中古物件を買って契約と所有権移転登記を自分で行う方法

※個人ブログからの転載です。

先日、大家さんと直接売買で新しい物件を購入しました!これで3棟目の投資用物件となります(まだ物件一覧更新できてなかった)。

今回はせっかくだからと、仲間にそそのかされた?こともあり、仲介や司法書士をかまさず自分で直接売買契約の締結から所有権移転登記まで行い、費用を浮かせてきました。

例のごとく100万円以下の格安物件ではありますが、仲介手数料と司法書士報酬を考えたら、だいたい8万円くらいの節約にはなったと思います。

作業時間はせいぜい丸4日程度だったので、日給2万円の仕事と考えたら悪くありません。今回は売買契約も登記申請も初めてだったため時間が掛かりましたが、今後は大きく作業時間を短縮できるでしょう。

確かに作業自体は少し大変なところもありますが(契約書の作成はある程度の専門知識も必要)、「自分でやってやろう!」というのもなかなか良い選択肢かもしれません。

それに、契約手続きは仲介業者に任せたとしても、所有権移転登記は司法書士に任せずに自分で行うことは決して難しくはないので、購入諸費用を浮かせたいあなたは検討してみてはいかがでしょうか。

というわけで、売買契約のコツから所有権移転登記申請の流れまでを、この記事で簡単にまとめて解説しておきます。

※住宅ローンを組むなどで抵当権・根抵当権を設定する必要がある場合は、自分で契約や登記申請を行うことが原則不可能なのでご注意を(銀行が絡むので)。

 

売買契約の手順とコツ

購入したい物件があれば、まずは売買契約を締結する必要があります。厳密に言うと契約は義務ではない(双方の意思表示があれば成立する)のですが、もしもの時の争いのためにも、きちんと作成しておくべきです。

【売買契約に必要なもの】

  • 不動産売買契約書のフォーマット
  • 売主の実印(買主は認印でOK)
  • 製本テープ(任意だが推奨)
  • 契約印紙代
  • 手付金(売買代金の10%が目安)

まず、0から売買契約書を作成するのはプロでも厳しいものがあるので、基本的には宅建協会などが用意しているテンプレートを使って作成していく形となります。

僕は京都宅建協会が提供して下さっている書式(PDF)を使って契約書を作成しました。書面の内容は一般的なものなので、基本的には売買代金や引渡日など必要な事項を埋めていくだけでも契約書は完成します。

仲介を依頼する不動産業者が使用するものと特には変わらない、不動産取引の慣習に基づいた中立的な条項が盛り込まれています。

なお、契約書作成時の注意点ですが、①売主は実印の押印が必要、②契約書はちゃんと製本し割印を行う、③売買代金に応じた収入印紙を1部ずつ貼り付ける、ということを忘れないようにしましょう。

売主は所有権移転登記時の各申請書類も、印鑑証明書を添付した上で、それぞれ実印で押印を行わなければなりません。売主には確実に実印を用意してもらいましょう。なお、買主側は認印の押印でOKです。

契約書の製本の仕方はこちらの記事売買金額に応じた収入印紙の必要金額についてはこちらの記事を確認してください。

なお、契約書に貼り付けた収入印紙にも売主・買主双方の押印が必要なのでお忘れなく。収入印紙の購入代金は売主・買主がそれぞれ拠出します。

契約書の内容について双方の合意を取ったら、手付金の支払いを行い、各自押印・印紙貼り付けのものを1部ずつ保管しておきます。念のため、契約書原本は白黒コピーを取っておきましょう(登記申請時に必要になる場合あり)。

残代金の受け渡しは、原則として登記移転日と同じ日に設定します。確実に所有権移転登記を完了するためですが、法務局が開いている平日9-17時に限定されてしまうので要注意です。

 

所有権移転登記に必要な書類

契約が終わったら、次は所有権移転登記の準備を進めていきます。法務局に登記申請を行うための書類を用意していきましょう。

登記申請に必要な書類は以下の通りとなるので、売主・買主双方で協力しながら書類を揃えていってください。

 

登記申請書

所有権移転登記を行う際、必ず提出が必要になってくる書類です。書式は法務局公式のものを使います。記入の仕方も合わせて公開されています。

中古物件の購入の場合は「4)所有権移転(売買)登記申請書」を使いましょう。

 

委任状

委任状を作成することで、買主のあなたが一人で必要書類を法務局に持参して登記申請を行うことが可能になります。

個人売買を行う際は、売主は高齢の方であることが多いです。そのため、体調などを理由に登記申請を拒むケースも少なくないです。それに、あなた一人で動いた方が早い場合もあるでしょうから、委任状は作成しておいた方がいいです。

委任状のテンプレートはこちらの法務局のものを使用するのが良いです。

 

登記識別情報(なくても可)

登記識別情報とは、登記が完了した際に交付される書類のことで、売主がそれを持っている場合は、目隠しシールをはがした状態で取ったコピーを封筒に入れて提出する必要があります(原本は売主保管)。

登記識別情報はこういうやつです。下部の目隠し部分を手で開き、暗号が出ている状態で白黒コピーを取ります▼

f:id:kyoheing-on-japan69:20180216171458p:plain

引用:登記識別情報通知 | 初回相談無料 練馬区の女性税理士

ただし、売主が紛失や長年物件の登記を行っていないなどの理由で、登記識別情報が提出できない場合もあります。その際は、売主宛に送られる本人限定受取郵便のやり取りで本人確認が行われます。

