を設立していない方であれば、民泊を始める前に税務署へ開業届を出しておきましょう。フォーマットはこちらからダウンロードできるので、印刷し記入したものを最寄りの税務署に提出します。合わせて青色申告承認申請書も出しておくと節税メリットが享受できます(記帳もしくは税理士に確定申告の代行を依頼する手間はかかりますが、今後の事業継続を考えると欠かせません)

民泊営業が可能な物件を探す

どのエリアで民泊を始めるのか、リサーチが終わったら、実際に物件探しを始めましょう。ここは難航する部分ですが、宿泊業は立地が命であり、家賃も収支を大きく左右する要素なので、焦らずじっくりと探しましょう。

民泊可能な物件を探す方法には、主に以下のような手段があります。

  1. 民泊物件専門ポータルサイトを見る
  2. 通常の不動産ポータルサイトを見る
  3. M&Aサイトで譲渡案件を探す

最も効率が良いのは1番です。代表的なサイトに民泊物件.comがあります。気になる物件があれば積極的に問い合わせて内覧してみると良いでしょう。ただし、閲覧者も比較的多く競争がやや激しかったり、条件が厳しい(敷金・礼金が高いなど)物件も多い傾向にある点は注意が必要です。

次にスタンダードな選択肢と言えるのが、HOME’Sなど通常の不動産ポータルサイトで民泊可能な物件を探すというものです。しかし、民泊可能な物件は非常に少ないため、普通に問い合わせても不動産会社からの回答が得られること自体稀です。そのため検索条件のキーワード欄に「民泊可能」「民泊相談」「店舗利用可」と入力する等で探すのが効率的です。

また、コロナ禍によって民泊含む宿泊業界が大きな打撃を受けたことから、廃業する施設が増えています。それにより、トランビなどのM&Aサイトにも、民泊の事業譲渡案件が多数登場するようになっています。すでに内装が整い、営業許可も取得している状態の物件を入手できるため非常に楽ですが、案件によっては手数料+譲渡費用が割高になったり、譲渡契約のチェックが必要になったりする点がデメリットと言えます。

私として最もおすすめの選択肢は3番のM&Aです。簡単なリーガルチェックや会計処理ができる体制さえあれば、業歴のない個人の方でも利用は簡単なため、積極的に活用を検討してみると良いでしょう。

物件を見る際の主なチェックポイント

民泊物件を選ぶ際には、主に以下のような点を確認すると良いでしょう。

  • 何名収容できるか⇒定員1名につき客室有効面積(実際に寝られる床面積)3㎡以上が必要。1-5名はトイレ1ヶ所、6-10名はトイレ2ヶ所以上が目安、などの要件がある
  • 用途地域⇒旅館業許可を取得するには「商業・近隣商業・第一種住居・第二種住居・準住居・準工業」地域でないと×。住宅宿泊事業届出の場合、市街化調整区域以外であればOK(自治体により住居専用地域での営業NG等の独自規制があるため要確認です。また調整区域でもOKな自治体もあります)
  • 物件内(共用部・専有部)に自動火災報知設備、消火器、避難誘導灯が設置されているか⇒マンションの場合。戸建・アパートは付いていないケースがほとんど
  • 仲介会社が「民泊可能」としている根拠と、可能であれば証拠も
  • トイレの中または隣接して手洗い可能な設備が付いているか⇒ロータンクの手洗いは許可OK/NGの自治体で分かれる
  • 物件の寸法⇒営業許可(届出)申請時に必要になる。必ず内覧時に図って図面に落とし込んでおく。通常のメジャーよりレーザー式が圧倒的に楽

たとえ民泊営業を許可されている物件であったとしても、実際に営業許可が取得できる物件かどうかはわかりません。そのため、必ず許可が取れそうかどうか、内覧時から確認を取っておく必要があるのです。

また仲介業者の中には、よく確認せず「民泊OK」と謳うような悪質な会社もあります。少ないケースではありますが、念のためよく確認し、言質を取っておくことをおすすめします。

