独自仮想通貨を導入してユーザーの継続率・満足度をアップする方法

自社のサービスやゲームにおいて、独自仮想通貨を導入することで様々なメリットがあります。決済の仕組みを簡単に整備できるだけではなく、ユーザー同士のやり取りが活発化することで、サービス継続率や満足度を向上させることも可能です。

今回は、そうした自社サービスを展開している事業者様向けに、独自仮想通貨の導入メリットや課題をご紹介します。特にユーザー間のコミュニケーションを活発化したいと考える場合には非常に面白い施策だと思いますので、ぜひご一読を。

 

サービス内での仮想通貨の役割とメリット

自社サービス内に独自の仮想通貨を流通させ、ユーザーに活用してもらうためには、当然ながら事業者側がそのための設計を事前によく考えておかなくてはなりません。

まずは自社サービス内における仮想通貨がどのような役割を果たすのかということを、導入のメリットを交えて説明していきます。

 

サービス内決済に使える独自ポイント

最も一般的な独自仮想通貨の使用目的として、自社サービス内において商品の購入や有料プランへの課金といった様々な決済に活用できるポイントとしての役割が挙げられます。ユーザーはサービス内で1コイン=1円などのレートで仮想通貨を購入し、決済などに使用することとなります。

サービスや企業独自のポイントを導入している企業は多く存在しますが、ブロックチェーン技術を活用することによって、仮想通貨という形で従来よりも簡単にポイントシステムを構築することができるようになります。

独自ポイントを用意することによって、ユーザーは換金を行ったぶんそのサービス内で消費をしなくてはならなくなります。またポイントであれば現金に比べてプレゼントキャンペーンを行いやすい(送金ごとの銀行手数料が不要)ので、販促効果が出しやすいといったメリットが生まれます。

 

ユーザー同士の投げ銭

また、仮想通貨は自由に他のユーザーへ送信できる(送信不可の設定にすることも可能)という特徴があります。これを活用して、ユーザー同士の投げ銭システムをサービス内に入れ込むことが可能です。

投げ銭は例えばSNSやコミュニティサイトにおいて、良い記事を書いている人やイベントの主催者などに、任意で好きな額の通貨を贈るというものになります。

ALISnemlogといった記事投稿サイトでは、記事を投稿したユーザーがいくら投げ銭を受け取ったのかが分かる仕組みになっており、「良い記事を書く⇒投げ銭をもらう⇒良い記事を見つけて投げ銭する」という循環がユーザーに生まれています。

このことによって、ユーザーは「ここでしかできない体験・コミュニケーション」を味わうことができ、サービス満足度の向上と継続率の向上に繋がることが見込まれます。投げ銭は実際に試してみないと良さの実感が湧かないかもしれませんが、いざ受け取ってみると少額でも非常に嬉しいものですよ。

 

スマートコントラクトによる自動決済

イーサリアム等のブロックチェーンには、仮想通貨の送付などをトリガーにして、あらかじめプログラミングされた内容(=契約)を自動で実行してくれる「スマートコントラクト」という機能が搭載されています(参考記事)。

スマートコントラクトを利用できるブロックチェーン上で開発した独自仮想通貨であれば、その機能を用いて仮想通貨による決済や課金の処理を自動化することが可能です。

スマートコントラクトで構築されたプログラムは後から改ざんすることが不可能かつ、コントラクトの内容(ソースコード)は誰でも確認可能なため、決済の透明性・確実性を担保できます。その反面、一度プログラムを実行してしまうと修正が効かないため、入念にコードのチェックを行わなくてはなりませんが…。

 

独自仮想通貨導入時の注意点

一方で独自仮想通貨を導入する際に注意すべきポイントもいくつか存在しますので、こちらも解説していきます。

 

前払式支払手段に該当する可能性

独自仮想通貨を企業ポイントや電子マネーと同様の仕組みで利用する場合、資金決済法の「前払式支払手段」に該当する可能性があります。この場合、未利用残高の半額以上(500万円~)を供託しなくてはならず、キャッシュフローを圧迫してしまいます。

これは何らかの理由でポイントサービスが終了した時などに、ユーザーがポイントを円に戻す場合に必要となるために課されている規制となります。キャッシュが潤沢にある企業であればともかく、小資本のベンチャー企業などには少々苦しい規制であると言えます。

独自仮想通貨が前払式支払手段に該当しないようにするには「未利用残高を1,000万円未満にしておく」「有効期限を6ヶ月以内に設定する」という選択肢を検討する必要があります。前者の場合、事業がスケールするほど対応が手間になってしまうので、有効期限を設けることを考える必要があるでしょう。

 

仮想通貨を上場させる場合の法規制・税制

前の段落で述べたのは、独自仮想通貨を上場させず、サービス内で円と仮想通貨を交換してポイント的に活用した場合です。一方、独自仮想通貨をどこかの仮想通貨取引所に上場させて、市場で取引ができるようにした場合は、また別の法規制を意識しなければならず、また会計処理も変わってきます。

私はプロではないので詳細まで説明はできませんが、法規制に関しては、ビットコインなど他の仮想通貨と交換できる仕組みを用意した際には「仮想通貨交換業」に該当する可能性もあり、営業許可を取得するのに非常に厳しい規制をクリアしなければならなくなることもあります。

また、会計処理については、日々変動する市場価格を鑑みて、保有する仮想通貨は期末に時価評価を行い、評価損益を計上する、といった形になると思われます(税理士・税務署と要相談)。仮想通貨は価格の上下が激しく、期末の損益が読めないため、経営の安定を考慮した場合にネックになると言えるでしょう。

仮想通貨を上場させれば、サービスを利用していない世界中のユーザーでも通貨を入手することができ、サービスのPRに繋げられる可能性もあります。しかし、上記のような懸念事項もあることから、個人的には有効期限を設けてポイントのように活用するほうが望ましいかと思います。

 

まとめ

自社のサービスに独自の仮想通貨を導入して運営を行うことで、投げ銭によりユーザー相互のコミュニケーションを活発化することができ、満足度や継続率の向上を狙うことが可能です。また決済の導入やスマートコントラクトの活用など、よりサービスの運営を便利にできる効果もあります。

一方、資金決済法などの法規制の兼ね合いを考えなくてはならなかったり、仮想通貨を導入するための仕様設計も必要になったりと、考えなくてはならない部分もいくつか存在します。

ユーザー同士でコミュニケーションができるサービスであれば、独自の仮想通貨を導入することも考えてみてはいかがでしょうか?投げ銭の面白さは一度体感頂ければその有用性が分かるかと思います。

ちなみに、弊社では独自仮想通貨の導入に関して、設計から開発、運用まで一貫した支援も行っています。非上場での電子マネー・ポイント的な利用から、仮想通貨取引所への上場支援まで色々やっていますので、ご興味ある方は私まで一声お掛けください。

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