ボロ戸建、賃貸後の管理方法は?自主管理のポイントや売却タイミングも

不動産投資では、入居者が決まったタイミングこそ胸をなで下ろす時ではないでしょうか。しかし、家主としての仕事は終わりではなく、今度は「管理と売却」を考える時が来るのです。

入居者にとっては、物件に入居してからが新しい生活のはじまり。快適に長く入居してもらえるよう、自身あるいは管理会社に依頼して物件の管理を抜かりなく行う必要があります。また、永遠に不動産を所有し続けるわけにもいかないので、どこかで売却を考える必要性も出てきます。

ここでは賃貸中の管理方法と、将来的にボロ戸建の売却を考えるべきタイミングについて解説していきます。

自主管理か管理会社に依頼するかを決める

まず最初に、物件を自分で管理するか、管理会社に委託するかを決めましょう。管理は仲介業者が引き受けられるケースも多いため、必要であれば管理を打診するのも良いでしょう。

しかし、個人的には戸建賃貸では自主管理がおすすめです。なぜなら、マンションやアパートなどの一棟モノと異なり、共用部の管理にあまり手間がかからないこと、一戸しかなく入金管理等も容易なこと、入居者が専有部以外も自然と管理してくれることから、普段は年にせいぜい数時間ほどしか実働時間が必要ないためです。

管理会社に管理を委託すれば不労所得と言えるビジネスモデルが完成しますが、こと戸建賃貸においては自主管理でもほぼ不労所得と言えるレベルになるのです(もちろん、トラブルに対処するための労力や知識は必要になりますが)。

ボロ戸建の自主管理におけるポイントと注意点

以下では、戸建物件を自主管理する際のポイント・注意点について解説します。

入居者とはできればLINEで繋がっておく

自主管理の場合、入居者とは家主である自身が直接連絡を取ることになります。連絡手段としては電話が一般的かと思いますが、LINEなどのチャット+無料通話ができるツールで繋がっておくと非常に便利なので、契約の際に自分のLINE ID(もしくはQRコード)を入居者に伝えてもらうよう仲介業者に依頼すると良いでしょう。

ただし、高齢の方など、中には電話しか使えないという入居者もいます。その場合は携帯に留守番電話機能を付けたり、留守番電話サービスがデフォルトで付いてくるIP電話サービスを利用したりすると便利です。

連絡の取りやすさ・履歴(エビデンス)の残しやすさはお互いのストレスにも大きく関係するため、連絡手段にはこだわっておくと管理がグッと楽になるはずです。

入居者からの連絡・要望には早めに対応する

入居者から連絡があった場合には、何かしらの要望やクレームであることがほとんどです。そのため「メッセージが来たら、できるだけ早く確認して即対応する」というのが鉄則です。

もちろん深夜や会議中など、すぐに対応できない時には対応しなくても構いませんが、返信に時間がかかってしまった場合には一言お詫びを添えておくなどして、入居者の心証に配慮することが必要です。

お互いにレスポンス早く・礼儀正しくコミュニケーションが取れれば色々なことが円滑に進むため、家主としては必ず意識しておきたいポイントです。

修繕・改修依頼は全てを吞まなくてもいい

なお、入居者から「ここを直してほしい」「ここを改修してもらえないか」という依頼を受けることもたまにありますが、それに対しては必ずしも全て承諾しなければならない、というわけではありません。

まず、一般的には賃貸借契約書の中に「軽微な修繕は借主が負担する」という条項が入っています。具体的には蛇口パッキンの交換、電球の交換、エアコンのクリーニング等が軽微な修繕に当たるとするのが標準的です。これに当たる要求を受けた際には、契約を理由に先方負担をお願いしましょう。

また、ボロ戸建投資の場合、キレイにリノベーションを行ったとしても、何かしら入居者に負担を強いざるを得ないような箇所は残るでしょう。そのぶん安い賃料としていることを事前に了承を取った上であれば、生活に支障が出ない程度の破損・劣化箇所については事情を説明してやんわりとお断りするのも選択肢の一つです。

台風などの災害後には被害がないか確認する

築年数の経過した戸建は、どうしてもあちこちが脆くなってしまうものです。そのため、台風や地震などの自然災害の後は、入居者に連絡あるいは自身で赴くなどして物件や入居者の状況を確認しましょう。

災害によって建物に損害が発生した場合は、加入している火災保険で修繕費を賄うことができます。損害を放置していると雨漏りなどのトラブルに繋がり、さらに物件と入居者にダメージを与える事態にもなりかねないので、早めに手を打つようにしましょう。火災保険のありがたみは被災時に強く実感します。

毎月入金確認を行う

物件を賃貸する際には、入居者に家賃保証に加入することを義務付けるのが通常です。これによって家主は安定的に賃料収入が得られる保証を受けられるため、賃貸経営には無くてはならない存在です。

かと言って、毎月ちゃんと家賃が入金されているかどうかはしっかりと確認しておくのが望ましいと言えます。頻繁に滞納する入居者は色々なトラブルを起こす可能性が相対的に高いため、あらかじめ警戒し準備しておくことができます。一方、毎月もれなく入金をしてくれる入居者にはどこかで感謝を伝えるのも良いでしょう。