実際に許可が取得できるかどうか、いくら費用がかかるかは、寸法入りの図面を持って関係各庁と打ち合わせを行わないと確定しないため、内覧時には物件の寸法をもれなく控えておきましょう。また内覧前に、事前にその物件が所在する地域の保健所のサイトから、「旅館業の手引き」を入手して目を通し、どんな要件が必要になるかを押さえておきましょう。

なお、最初は全く分からないかと思いますので、旅館業法や住宅宿泊事業法の許可(届出)取得を支援してくれる行政書士などに同行を依頼し調査してもらうと良いでしょう。調査だけであれば少額の費用のみで済みます。

営業許可(届出)取得に向けた相談を始める

内覧を終えて図面に寸法を記入し終えたら(比較的築年数の浅い物件なら、建築確認書類を貰えないか打診する手段がおすすめです)、その図面など物件の概要書を持って、まず物件が所在する地域の管轄保健所にアポを取り、訪問します。初回は旅館業・民泊(住宅宿泊事業法)の両方について話を聞くようにすると良いでしょう。

保健所とのやり取りでは、許可(届出)申請に必要な手続きなどを教えてもらえます。基本的には以下の手順で関係各庁を回り、各法規の要件を満たしていく必要があります。また、下記と並行し、後述の民泊運営代行業者などの選定も行いましょう。

  1. 建築課で建築基準法の適合確認および用途変更(宿泊事業に利用する面積が200㎡を超える場合)の要否確認などを行う
  2. 消防署で必要な消防設備について確認し、設置工事完了の後、消防法令適合通知書を提出⇒査察対応を完了し、消防法令適合通知書を受理する
  3. 上記2点完了後、保健所に許可申請もしくは民泊届出システムよりWeb経由で届出申請⇒査察対応を完了し、営業許可を取得する
  4. 環境課で水質汚濁防止法にかかる届出を行う

営業許可が取れるかどうかを左右するのは、主に建築基準法と消防法です。物件によっては法規に適合するために数百万円以上の改修費用が必要になるケースもあり、予算オーバーとなって営業を断念することになるケースは珍しくありません。

検査済証(新築工事が完了したことを証する書類一式)がある物件なら、建築基準法や消防法に適合するための大きな改修は必要ない可能性が高くなりますが、築年が古い物件、特に1981年6月1日以前に建築確認を取得している物件は改修の必要性が高いため要注意です。

また、消防法に適合するためには火災報知設備などの消防設備を設置しなければならず、設置されていない物件であれば、通常だと100万円程度の投資が必要になります。しかし、その投資額を半額以下に抑えられる「特定小規模施設用自動火災報知設備(略:特小自火報)」が導入できるか否か、また避難誘導灯や非常用照明の設置を行わなくても良い要件に当てはまるか否か、という点を確認しておくことで、必要な投資額を大きく削減できます。

しかし消防法で要注意なのは「共同住宅で消防設備がない場合」です。この場合、家主負担で共用部に消防設備の設置が必要になるケースがありますが、家主や管理会社が施工してくれる可能性は非常に低いと言えます(投資額が過大なため)。もし検討物件が消防設備のない共同住宅である場合は、専有部のみの設置で足るかどうかを確認しましょう。

民泊運営代行業者・清掃業者を選定する

営業許可取得手続きと並行し、民泊運営代行業者、もしくは清掃業者(旅館業許可を取得し、かつ運営を委託しない場合)の選定も行いましょう。営業許可取得に当たって、緊急時に所定の時間内に現地へ駆けつけられる体制を整える必要性があったり、スタッフ不在型の住宅宿泊事業法においては運営を代行業者に依頼することが届出受理の条件となっていたりするためです。

各事業者は検索すれば複数見つかりますが(都市部の場合)、できる限り評判などを調べ、信頼できるかどうかを確認しながら選定すると良いでしょう。また、費用や代行範囲についても業者により異なるため、比較検討をおすすめします。費用は民泊売上の10~20%という水準が相場です。

ここで問題となるのは、「所定の時間内に駆けつけられる体制を確保できるかどうか」です。旅館業法の場合はほとんどの自治体でこの要件が定められているほか、住宅宿泊事業法でも厳しめの要件が課されている自治体も見られます。要件を満たせるかどうかは、物件の住所を各代行業者に伝え、対応可能かどうかを確認しておく必要があります。

物件の契約後、家具備品類を購入・設置する

営業許可が取れる算段が立ったら、物件の契約手続きを行い、民泊営業に必要な家具や備品などを発注しセッティングを行います。また電気やインターネットなどのインフラ契約も行います(参考:民泊・レンタルスペース・店舗のインターネットはモバイル・固定回線どっちが良い?

