「仮想通貨決済に興味はあるけど、よく分からない」「キャッシュレス決済を導入したいけど、手数料が高くて…」「仮想通貨決済なんてそもそも必要?」
そんなことを考えている事業者様に向けて、仮想通貨決済のメリット・デメリットを解説する記事です。同時に仮想通貨決済の導入方法も解説していますので、関心のある方はぜひご一読ください。
仮想通貨決済を導入するメリット
まずは仮想通貨決済を導入するメリットについて見ていきます。仮想通貨決済にはクレジットカードや電子マネーと比べても独自の強みがあるため、これらの決済手段と合わせて導入を検討してみると良いでしょう。
海外のお客さんも気軽に決済できる
ビットコインをはじめとした仮想通貨は、世界中の人々が気軽に購入し保有、利用することが可能です。仮想通貨と法定通貨の両替は、法定通貨同士の両替と比べて安く、簡単に利用できます。そのため、海外のお客さんによる決済手段として仮想通貨決済が注目されているのです。
例えば、みずほ銀行で日本円⇔米ドルの両替を行う場合、手数料は以下のようになります(2019年3月10日調査)。
日本円/米ドル価格 | 日本円⇒米ドル | 米ドル⇒日本円 | スプレッド(価格差) |
---|---|---|---|
111.16円 | 114.58円 | 108.58円 | ±3.42円 |
このように、日本円から米ドルもしくは米ドルから日本円へ両替するのには約3%の手数料が必要になります。この手数料率は通貨ペアや両替する場所によって変わりますが、この約3%という手数料は特別高い水準というわけではありません。
一方、同日時点でのビットコインの購入手数料は、仮想通貨取引所によって異なりますが世界的に0%~0.2%程度の水準です。また1回あたりの送金手数料は、こちらのサイトで調査したところ約0.2USD。つまり約22.2円です。
ビットコインの送金手数料は数ある仮想通貨の中では最も高額な部類に入るものの、それでもこの程度の価格です(時期によって大幅に変動し、2018年1月のバブル期には数千円まで登りましたが…)。海外のお客さんにとって、仮想通貨決済は日本円建てでの支払いよりもありがたく映るかもしれません。
クレジットカードなどよりも費用が安い
上記は直接ビットコインを送金してもらう際に発生する手数料ですが、Coincheckなどが提供している店舗向けビットコイン決済システムを利用することも可能です。Coincheckの場合は導入費無料、決済手数料として会計の1%が発生する形となります。
この導入費0円&決済手数料1%という数字は、クレジットカードや電子マネーと比べても安いと言えます。例えば、比較的決済手数料が安価な部類に入る楽天ペイでも、手数料率は3.24%~3.74%です(楽天ペイ「よくある質問」参照、2019年3月10日時点)。
またクレジットカード決済や電子マネー決済を導入する場合には、カードリーダーを購入するための初期費用が発生する事業者がほとんどです。そうしたことも考えると、QRコードのみで決済が可能な仮想通貨は、導入費・維持費ともクレジットカードや電子マネーより優位性があると言えます。
通貨のファンを顧客として獲得できる
仮想通貨決済を導入している店舗はまだ多くなく、そのぶん話題性があります。また同様に仮想通貨自体を評価し応援する人もまだ少ないため、そのぶん特定の通貨を応援するファンコミュニティの結束が強いという特徴があります。
東京都杉並区の高円寺には、モナコインを前面に押し出した飲食店「MONA BAR TOKYO」というお店があったり、渋谷にはNEMをコンセプトにした「nem bar」が存在していました(移転準備のため閉店中)。
これはクレジットカードや電子マネーにはない仮想通貨独自の特徴であるとも言えます。仮想通貨決済を導入すれば、導入した通貨のコミュニティ内ユーザーが興味をもって来店してくれる可能性があります(NEMコミュニティの方とかすごく積極的)。
ただ手数料の安い決済手段を導入できるだけではなく、新しいお客さんを呼びこむプロモーションまで出来てしまうというのは、仮想通貨決済にしかない強みと言えるでしょう(ボーナス期間中のPayPayみたいなものです)。
