別荘で民泊を行うメリットと注意点、始め方

コロナ禍によって自由な移動が制限される中、マイクロツーリズムという言葉の流行に代表されるように「大都市郊外のリゾート地」へ宿泊需要が集中する傾向が顕著になっています。これを受けて、別荘で民泊を行う事業者が増えてきています。

弊社でも箱根・湯河原といった東京郊外のリゾート地で民泊を営業しており、都市部の民泊に比べると安定して収益を確保できています。

しかし、別荘地で民泊を行う場合は、都市部の民泊物件とはまた異なる注意点もあるため、開業を検討するにあたっては、それを押さえた上で手続きを進めることが大切です。この記事では別荘民泊のメリットと注意点、そして始め方についてまとめていきます。

別荘民泊のメリット

まず、別荘で民泊を始めるメリットを解説します。

別荘を維持しつつ収益化できる

別荘を所有している場合、どうしても利用しない日には持て余してしまいます。長い間留守にしていると防犯や換気の心配があり、放置しているとカビや空き巣などのリスクが増えます。また、敷地内の清掃や草刈りに加え、台風や水道管凍結などの被害が出ていないかを確認することなども必要なため、長期間不在にするのは心許ないと言えます。

管理会社にこれらの業務を委託することも一般的ですが、月に数万円程度の費用が発生してしまいます。利用頻度が多くない場合には決して安いとは言えない水準でしょう。

しかし、自分たちが別荘を使わない期間に民泊として貸し出すことによって、収益が得られるほか、ゲストの入れ替わりごとに清掃を入れるため建物の維持管理にもつながるというメリットがあります。

また、新たに別荘を購入・賃借して民泊を行えば、「収益を生む別荘を入手した」と考えることもできます。普段は貸し出して収入を得つつ、空いている日には自分で使用して余暇を楽しめるというのは、別荘民泊の強みの一つだと言えます。

コロナ禍でも利益を狙いやすい

新型コロナウイルスの感染拡大によって、都市部の宿泊施設は壊滅的な打撃を受けました。一方で大都市郊外のリゾート地には宿泊客が集中する傾向が顕著になったため、リゾート地の別荘民泊は安定した需要を期待できる点が強みです。

弊社の箱根・湯河原の民泊も比較的安定して利益が出ている(多額ではなく、赤字の月もありますが…)ことから、インバウンド観光需要が回復するまでは、大都市で民泊を行うよりも堅実な手段となるのではないでしょうか。

別荘民泊を行う際の注意点

一方、別荘民泊を始める際にはいくつか注意点もあります。

場所によって清掃スタッフの確保が難しい

大都市以外で民泊を行う場合、清掃スタッフを探すのに苦労するケースが珍しくありません。沖縄や箱根などの有名リゾート地であればともかく、それ以外の地域では民泊清掃サービスを提供する業者が存在せず、自身で採用活動を行わなければならないケースが多々あります。

自身で清掃スタッフを見つけるのは手間も時間もかかり、教育もしっかり行わなければ満足いく結果を出してもらうことも厳しくなります。できれば清掃業者が存在するエリアで開業を検討したいところですが、難しい場合は採用活動を行う準備をしておきましょう。

分譲規約で民泊営業が禁止されていないか

別荘地には「分譲規約」という、マンションの管理規約のようなものがあり、これによって民泊などの宿泊営業が禁止されている場所もあります。物件を購入・賃借する前に、分譲規約は必ず確認しておきましょう。

民泊の営業許可取得の際にも、分譲規約で営業が禁止されていない旨の記載がある書面を必要書類として求められる場合があります。不動産仲介業者に分譲規約を書面でもらえるよう交渉しましょう。

騒音に強い物件かどうか

別荘地は基本的に閑静な場所なので、家と家の距離が近い場合、騒音トラブルになりやすいと言えます。また、近隣に定住者がどれくらいいるのか、手入れがきちんと行われている別荘がどれくらいあるかも可能な限りチェックしておきましょう。近隣に人が少なければ騒音リスクは下がります。

そのほか、物件の構造などでも防音性能は変わります。騒音に強い物件の見分け方は「民泊の騒音対策5つとクレームへの対処方法、騒音に強い物件の選び方」も参考にしてください。

別荘民泊の始め方

所有している別荘で民泊を検討する場合、まずは分譲規約で営業が禁止されているかどうかの確認が必要です。また旅館業法で営業を検討する場合は用途地域の確認も行いましょう(参考記事:民泊をする際は「用途地域」に注意!開業できるエリアや調べ方を解説)。

分譲規約で営業に規制がないと分かったら、物件所在地の管轄保健所にアポを取り、内法寸法を記載した図面等の物件概要書類を持参して事前相談を行います。旅館業法・住宅宿泊事業法ともに同様の窓口であるケースが多いため、どちらで営業を行うべきか悩んでいる方でも直接アドバイスを受けることが可能です。

保健所への事前相談の後は、消防署や建築課へ行って消防法や建築基準法の法令について確認し、必要な工事を行った後、許可申請・届出提出に入る流れとなります。詳しくは「民泊の始め方は?許可の取得方法、物件探し、経営のコツなど徹底解説」を参照してください。

許可取得と並行して、清掃スタッフや民泊運営代行会社も探す必要があります。運営代行会社には全国対応可とするところもあるため、見つけられないという心配自体はないでしょうが、地域によっては清掃作業を請け負える事業者がいないこともあるため、その場合は自身で清掃スタッフの採用活動も進めなければなりません。

実質的に別荘民泊が運営できるかどうかは、清掃スタッフを確保できるかどうかに大きく左右されます。あらかじめ事業者を調査しておいたり、求人の仕方を考えておいたりするなどの準備をしておきましょう(ちなみに、求人はジモティーを利用すれば無料なので、活用する方も多いと聞きます)。

まとめ

所有する空き別荘で民泊を行えば、維持管理の手間を省きつつ収益を上げることができるため、無理なく別荘を所有し続けることが可能になります。また、新たに物件を取得・賃借して始める場合でも、コロナ禍によるダメージが比較的小さいため、十分利益を狙える点が強みです。

一方で、分譲規約で民泊が禁止されていたり、清掃スタッフの確保が難しかったりするなど、開業にあたってハードルとなる部分もあります。遠方の物件を自身で管理したり、清掃に入ったりすることは現実的ではないため、スタッフの確保は別荘民泊には欠かせない要素です。場合によっては自社で採用活動を行うことも必要です。

執筆時点では未だに新型コロナウイルスの影響が強く、宿泊業界は不況を脱しきれていません。そんな状況の中、都市部よりもリゾート地の方が確実に利益を狙える傾向にあるため、別荘民泊に注目する事業者も多くいます。

別荘民泊の開業に関心のある方は、まず候補物件で営業が可能かどうかを調査した上で検討を進めてみてください。弊社でも許可取得から運営まで一貫して支援が可能ですので、ご興味あれば下記よりお問合せください。

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