詳細はこちらのPDFで確認できます。

 

登記原因証明情報

登記の原因となった契約(売買契約)を証明するための書類です。契約書は条文によって証明情報とみなされるケース・みなされないケースがあるため、通常は登記のために一枚書類を作成・押印します。

僕は以下サイトのフォーマットを利用しました。必要事項を記載し、売主に押印してもらうだけでOKです。

フォーマット:登記原因証明情報の書式ひな形 売買による所有権移転(特約なし) | 埼玉東松山の相続・遺言サポート | 登記は司法書士柴崎事務所

 

固定資産評価証明書

物件の固定資産評価証明書も必要添付書類の一つです。これに記載されている固定資産評価額をもとに登録免許税の計算を行う必要もあるので、早めに入手しましょう。

固定資産評価証明書は役所・役場の税務課で取得することができます。売主に取ってきてもらうか、委任状を持って代理で取得しましょう。

 

売主の印鑑証明書

売主は売買契約書や法務局に提出するための各書類を実印で押印しなければなりません。それに伴い、登記申請の際には印鑑証明書を添付しなければなりません。

印鑑証明書も役所・役場で発行が可能です。売主本人ではなく代理人が取得する場合は、印鑑登録証または印鑑登録カードを窓口に持参することで受け取りが可能です(委任状は不要)。

なお、印鑑証明書は登記申請の3ヶ月以内に発行したものでないと効力が無いので注意しましょう。

 

買主の住民票

買主側は住民票の写しを提出しなければなりません。役所・役場で取得しましょう。住所など記載事項に変更が無ければ、特に期限の縛りはありません。

 

登録免許税の計算方法

なお、登記申請を行う際には、物件の固定資産評価額に基づいて計算された登録免許税額ぶんの収入印紙を登記申請書に貼り付けて提出しなければなりません。

登録免許税の計算方法と税額はこちらに記載されています。金額はだいたい、土地評価額の1.5%(H31/3/31まで)+建物評価額の2.0%となります。

※自分が住むための住宅を購入した場合、建物評価額の0.1~0.3%の軽減税率で済む場合もあります。投資用不動産を購入する場合はこの軽減税率は適用されません。

 

法務局で行う所有権移転登記申請の仕方

おおまかな流れは以下の通りです。

  • 売買契約~必要書類の準備
  • 法務局へのアポイント
  • 書類の確認
  • 収入印紙の購入⇒貼りつけ
  • 所有権移転登記の申請
  • 登記識別情報等の受け取り

最初の注意点ですが、登記申請を行う際や必要書類の内容確認を行う場合は、事前に法務局にアポイントを取ってから行くようにしましょう。

全国どの法務局も登記相談は事前予約制となっているので、アポ無しで訪問した場合、登記相談を断られたり、小言を言われたりする可能性が高いです。。

職員が登記申請の必要書類一式を確認し、問題があれば修正箇所を指摘してくれ、問題がなければ収入印紙を貼りつけて書類を提出するように指示されます。

登記申請書に記載した金額ぶんの収入印紙を法務局内で購入し、登記申請書に貼りつけてから必要書類一式を提出しましょう。

書類を渡した時に職員から案内があると思いますが、数日~2週間程度で所有権移転登記の手続きは完了します(申請の混雑状況によってまちまち)。

手続きが無事完了したら、法務局へ登記識別情報と登記事項証明書を取りに行きましょう。問題なく登記移転が完了していることを確認したら、これにて終了です。お疲れさまでした。

 

登記を司法書士に任せた場合との比較

以上のように、所有権移転登記を自分で行うのは少々手間はかかります。しかし、そのぶん司法書士報酬をカットできるので、僕は「挑戦してみても良いかな」とは思っています。

さて、具体的に司法書士に登記移転を依頼した場合と自分で行った場合で、それぞれどれくらい時間と費用が変わるかをまとめてみました。

【司法書士に依頼した場合】

時間:物件の決済日に合わせて、全部お任せでやってくれる

報酬:4万円前後+登録免許税とその他登記に必要な費用の実費

【自分で行った場合】

時間:書類準備+登記申請で平日1日以上が潰れる覚悟は必要

費用:登録免許税のみ(あとコピー代とか)

司法書士に依頼する場合は完全お任せで大丈夫なので、あなたが「どうしても時間が取れない」「契約or売主さんが遠方なので、手続きが難しい」という場合には、自分でやるよりも依頼するのが無難でしょう。

しかし、自分で登記申請ができるのであれば、司法書士報酬の約4万円を浮かせることができるので、費用対効果は結構大きいと思います。

僕の場合、大家さんが仕事と家庭の都合で多忙だったこともあり、調整にかなり時間がかかってしまいましたが、書類準備など作業を行っていた時間で換算したら、実質8時間以内には収まっていたと思います。

こう考えると日給4万円の仕事なので、なかなかオイシイですよね。一度やったら、次回以降も自力でできるようになるわけですし。。。

というわけで、不動産を直接購入する機会があったり、仲介業者による司法書士の指定が無かったり(or指定を断ったり)する場合には、自分自身で所有権移転登記を行ってみてはいかがでしょうか?

格安物件を購入する場合、取得費に占める司法書士報酬の割合も必然的に高くなるので、利回りに対するインパクトも結構大きいと思いますぜ。

タイトルとURLをコピーしました