スマートコントラクトで取引を自動化できる
スマートコントラクトの例は上でも少し触れましたが、イーサリアム等に搭載されているスマートコントラクトの機能を仮想通貨決済と組み合わせて導入することで、支払いと契約、サービスの提供を自動化することができます。
これによって、例えば「〇ETHを支払うとチケットが手に入る」「〇ETHを支払うと会員制サイトのURLが送られてくる」「〇ETHを支払うと契約期間が延長される」といった自動の仕組みを構築することが可能です。
そのためWebサービスで仮想通貨決済を導入する際は、こうしたスマートコントラクトを活用した「商品購入⇒サービス提供」といった業務フローの自動化を検討することも可能になります。
仮想通貨決済を導入するデメリット
一方、仮想通貨決済はまだまだ発展途上の段階にあり、それに起因していくつかデメリットも存在します。以下の項目とメリットをそれぞれ天秤にかけ、導入を判断すると良いでしょう。
価格の上下が激しいため為替リスクが大きい
まず、仮想通貨は価格の上下が株式や外国為替に比べて非常に大きく、決済に使うには為替リスクが大きいことをあらかじめ理解しておく必要があります。
ビットコインは2017年12月に1BTC=200万円を超えましたが、2019年3月10日現在では約43万円という水準にまで落ち込んでいます。たった1年と4ヶ月の間で価格が1/4まで下落するというのは、他の市場ではめったに無いでしょう。なお、ビットコイン以外の仮想通貨(アルトコインと言います)はさらに価格の上下が激しい傾向にあります。
このため、仮想通貨決済を導入する際は、支払いを受けたらなるべく早く日本円に換金しておくことで、為替リスクを極力下げることが推奨されます。
もちろん値上がりを期待して保有し続けるのも自由ですが、私はあまり推奨しません。なぜなら、税金は日本円でしか支払えないということと、将来のキャッシュフロー予測が不正確になってしまうからです。
「一日の売上を締める⇒受け取った仮想通貨を全て日本円に替える」という毎日の業務フローを導入し、為替リスクを少なくした上で仮想通貨決済を導入することをおすすめします。
仮想通貨によっては決済に時間がかかる
決済完了までに時間がかかることも仮想通貨決済の現状における問題点です。例えばビットコインでは、仕組み上10分に1回しか取引の承認(正確にはブロックの承認)がなされないため、送金の完了まで通常数分~10分程度待たなければいけなくなります。ただし送金が混雑している際はそれ以上待たなくてはならない時もあります。
クレジットカードや電子マネーであれば、決済にかかる時間は一瞬~数秒程度のため、ほとんどストレスはありません。しかし、現状におけるビットコイン決済については、まだまだ送金スピードの問題で導入が見送られるケースも多いと見られます。
ただし、ETHやXRP、XEMといったビットコイン以外の仮想通貨であれば、数秒~数十秒という早さまで送金時間を短縮することも可能なため、ビットコイン以外の決済手段を導入することも考えておく必要があるでしょう。
なお、ビットコインやイーサリアムでは「一瞬で送金が完了する機能」が開発されている最中です。この機能が正式に稼働することになれば、仮想通貨決済が一気に普及する可能性も十分にあります。
日本円に換金する手間がかかる
上述のように、仮想通貨を入手したらなるべく早いうちに日本円に替えておく必要があります。しかし、日本円で直接お金を受け取ることに比べると、どうしても日本円に換金する手間が無いわけではありません。
手順としては「仮想通貨を入手する⇒取引所で売却して日本円を入手する⇒事業用口座に入金する」という形になります。また売却の際には0%~0.2%の取引手数料が、取引所からの出金に際しては取引所所定の手数料がそれぞれ発生します。
さして大変なものではありませんが、事業資金を取り扱う大事なフローであるため、信頼できる担当者のみが売上仮想通貨を管理・売買できる状態にしなくてはなりません。仮想通貨決済の導入には、こうした手間も考慮する必要があります。
