さすが中国、先進的です。「北京インターネット裁判所」なる裁判所があるようで、そこではブロックチェーンを証拠の記録として活用し、2018年9月の設立から今までに58件の事件でブロックチェーンを取り扱っていたとのことです。
参照:CoinTelegraph「中国のインターネット裁判所、AIとブロックチェーン技術を積極採用」
ブロックチェーンに書き込まれた情報は、書き込んだ本人も含め、誰かから改ざんされることはまずありません。この「耐改ざん性の高さ」はブロックチェーンの強みの一つです。
また、ブロックチェーンに情報を書き込んだ際は自動的にタイムスタンプが押印され、秒単位で「いつ時点の情報なのか」を正しく証明することが可能です。
記録された一つひとつの情報は、トランザクション履歴として半永久的にブロックチェーン上に残り、誰もが確認することが可能です(個人を特定できるような情報は含まれません)。
これらの特徴は、確かに裁判のための証拠記録にも活用できます。しかし、こうした新しいテクノロジーが法廷の場でもきちんと受け入れられ、公的に利用されているのは、日本人の私からすると先進的だなあ…と感じざるを得ません。
日本でのブロックチェーン×裁判の可能性
今回のような事例が世界中に情報として広まれば、日本においても裁判などにブロックチェーンの活用を認めるようになるかもしれません。今のところ、まだそうした事例は出てきていないようですが。
世界では中国のほか、イギリス司法省でもブロックチェーンを犯罪証拠のデータ管理に用いることを検討しているとの情報があります。今後どうなるかは日本も含め分かりませんが、導入される可能性は十分にありそうです。
なお、日本においてブロックチェーンの活用により法的権利を守る使用方法としては、「著作物の存在証明」などが挙げられるでしょう。
日本において著作物の権利を守る場合には、JASRACのような著作権管理団体に著作物を登録するか、あるいは「著作物が確かにその時点で存在していたこと」を証明する(著作権を推定する)ため、内容証明郵便を自分に送るなどしてタイムスタンプを押印する必要があります。
ブロックチェーンを活用すれば、この後者について、わざわざ郵便局に行って郵便を送らなくても、PCやスマホ一台で簡単にタイムスタンプを押印することが可能になります。
ただし、それが法廷の場で具体的に権利証明として認められるのかどうかは、まだ裁判例が報告されていないので分からないというのが正直なところです。
裁判官がブロックチェーンに対する理解を持っていないことも十分考えられるため、たとえブロックチェーンによる権利証明が正当なものだとしても、現時点では法的効力を有するかどうかはハッキリと言えないのです。
裁判なので、そういった係争事例が出てきて欲しいとは決して言えませんが、今後の動向には注目したいところです。これ次第で権利証明のあり方が大きく変わるものと思われます。