また、保証会社には「入居者⇒家主へ家賃支払い、未払い時に連絡すれば対応してくれる」「入居者⇒保証会社⇒家主の流れで家賃支払い、何も言わずとも未払い対応してくれる」の2パターンがあります。前者の場合はもちろん、後者のパターンでも保証会社からの入金はしっかりと確認しましょう。未払いがあった場合、近々倒産して売掛金が未収となる場合も考えられます。

ボロ戸建の売却を検討するタイミング

不動産投資では、家賃収入を得るのみならず、売却による利益も重要です。うまく売却を絡めればスピーディに現金を積み増せるため、新しい物件を購入できる速度も上がります。

しかし、物件を売却するタイミングを決めるのは意外と難しいものです。ここではボロ戸建を売却するにあたっての節目となる機会に焦点を当てていきます。

総収入+売却額-総支出がプラスになるとき

今までの総収入に想定売却金額を足した金額が、物件の購入から売却後の納税(売却翌年の住民税or法人税等が最後)までに支出した全ての金額を上回る想定になるタイミングは、ボロ戸建の売却を検討しはじめる一つのターニングポイントになります。

きちんと将来も含めた収支管理を行っていなければタイミングを図るのは少々難しいのですが、ここを正確に押さえておくことにより最終的に損しない投資が実現しやすくなります。

トータル収支がプラスになり得るタイミングを迎えて以降は、以下のポイントなどを踏まえて売却タイミングを考えると良いでしょう。

物件購入時から5年以上経過したとき

個人で不動産投資を行っている場合、「物件購入から物件売却年の1月1日時点までにおいて、所有期間が5年を上回っていたかどうか」で税率が大きく変わります(以下は2021/3/15時点の税制に基づく)。

  • 5年以下の場合:短期譲渡所得 税率39.63%
  • 5年を超える場合:長期譲渡所得 税率20.315%

このように、短期と長期とでは不動産売却により生じた利益にかかる税額が倍近く異なります。そのため、「物件購入日から物件売却予定の年の1月1日までの期間が5年を超えるタイミング」になったら、売却を検討するのも良いでしょう。

なお、「物件購入日から物件売却日までの期間が5年」ではないので要注意です。長期譲渡になると思ったら実際は短期で、確定申告後に税務署に指摘されてペナルティも含めた追納をせざるを得なくなる可能性もありますので、くれぐれも間違えないようにしてください。

より収益性の高い資産を買うための現金が必要なとき

上述のように、不動産を売却すればまとまった現金が手に入り、新しい物件を購入しやすくなります。そのため、保有物件を入れ替えて、より収益性の高いポートフォリオを構築すべきだというタイミングに物件を売却できればベターと言えます。

とはいえ、不動産は流動性が低く、現金化するには時間がかかります。特にボロ戸建にはクセの強い物件も多いため、物件によっては仲介業者へのアポ取りから売却完了までに数ヶ月、半年、1年以上とズルズル時間がかかってしまう懸念もあります。

そのため売却にベストなタイミングを図り、そこに合わせて現金を得るというのはなかなか困難なのですが、「収益性が低い物件を損切りする」「一定のIRR(内部収益率)を確保するために売却する」「近々大きなリスクが顕在化しそうな気がするから厄介払いする」といった理由で先に現金化を狙うのも良いでしょう。

入退去が発生したとき

「近々大きなリスクが顕在化」と述べましたが、その最も分かりやすい例としては入退去の発生です。

退去が発生すれば家賃収入は0になる一方、再度のリノベーションにより次回の賃料を上げられる可能性があります。対して入居者が新たに決まれば、キャッシュフローに余裕をもって売却活動ができ、また家賃収入から逆算した還元利回り(直接還元法)ベースで売却が見込める一方、家賃が低ければそのぶん売却にもマイナスの影響が生じます。

このように、入退去にはそれぞれプラスとマイナス両面のリスクが生じ、売却活動に大きく影響を及ぼすため、入退去が発生するタイミングに合わせて売却活動を行うという選択肢も多く取られます。

まとめ

戸建物件は自主管理でもあまり手間がかからないのがメリットです。ボロ戸建の場合は築浅に比べてトラブルの頻度が多くなってしまいますが、それでも会社勤めをしながら自主管理を行うことも難しくないレベルです。

自主管理の場合、肝心になるのはスピード感と親切さのある入居者とのやり取りです。LINE等で繋がっておけば、メールや電話より確実かつ楽にスピーディなやり取りができるのでおすすめです。

また、賃貸を続けていれば、いずれ売却を検討するタイミングも来ます。もしかしたらリノベーション後すぐ、あるいは入居者が決まった後すぐに売りたくなるかもしれません。売却のタイミングを計るのは簡単ではありませんが、不動産投資の効率を最適化するため、じっくり計画を練ると良いでしょう。

ボロ戸建投資は少ない元手で高利回り賃貸を狙える魅力的な投資手法です。一方で事業拡大のスピードは遅かったり、様々なリスクに対するマネジメントが必要になったり、リノベーションや修繕などの手間が少々かかったりするデメリットもあるため、事前にポイントを押さえてから物件の購入に踏み切るようにして頂ければと思います。

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