低コスト&集客力アップ。ラーメン屋向け「NEM食券」の仕組みを考えたよ

nemlog投稿記事の転載です。

今回はNEMを使った食券システムのビジネスモデルを考えてみたので、つらつらと書いていきます。

タイトルにはラーメン屋とありますが、食券制の単品レストランであれば基本的に相性が良いかなと思っています。

この食券システムでは、従来の食券機を買ったりリースしたりするより低コストで、かつ注文状況の確認などが可能になったり、お店の集客にも繋げられたり…という様々なメリットが期待できます。

では、順を追って説明していきますね。

 

一目でわかるビジネスモデル

NEM食券のビジネスモデルを図解するとこんな感じです(分かりやすいかなぁ…)。

NEM食券のビジネスモデル

簡単に言うとパターンは2つあり、①「お店のWebサイト等であらかじめ、日本円 or XEMでモザイクAを購入⇒店頭で送付」②「〃モザイクA+金額分のモザイクBを購入⇒店頭でモザイクAを送付」という形になります。

以下、パターン分けして詳しく書いていきます。

 

パターン1の詳細

ユーザーはあらかじめ、お店のWebサイト上でメニューを見て、食べたいメニューのモザイクA(ramen・beerなど)を日本円と交換します。分かりやすく言うと「Web上であらかじめ食券を買う」ということです。

ただ、Web上だけだとお客さんは不便なので、店頭でもモザイクAを注文できるようにします。この場合、出入口付近に、券売機がわりに各モザイクが購入できるQRコードを貼り付けておきます。

決済は、各席に貼り付けられているQRコードを読み取り、モザイクAを送付することで行います。モザイクを送付したら、料理人がモザイクAの種類=注文されたメニューと、タイムスタンプ=いつ注文が入ったかを確認し、順番に調理に入っていきます。

QRコードを席ごとに別々なものにしてナンバリングしておけば、どこの卓で何の注文が入っているかも管理できるので、誰に何を提供すればいいのか忘れにくくなります。紙の食券と同じ効果ですね。

 

パターン2の詳細

パターン2のモザイクBを使うパターンはオプションです。この場合、ユーザーはモザイクBを1モザイク=1円で購入する形となります。モザイクAはいくらでも、好きなだけ無料で貰うことができますが、モザイクAを送付する際には、メニュー価格と同数のモザイクBが徴収されます。

3,000円分のモザイクBを買う⇒同時にモザイクAを全部貰っておく⇒お店でモザイクA:ramenを送付⇒モザイクBが600消費される(600以上の残高がない場合送付できないため、他のモザイクAを送付するか、現金などで決済する必要があります)

こちらのパターンの場合は「食券を事前に買う」よりむしろ「デポジットをチャージしておく」というイメージとなるため、その時の気分で食べたいメニューをチョイスしたいリピーターに便利な仕組みが作れます。

ただし、このパターンの場合、ユーザーにとっては「XEMで良くね?」となってしまうので、ちょっと価格を安くするなど何らかのインセンティブを設ける必要があります(お店側には、後述の通りNEM食券を導入するメリットがあるので、それを加味して値付けを行います)。

 

NEM食券のメリット

さて、このNEM食券を導入するメリットを簡単に解説してみます。

 

食券機より低コスト&省スペース

この「低コスト」がNEM食券のコアバリューになるでしょう。ラーメン屋で導入される食券機は、だいたい購入すると50万円、リースだと月額1万円程度というのが相場だそうです。

ですが、NEM食券であれば導入コストを大幅に削減できます。だって、原価は「ネームスペースレンタル+モザイク発行料」だけですからね。仕組みの導入を外注するにしても、難しい手間は不要なので、1店舗10万円も必要ないでしょう。

ただし、維持費はその時々のXEM価格で変動したり、モザイクABの送付量で変動するため、こちらは後述の「課題」として触れる必要があります。

 

モザイクが渡せる&NEM利用で口コミ狙い

nemlogでは詳述するまでも無いですが、まぁNEMを使った仕組みを導入すれば、まずNEMberには話題になってお店に来てくれるでしょう。笑

また、NEMで食券(orデポジット)を作ることによって、他人に送付ができるため、ユーザーが「この店いいから行ってみな!一枚食券あげるよ」と知人にモザイクを渡して宣伝してくれることも期待できます(あ…モザイクBは送付可能にしていいねコレ)。

 

食券キープorデポジットでリピーター確保

通常の食券制と違って、ユーザーは食券モザイクやデポジットを保有しておけるため、心理的に再度お店に行きやすくなります。

 

通常のXEM決済よりお会計の手間が少ない

通常のXEM決済だと、レジで金額を計算して、QRコードを表示して決済…と、お店の人もユーザーも結構大変だったりします。その点、NEM食券ならこの大変さを大きくカットすることができます。

 

料理を提供する際に忘れなくなる

ファミレスとかでよく使われるハンディ(店員さんが注文を入力する機械)などと同じ効果ですね。ウォレット内でモザイクの種類とタイムスタンプを確認することによって、「どの席で・何の注文が・いつ入ったのか」を簡単に確認することができます。

