レンタルスペース営業が可能な物件は数が限られ、目当ての物件に出会うには少々骨が折れます(民泊よりは探しやすいですが)。あらかじめ物件の探し方を知っておかなければ、なかなか候補物件を見つけることは難しいと言えます。
ここではレンタルスペース物件の探し方について、主なパターンとそれぞれのメリット、デメリットを解説していきます。既に営業している方も、まだ試していない手法があるかもしれませんので、どうぞご一読ください。
レンタルスペース専門ポータルサイトで探す
民泊可能物件をメインに掲載しているポータルサイト「民泊物件.com」では、レンタルスペース可能物件も取り扱っています。まずはこちらを閲覧するのが最も手っ取り早い手段ですが、物件によっては条件が相場よりも高いものもあるので注意が必要です。
メリット
執筆時点において、レンタルスペース運営が可能な物件を専門に掲載している不動産ポータルサイトは民泊物件.comのみと言えます。そのため他の物件探し手段と比べて効率が良く、すぐに目当ての物件に出会える可能性もあります。通常のポータルサイトから一つずつ物件を探して問い合わせをする労力も必要ありません。
デメリット
上記のように、通常の事業用物件の相場よりも高い条件で募集されている物件の掲載も多いことには注意が必要です。レンタルスペース営業が可能な物件は少ないことが理由の一つに考えられます。賃料に加え、敷金・礼金なども冷静に吟味して物件を選ぶ必要があります。
レンタルスペース取扱仲介業者に当たる
レンタルスペース可能物件を専門に仲介している不動産会社もいくつかあります。中にはあまり積極的に発信をしておらず、口コミ経由での集客を行っている業者もいるため、探すには少々手間取ることもあるでしょうが、レンタルスペースオーナーのコミュニティに入ったり、Twitter等のSNSでリサーチしてみることで繋がりを作りやすくなります。
基本的に希望の条件を伝えたら、それに応じて候補物件を紹介してくれたり、新着物件が出次第案内をしてくれたりする形式で物件情報を流してもらえるケースが一般的です。懇意の仲介業者さんを1,2社見つけておくと有利に物件を探せます。
メリット
公には情報を出さず、口コミで繋がった投資家に対して、希望条件をもとに物件情報を提供してくれるスタイルの不動産会社と繋がれれば、物件を探す労力は大きく削減できるほか、相対的に競争が少なくなるという期待もあります。また継続的に物件の紹介も期待できるため、複数店舗を持ちたいという方は繋がりを作っておくことをお勧めします。
デメリット
中にはあまり評判の良くない仲介業者もいるほか、クローズドで物件紹介を行うスタイルの事業者については、繋がりを作るのに少々ハードルがあります。また先方にメリットがないと良い物件を継続的に紹介してもらうことは難しいため、本気で物件を探している場合でなければ、チャンスを逃してしまう可能性もあるでしょう。
筆者個人的には、継続的なお付き合いをする場合には、ある程度ウェットな関係も持っておく必要があると考えています。相手にとって気持ちが良く、かつきちんと物件を精査して契約し、仲介手数料を支払う事業者たる必要があります。事業としてのメリットと人としての心地良さの双方が、継続的かつ良好な関係を築くのに大事なポイントだと考えます。
通常の不動産ポータルサイトで探す
民泊可能物件に比べると、レンタルスペースが可能な物件は通常のポータルサイトでも比較的見つけやすいといえます。特に貸事務所や貸店舗物件に問い合わせれば、運営可能という返答をもらえる可能性はそれほど低くはありません。積極的に活用すると良いでしょう。
もちろん全ての物件がレンタルスペース可能というわけではなく、断られる件数の方が多いのですが、その労力を厭わなければ最も多くの物件に出会える可能性のある手段です。
メリット
ポータルサイトに掲載される物件は数が多いため、レンタルスペース運営が可能な物件の絶対数も多いと考えられます。そのため、積極的に問い合わせを行って物件開拓をすることで、様々な候補物件を掘り出せる可能性があります。
デメリット
どの物件がレンタルスペース可能かは一見では基本的に分からないため、一つずつ気になった物件を問い合わせるという手間がかかります。また、転貸を禁止する物件が多いため、断られる可能性のほうが高いことから、精神的にも疲労感を覚えるかもしれません(民泊よりマシですが…)。断られても無視されても泣かない。
M&Aサイトで譲渡案件を探す
まだ数は少ないですが、TRANBIなどのM&Aサイトで居抜き譲渡案件を探すという選択肢もあります。
メリット
居抜き物件はすでに内装のセットアップが済んでおり、すぐに営業できる状態が整っていることから、マネタイズまでが非常に早いことがメリットです。また今までの営業者のノウハウも教えてもらえるため、初心者にも優しいと言えます。
デメリット
撤退に至った理由が必ずどこかに存在するため、そのデメリットを自身が解消して収益性の高い事業とできるかどうかはよく精査しておく必要があります。また譲渡契約の締結に当たってはリーガルチェックが必要になるほか、相対取引のために譲渡価格が適正かどうかも冷静に判断する必要があります。
加えて、M&Aサイトを利用する場合にはプラットフォーム手数料も発生します。月額制・成約報酬制の双方が存在しますが、月額制の場合は案件数が少なく、なかなか新規案件が登場しないため、費用を回収できるかどうかは未知数な部分があります。
不動産を購入するか保有物件を利用する
新規に購入した物件や既に保有している物件でレンタルスペースを営む方もいます。通常は物件を借りてレンタルスペース営業を行いますが、不動産賃貸業を並行して営んでいる方には選択肢の一つになり得ます。
メリット
通常の不動産投資(賃貸借)スキームだと、月単位で空室が発生するリスクもありますが、その期間中レンタルスペースとして時間貸しすることで収益の補填を行うことが可能です。また、事業がうまくいけば通常の賃貸借よりも高い利回りを狙うこともできるでしょう。
デメリット
一方で、共同住宅の場合には管理会社との調整や入居者への配慮が必要になるほか、区分マンションでは管理組合の承諾を得なければレンタルスペース運営は基本的に難しいため注意が必要です。
また、通常の不動産賃貸業とは少々趣が異なることから、物件購入を考える際の融資打診の難易度は上がると見込まれます。賃貸よりも収益性が高い理由は何か、どのようなビジネスモデルでやるのか等、金融機関が納得できる資料やプレゼンは必要になるでしょう。
まとめ
レンタルスペース物件の探し方は民泊物件と同様ですが、民泊に比べればまだ難易度は低く、通常のポータルサイトから事業用物件を探すことでも候補物件に巡り合える可能性は十分にあります。積極的に問い合わせてみると良いでしょう。
一方、仲介業者やポータルサイトが公にレンタルスペース可能物件を紹介していない傾向にあることから、自ら積極的に情報を取りにいかなければ難しいという実情もあります。Twitter等のSNSで情報収集に努め、物件情報を得られる体制を作るようにしましょう。