ユーザーが少なくクレカ決済の代替にはならない
また、現状ではまだまだ仮想通貨を利用するユーザーは少なく、クレジットカードや電子マネーといった他のキャッシュレス決済システムに比べると、仮想通貨を決済に利用するユーザーはほんの一握りであると言えます。
そのため、仮想通貨決済のみを導入するだけでは、あまり決済の利便性が向上したとは言えません。お客さんの決済しやすさを高める目的で言えば、クレジットカードや電子マネーでの決済も導入する必要があるでしょう。
仮想通貨決済を導入する方法
仮想通貨決済をお店やサービスに導入するには、いくつかの手段が存在します。
仮想通貨決済サービスを利用する
最もポピュラーなのは、仮想通貨決済ができるサービスを利用することです。bitFlyerやCoincheckなどがビットコイン決済サービスを提供しているほか、イーサリアム(ETH)やNEM(XEM)、モナコインといった様々な通貨での決済手段を提供するサービスが存在しています。
売上の管理やレジとの連携といった商売に必要な機能が備わっており、導入から運営までも簡単なため、一番リスクが低い選択肢と言えるでしょう。ただし、そのぶん手数料は発生します(といってもクレカや電子マネーより安いですが)。
何より、この手段では基本的に日本円の金額から逆算して必要な仮想通貨の数量を算出することができるため、わざわざ計算する必要がないというポイントは大きいですね。
ウォレットのQRコードに送金してもらう
イーサリアム用の『HBウォレット』など、自分のウォレットアドレスをQRコードで表示することが可能なウォレットを利用することで、外部の決済サービスに頼らずに仮想通貨決済を導入することもできます。
会計の際に必要な支払額(仮想通貨)をお客さんへ提示し、お客さんはそのQRコードを読み取ることで、会社のウォレットに送金を行うことができます。
仮想通貨自体の送金(トランザクション)手数料しか発生しないため安価に決済を行うことができる一方、自分で必要な数量を計算する必要があったり、お客さんもQRコードを読み取って送金できるウォレットを持っていないといけなかったりと、不便さはぬぐえません。
ウォレットアドレスを提示して送金してもらう
ウォレットアドレスをQRコードではなく、そのままテキストの形で提示し送金してもらうパターンは、最も簡単で原始的な方法だと言えます。
この方法は実店舗では現実的ではなく、Web上での決済限定の手段だと言えるでしょう。パソコン上なら「アドレスをコピー⇒お客さんが任意のウォレットにアクセスし、宛先にペーストして送金」という手順が簡単にできるため、特に不便ではありません。
なお、ICO(新規事業において仮想通貨で資金調達を行うこと)での資金調達においては、ETHなどの仮想通貨での投資を求めるにあたり、ウォレットアドレスを提示し送金してもらう形態を取るのが一般的です。
かわりに「〇ETHを送金してくれたら、自動的に着金時点のボーナスを計算して、〇日に〇トークンを付与します」という契約・送金を自動で履行する仕組み「スマートコントラクト」を導入しています。これによって決済を自動化でき、持ち逃げもできない形を実現しているのです。
まとめ
以上、仮想通貨決済のメリットとデメリット、そして導入方法をお伝えしました。
仮想通貨決済には送金時間や為替リスクなど対策が必要な部分もありますが、クレジットカード決済や電子マネー決済に比べて初期費用と決済手数料を大幅に安くできたり、決済を導入するだけで新しいお客さんを獲得できたりといった強みもあります。
一つひとつのメリットとデメリットを考えた上で、あなたの事業に仮想通貨決済を導入するかどうかを検討してみてください。
なお、弊社でも仮想通貨決済の導入に関するご相談を承っております。お気軽にコンタクトフォームもしくはSNSにてすずきまでご連絡くださいませ。
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