ランチタイムとか忙しい時間帯になると、どうしても注文を覚えるのが大変になり、抜け漏れも出てきてしまいます。そういった中で、普通の食券制では難しい注文管理の仕組みをNEM食券では作ることができます。

 

出たメニュー数などの集計がしやすい

NEM食券であれば、例えば月末に受け取ったモザイクAの量を数えるだけで簡単に「どのメニューが何回出たか」を把握することができ、翌月からの食材の仕入れを最適化できたり、マーケティングに活かしたりすることが容易になります。

 

NEM食券システムの課題

上述のように色々なメリットが期待できるNEM食券システムなのですが、実戦に投入するにはまだハードルが高い部分もあります。

これらは解決すべき課題として、ぜひNEMberの皆様にもお知恵を拝借したいところですので、改善案のコメントをお待ちしております!

 

モザイクABは資金決済法の適用対象になりうる

※僕は法律のプロではありませんので、実際に導入する際は弁護士などにご相談ください。僕も導入依頼を頂いたら必ず顧問に確認します。

このビジネスモデルにおいて、モザイクABは企業ポイントや電子マネーと同じような存在になるため、資金決済法の「前払式支払手段」に該当する可能性があります。適用対象になると供託金が必要なので厄介です。

資金決済法の対象になるのは、①モザイクの未利用残高が1,000万円以上、かつ②有効期限が180日以上である場合です。そのため、導入店舗は「使われていない発行済みモザイクの総額を把握・調整する」もしくは「モザイクの有効期限を180日未満にする」ことが求められます。

未利用残高については、毎月末に未利用残高を調べ、毎月初に合計1,000万円以下で収まる分だけモザイクABを発行する形にすれば問題ないでしょう。一月で1,000万円以上売上の立つ店舗であれば、もっとスパンを短くする必要がありますが。

モザイクの有効期限に関しては、180日以上前に付与されたモザイクの送付を受け付けなかったり、自動でBURNされる仕組みを作ったりということが考えられますが、これは可能なのかどうか、まだ検証できていません。

 

XEMの価格が不安定

仮想通貨の価格変動の激しさは、こういう決済システム導入にあたってどうしてもネックですね。お店とユーザーが為替リスクを納得した上で使うなら別ですが、一般の方々がそうするとは思えません。

これは特にモザイクBのデポジットパターンを用いる時に致命的です。XEM決済のように日本円からXEM数量を割り出すことが現状できないため、あまり現実的な手段ではないと言えます。じゃあなぜ提案したとか言うな

 

ユーザーがXEMを負担することになる

通常の食券システムだと、ユーザーは食事の代金だけ払えばOKです(その分、食券機の導入費用や維持費用が食事代に乗っかってるんだけど…)。一方、NEM食券では、モザイクを送付するのにユーザーがXEMを支払う必要性が生じます。

現在(19/2/19)のXEM価格で言えば、一回モザイクを送付するのに約0.9円ほどかかる想定です(1XEM=4.5円、送付手数料0.2XEMで計算)。実際のユーザー負担コストはどちらが安くなるのか分かりませんが、ユーザーの心理的負担は避けられません。

 

NEM食券の維持費はブレが大きい

先述の通り、NEM食券ではユーザーに買ってもらうモザイクABを送付するのに、お店側でもXEMが必要になります。このXEMの費用がNEM食券のランニングコストと言えます。

このコストはモザイクの送付量=メニューの提供数とXEMの価格で変動します。ザックリ計算してみると以下のような感じになります。

当月のモザイクA発行数計6,666枚(500万円分÷ラーメン屋の想定平均単価750円)×5円(1XEMの価格)×0.2(送付1回あたりの手数料)=6,666円

この想定よりも繁盛し、結局750万円分のモザイクが消費された場合、月間維持費は1万円となります。

また、1XEMの価格が5円から50円に急騰した場合だと、手数料も10倍の6万円以上になる可能性が…。

今後のXEM価格が何円で安定するのか、またはNEMのアップデート次第で手数料の額は変わるかと思いますが、現状の単純計算では、やはり維持費についてもリスクが高いため、「XEM手数料が高い時期はNEM食券を一時停止する」などの対策を取らなきゃいけなくなるかもしれません。

 

飲食店を営む方、実験してみませんか?

以上、通常のXEM決済とはまた一味違った「NEM食券」のアイディアを共有させて頂きました。

簡単に書こうと思ったけど、いざ書いてみたら結構ガッツリになっちゃった。てへぺろ

NEM食券システムでは、前払支払手段に該当しないように注意することと、XEMの価格に注意を払っておく必要があります。

それが出来れば、従来の食券システムより低コストで、調理にも様々なメリットがあり、新規客・既存客いずれの販売促進にも繋がるといった様々なメリットを実現できます。

とはいえ、まずは実験的に実際に導入してみて、良い点や改善点のフィードバックを積まなければ、アイディアは形にならないと思います。

どなたかNEM食券の仕組みに関心を持ち、「うちでやってみたい!」という方がおりましたら、ぜひ一緒にやりましょう!

 

nemlogなどでいつでもお声かけお待ちしております!

Twitter:@munewo_house

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