仮想通貨の強みの一つは「無価値のものに価値を与えること」

弊社では、オリジナルの仮想通貨「KanadeCoin」を製作し、2万人を超えるトークンホルダーの方々による独自のコミュニティ形成に努めました。

この経験から今では「ブロックチェーン・仮想通貨のビジネス利用」という側面に注目し、導入支援やコンサルティングを行っているわけなのですが、その中で気付いた面白いことが一つあります。それは「仮想通貨には、今までインセンティブの無かった領域に新たなインセンティブを創り出す力がある」ということです。

これによって新たなビジネスのアイディアやコミュニティの形が生まれてくるのが非常に面白いな、と感じています。

 

歩数に価値を持たせる「Fific」の事例

最近面白いなと思った事例の一つが、歩けば歩くほど仮想通貨が貰える「FiFiC」というアプリです。今までに歩数を稼げばお金も稼げるなんて歩数計、あったでしょうか。

仕組みとしては、一日の目標歩数を達成したり、マップ上の指定されたスポットに訪れたりすることで独自仮想通貨を手に入れることができ、入手した仮想通貨は飲食店などの加盟店舗で指定のサービスと交換できる、というものです。

歩くという行為にインセンティブを与えることで、アプリユーザーが積極的に歩数を増やすことに繋がり、結果として健康になる人が増える。お店側は新しい販促ツールの選択肢が増える。という形です。これはなかなか新しい発想じゃないでしょうか?

 

FiFiCはNEMブロックチェーンを活用することで、低コストかつ簡単にポイント(仮想通貨)のやり取り・管理ができる仕組みを構築しています。これにより柔軟な実験的発想がやりやすくなっていると言えます。

ちなみにマネタイズについて考えると、アプリ内への広告(ディスプレイ広告、純広告、ネイティブ広告など)を皮切りに、加盟店舗からのサービス掲載費用やヘルスケア企業への行動データ販売といったことによって収益を上げる仕組みが考えられます。

FiFiCはまだローンチ間もないβ版プロダクトの状態ではありますが、今後どうなっていくのかは個人的に楽しみなところです。

 

仮想通貨が新たなビジネス、社会貢献の可能性を産む

仮想通貨を活用することで、FiFiCのように今まで特に金銭的価値が得られなかった行動にインセンティブを与えたり、ユーザー同士で価値の交換をし合ったりする仕組みが簡単かつ安価に導入することができるようになりました。

ブロックチェーンを活用することで、独自ポイントを作って、決済や送受信の仕組みを作って、セキュリティ対策も行って…という開発の手間やコストを一気に削減できるため、そのぶん利幅の薄いビジネスモデルでも実現することが容易になったと言えます。

これによってビジネスの幅が大きく広がり、例えば薄利でも社会的インパクトのあるソーシャルビジネスの構築や、小さなインセンティブを設けたボランティア活動などもしやすくなるのではないでしょうか?

 

例えば街頭のゴミ掃除なんかは、今まで市区町村が予算を出して清掃業者に発注を行っている形でした。企業やNPO、民間団体もゴミ掃除をしている時はありますが、そこに対価は特になく、社会貢献や活動のアピールといった意味合いでしか行われていませんでした。

ですが、そこに「街頭を清掃する⇒一般の人がそれを見て、その人にコインを送る⇒コインを掃除用具なんかと交換できる」なんて仕組みを入れたら、自発的に街頭掃除をする一般の人も増えるかもしれません。

コインの原資は、例えば掃除用具を作っている会社にスポンサーになってもらい、掃除の際にはその会社の広告入り製品を使ってもらうとかで調達することが考えられます。また、一般の人には、コインを送るほど何かの見返りが貰える形を作れば、誰かにコインを送りたいインセンティブを作ることができます。

これと似た要領で、例えば企業が予算を出して、駅のホームの汚物清掃なんかをお客さんに自発的にやってもらう仕組みを作ったりとか。駐車・駐輪違反を個人が見つけて、通報したら報酬が貰える仕組みとか。色々と、今までインセンティブの無かった領域に新たな価値を付加することが可能になるかと思います。まあ、特に公的なセクターには受け入れられるか分からない考えですが…笑

 

こういったアイディアを仕組み化するのはけっこう難しく、ユーザーと社会のためになるインセンティブ設計をきちんと行わなくてはなりません。また、もちろん事業として取り入れるのであれば、マネタイズプランも考えなくてはなりません。

しかし、こうした「今まで対価を得られなかった行為に対価を生み出し、不特定多数の個人というリソースを活用できる能力」は、仮想通貨が今後のビジネスや公益業務の在り方をアップデートできる可能性であると言えるのではないでしょうか?

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