ボロ戸建を買うべきかどうか検討するための手順と押さえたいポイント

気になるボロ戸建物件を見つけたとしても、それが本当に採算の取れる物件かどうかは精査してみないと分かりません。実際に内覧し、どんなリスクがあるのか、どれくらいの賃料が取れるのかを調査して、収支をじっくり計算して答えを出す必要があります。

今回の記事では、そのプロセスについて簡単に解説していきます。

賃貸ニーズのある地域かどうか把握する

不動産投資における物件検討の入口として、まずは候補物件の立地が賃貸ニーズを見込める場所なのかどうかを掴む必要があります。

最も手っ取り早い手段としては、LIFULL HOME’Sが提供する「見える!賃貸経営」の利用があります。無料ながら使いやすく、市区町村レベルの空室率や物件検索数に基づく賃貸需要ヒートマップなどの情報を確認できます。

合わせて、物件近隣の賃貸仲介業者に連絡を取り、「賃貸物件の購入を考えているのですが、(住所)の辺りは賃貸需要どうでしょうか?」と確認をすると良いでしょう。先方は将来的に賃貸仲介の契約を取りたいと考えるため、教えてくれる場合が多いです。地元に根差した不動産会社の意見は大いに参考になります。

そのほか、物件の内覧時には周辺環境もよく観察しておき、空き家が多くないか、アパートの空室が多くないかを確認したり、市区町村および住所ごとの人口推移、世帯構成、平均年齢といったデータを確認したりすることで賃貸ニーズを把握できます。

ボロ戸建は情報公開後すぐに売れてしまうため、これらの作業をスピーディにこなす必要がありますが、調べれば調べるほど判断に正確性が出てくるため、なるべく複数のアプローチで賃貸ニーズの調査を行うと良いでしょう。

賃料相場を調べ、想定賃料を求める

次に賃料相場を調べます。これも「見える!賃貸経営」を利用すれば、簡単に市区町村単位で物件条件別に平均賃料を把握することができます。まずはこれでアタリを付けてから、候補物件と似た物件を検索し、募集賃料の相場を確認しておきましょう。

また、賃貸ニーズ調査の際、不動産会社には想定家賃も確認しましょう。こちらも高い信頼性が見込めます。

ちなみにボロ戸建の場合、賃料は相場より安くするケースが多くあります。その時の参考になるのが「生活保護者の家賃補助の金額」です。自治体ごとに金額が決まっており、これを上限にしておけば、少なくとも生活保護者の入居や安さを求める入居者には確実にアプローチできる水準に設定できます。

物件を内覧して修繕費の概算を出す

物件を内覧する際には、どういった修繕が必要なのかを洗いざらい確認し、どれくらい費用がかかりそうかを推測する必要があります。特に屋根、柱、基礎、外壁といった躯体の部分は、状態によって建物の耐久性が悪くなる可能性もあるほか、修繕費が高くなりがちなので特に注意が必要です。

見るべきポイントは多数ありますが、例えば以下のような視点で物件を見てみると良いでしょう。

  • 床は傾いていないか
  • シロアリ被害は無いか(食い荒らされてスカスカになっている木はないか、基礎や柱に蟻道はないか)
  • 内装の壁材はそのまま使える状態か
  • 戸やドアの立て付けは悪くないか
  • 天井や壁に雨漏りの形跡はないか
  • 破風やひさしに損傷はないか(ある場合、屋根の劣化による雨漏りの疑いがある)
  • 基礎と外壁にクラックがないか
  • 外壁を触ると粉が指に付くか(チョーキング現象。発生すると壁材交換のタイミング)
  • 床にたわむ部分はないか
  • 畳は使える状態か
  • 排水は下水道か、浄化槽か、自然流下(汚水汲み取り)か
  • 電気の配線やブレーカーは古くないか
  • 外構に錆びや破損はないか

修繕費の概算を出すのは慣れていないと難しいのですが、なるべく内覧時に大体の費用感を頭の中で計算するために、Web検索であらかじめ平均工事単価の相場を押さえておくと良いでしょう。

この部分はボロ戸建投資の中でも難しく、かつ収支を大きく左右する大切な要素でもあります。内覧時には発注前提でプロを連れていき、大まかにゴーサインが出せる物件であるかどうかを一緒に確認するのも一つの手段です。

修繕以外のリスクも洗い出す

また、修繕費以外のリスクも内覧時にできるだけ洗い出しておくことが必要です。例えば、浸水や土砂崩れ、強風などの自然災害リスクは高いか、前面道路は車の出し入れをしやすいか、周辺に強い臭いや煙を放つ店舗などがないか、近くの畑から砂ぼこりは飛んでこないか、塩害の心配はないか、等々です。

こちらも確認しておきたいポイントは様々にありますが、コツとしては「入居者が何年もこの家を気に入って住み続けてくれるだろうか?」という視点から周辺環境などを確かめることです。

入居中の不満は引っ越しに繋がり、大家は入居者が退去したら、再度賃貸募集を行う手間と費用が発生することになります。長期的に入居して頂けるよう、快適な住環境があるかどうか、また支出が生じかねないトラブルのポイントはどこにありそうか、押さえておきましょう。

収支計画を作成する

上記の確認を行ったら、それを数字(収支計画)に落とし込みます。エクセルなどの表計算ソフトなどに、想定収入と諸費用を月別に入力し、損益・キャッシュフロー・利回りなどを確認します。この結果、採算が合いそうならゴーサイン、難しければ潔く見送りとしましょう。

収入については、想定家賃を入れ込むだけではなく、賃貸募集開始からどれくらい空室期間が続くか、入居から何年で退去をする想定とするかを考え、反映することが必要です。また年数の経過に伴って設備等が劣化し、競争力がなくなるリスクが想定される場合は、相応に賃料を下げていくシミュレーションも必要です。

想定費用の入力に関しては、場合によっては固定資産税評価額などの数字が記載されたデータを入手できるほどの時間的余裕がないケースもあるため、どうしても推定で入れざるを得ない要素も出てきます。資料がない場合、内覧のタイミング等で仲介業者にできる限り固定資産税や不動産取得税などの概算値も確認しておくのが望ましいでしょう。

収支はできるだけ正確に作成することが望ましいのですが、ボロ戸建投資はスピード勝負な面も強いため、頭の中でザックリそろばんを弾いて、内覧当日に買付を入れるかどうか判断できる能力も必要になります。申込から手付金の入金までは契約を取りやめても特にペナルティは無いため、そのタイミングで可能な限り精査するのが良いでしょう。

まとめ

気になる物件が見つかったとしても、それが投資に値するかどうか、また実際に購入できるかどうかは運がモノを言います。さらに、それを正確に判断するためには、上記のような検討方法を理解し、実践を重ねて精度の高い収支想定を作成できるようになることが必要です。

ボロ戸建投資では時間的余裕がない場合がほとんどな分、初心者にとって物件の検討フェーズは難易度が高いものです。しかし、最初のうちは焦らずじっくりと取り組み、なるべく失敗の確率を減らせるようにすると良いでしょう。

初めから競争力の高い掘り出し物ばかりを検討する必要はありません。売れ残っている物件の中で、ある程度自分の投資目線に合いそうな物件で練習したり、狙う利回り水準になるように値引きできるか相談したりするのも一つの手段です。

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