旅館業と民泊新法どちらを選べばいい?5つのパターンを解説

民泊を開業するためには、旅館業法もしくは民泊新法(住宅宿泊事業法)による許可・届出受理を得る必要があります。旅館業法では営業日数の規制がないため売上の最大化が期待できる一方、開業のハードルは民泊新法より高くなります。

ここでは、旅館業法と民泊新法どちらで民泊を開業すべきか、その理由を簡単にまとめます。

売上を最大化できる旅館業法が望ましい

最初に結論として、多くの場合、365日営業でき売上を最大化できる旅館業法の許可を取得するほうが望ましいと言えます。宿泊とレンタルスペースの兼用なども可能になる点も後押しになります(民泊新法では住居・宿泊以外の用途では使用不可)。

東京などの都市部では、180日規制によって収支が厳しくなるケースは多くあります。家賃が高いため、稼働日数を増やして高い売上を出さなければ利益が出にくいからです。

そのため旅館業の許可が取れそうであれば、積極的に狙いたいところです。ただし、用途地域や建築基準法への適合など、許可取得には様々なハードルがあるため、建築士や行政書士などのプロにも頼りながら物件探しを進めると良いでしょう。

民泊新法を選ぶほうが良いケース

基本的には旅館業法で許可を取得するほうが売上を上げやすいのでおすすめですが、中には民泊新法で営業した方が良いケースもあるので以下にまとめます。

旅館営業不可の地域・物件の場合

旅館業許可を取得できない用途地域にある物件では、民泊新法を選ばざるを得なくなります。旅館業を開業できる用途地域は以下の通りです。

  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 商業地域
  • 近隣商業地域
  • 準工業地域
  • 用途地域無指定の地域
  • 都市計画区域外
  • 特別用途地区の指定により営業が可能な地域

上記に該当しない物件であれば民泊新法で届出を行い、年間180日以内でも採算が取れるかどうかを検討しましょう。

年間180日も稼働しなさそうな地域にある

また、あまり宿泊需要のないエリアで年間180日も稼働が見込めない場合も、無理して旅館業許可を取る必要はないでしょう。何かしらの事情で需要の小さい場所でも民泊を開業したいという場合には、開業までの難易度が低い民泊新法を選ぶ方が良いでしょう。

家主滞在型民泊の場合

自宅の一室で民泊を営むなど、家主滞在型の民泊を運営する場合は民泊新法のほうが現実的です。

旅館業法では特別な事情がない限りゲストの宿泊を拒否できないため、ゲストの宿泊リクエストを選別でき、セキュリティなどのリスクをカバーできる民泊新法にメリットがあるからです。また数十万円はかかる消防設備への投資も抑えられる場合もあります。

検査済証・確認済証がない

建物の検査済証や確認済証など、建築基準法上、物件が適法であると対外的に証明できる手段がない物件の場合、旅館業許可を取得するハードルは高くなります。築古物件ほどこのような事例に該当する可能性が上がります。

検査済証・確認済証がない物件の場合は、民泊新法でも採算が合うかどうかを検討し、建築基準法の適合状況を確認するための図面作成等の費用と比較したうえで、どちらで開業するかを考えるのが良いでしょう。

旅館業の駆けつけ要件を満たせない場合

また、旅館業法では無人で運営する場合、現地に10分以内に駆けつけられる体制を整えておくことが義務となっています。自治体によっては「徒歩で10分以内」など、より厳しい規制が課されているケースも多くあります。

一方、家主不在型民泊の場合は「60分以内」と駆けつけ要件が緩くなるため(ただし、こちらも条例でより厳しい条件が適用される場合あり)、10分以内の駆けつけ体制をどうしても満たせない場合も民泊新法での開業を検討することになるでしょう。

まとめ

旅館業法と民泊新法では、営業日数に上限がなく売上を期待できる旅館業法の許可を取得するほうが、多くの場合望ましいと言えます。ただし用途地域など、許可取得に対してはいくつかのハードルがあるため、それを達成できない場合や、そもそも年間180日も稼働を見込めない(あるいは稼働させないつもりである)場合などは、民泊新法での開業を検討したほうが、簡単かつスピーディです。

特別な事情がなく、収益を最大化したいのであれば、まずは旅館業法で行けそうかどうかを確認したうえで、許可取得が難しそうな場合には民泊新法でも採算が合うかどうかを確認して判断すると良いでしょう。

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