なお、保健所査察の際には「定員分の寝具があるか」「予備のリネン類があり、ゲストが勝手に使わないように保管されているか」「バスタオル・ハンドタオルは十分備えられているか」「手洗い場にハンドソープ等が設けられているか」などが許可要件として見られるため、忘れずに購入・設置しておきましょう。

また、セッティングが完了次第、OTA(予約サイト)等に掲載する写真を撮影しておきましょう。自身で撮影する場合は、超広角レンズ付きのミラーレスもしくは一眼レフがあると望ましいです。しかし写真のクオリティは予約率に大きく影響があるため、プロに発注するのも良いでしょう。

営業許可申請(届出)を行う

必要な工事などを済ませて消防法令適合通知書が交付され、また建築基準法等にも問題がない旨を確認できたら、いよいよ指示された書類と申請費用を持参して保健所へ許可申請を行います(旅館業許可の場合。民泊の場合はオンラインの民泊届出システムに書類をアップロードして申請します)。

申請後、保健所の現地査察を経て、問題なければ提出から1~2週間程度で営業許可が下りることになります。その後、または申請と並行して、水質汚濁防止法の届出(簡単です)も行います。

OTA(予約サイト)のリスティングを作成する

営業許可証もしくは届出番号を交付されたら、AirbnbなどのOTAに物件情報(リスティング)を登録します。写真をアップロードし、民泊を紹介するテキストを作成し、料金設定を行い、営業許可番号を登録して完了です。内容の充実度や料金設定が予約率の高さに大きく影響するため、競合物件をよく調査してじっくり練り上げましょう。

なお、Airbnbの場合、公開ボタンを押してから1~2日ほどは審査期間となるため、リスティングは非表示となるのでご注意ください。

開業後に気を付けておくべきこと

民泊の開業後に注意しておくべき主なポイントを挙げておきます。

OTAからのメールやプッシュ通知はすぐ確認する

予約が入った時やゲストから連絡があった時には、OTAからメールやプッシュ通知(アプリをインストールしている場合)が来るので、必ず通知設定をオンにして見逃さないようにしましょう。見逃してしまうと、クレームや予約のキャンセルに繋がる可能性が高くなってしまいます。

毎月きちんと収支管理と帳簿管理を行う

毎月の売上と費用はきちんとエクセル等で管理し、どれだけの損益が出ているかを把握しておきましょう。利益の額を毎月確認することで、改善の余地がないかどうかを検証しやすくなります。また確定申告の際にも役立ちます(収支管理から確定申告までクラウド会計ソフトを利用するとかなり楽になります)

クレームには誠実な対応を心掛ける

民泊をやっていると、ゲストや近隣住民からクレームを受ける機会も出てきます。その際には相手を逆なでしないよう、くれぐれも丁寧かつ誠実な対応を行う必要があります。運営を代行業者に委託している場合でも、クレームがあれば自身でもお詫びをする姿勢は持っておいたほうが良いでしょう。

特に近隣から継続的にクレームが来る場合、最悪営業停止命令が下る可能性もあります。くれぐれも注意しましょう。

まとめ

民泊・宿泊施設を開業するのは比較的手間がかかります。また初期投資額もかかるため、慎重に収支や物件、許可要件を精査して進める必要があります。

コロナ禍の現在においては民泊の事業性は期待できませんが、逆に収束し観光客が戻ってくれば、今と比較すれば爆発的な売上も見込めるでしょう。数ヶ月の赤字を耐えられる覚悟とキャッシュフローがある方なら、今なら市場に良い物件が多数出回っているので、開業を検討するのも一つの選択肢でしょう。

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