「何に使えるのか分からない、むしろ本当に使えるのかどうか」といった疑問を持つ人も多かったブロックチェーン技術ですが、なんだかんだ言ってその市場規模は広がりつつあり、日本でも少しずつブロックチェーンを活用したサービスが増えてきています。
ブロックチェーンのような先端技術の市場が拡大していくためには、会社設立の初期段階から事業資金を提供してくれる投資家の存在が欠かせません。近年では市場の成長に伴い、ブロックチェーン業界に積極的に投資を行う企業やエンジェル投資家も増えてきており、市場にエンジンがかかり始めている印象です。
この記事では、日本におけるブロックチェーンの分野に積極投資を行うベンチャーキャピタルやファンド、エンジェル投資家の情報および、資金調達を行った主な企業の情報をまとめています。ブロックチェーンや仮想通貨を活用したビジネスをお考えの方はご参考にしてください。
最終更新:2019/11/8
ブロックチェーン分野に投資を行う国内VCの一覧
日本に拠点を置いてブロックチェーン業界に積極的に投資を行っているベンチャーキャピタルや、ブロックチェーンファンド、エンジェル投資家などの情報をまとめています。
gumi Cryptos
モバイルゲームを開発・提供するgumi社の子会社として、ブロックチェーン分野への投資やコンテンツ開発を行っているのがgumi Cryptosです。海外の著名ブロックチェーンプロジェクト「NEO」や「Ontology」などと日本進出に向けたパートナーシップの締結も行っており、日本のブロックチェーン市場活性化に向けた歩みを進めています。
主な出資先:double jump.tokyo(ブロックチェーンゲーム「My Crypto Heroes」)など
B Cryptos
B Cryptosは、ベンチャーキャピタルB Dash Venturesによって設立された、ブロックチェーン・仮想通貨・ICO分野へグローバルに投資を行うファンドです。仮想通貨取引所Liquidを運営するQUOINE社や、同じく取引所のBITPointや電力業界などに向けたブロックチェーン技術の提供を行うリミックスポイント社などが参画しています。
主な出資先:FiNANCiE(ファンコミュニティサービス:後述)など
本田圭祐氏「ブロックチェーンファンド」
日本を代表するサッカー選手兼投資家の本田圭祐氏も、ブロックチェーン業界への投資ファンドを立ち上げています。国際的なブロックチェーンカンファレンス「Node Tokyo」を開催する大日方祐介氏との共同で設立されました。
本田氏は様々な国に訪れる中で、「その国のお金や資産が不安定で、個人資産が将来どうなるか分からない」という問題を抱える発展途上国をいくつも見てきました。その中で、国家や第三者による情報の改ざんを防ぎ、透明性を持った運営ができるブロックチェーンに大きな関心を寄せるようになっています。
主な出資先:FiNANCiE、Asobica(コミュニティ&通貨発行サービス「fever」)など
リクルート
リクルートでは「RSP Blockchain Tech Fund Pte. Ltd.」などのファンド子会社を組成し、世界中のブロックチェーンプロジェクトに投資を行っています。
リクルートはこれまでにもブロックチェーン技術の実証実験を行うなどしており、積極的な姿勢が伺えます。ファンドではまだ日本国内への出資は無いようですが、イスラエルや米国の企業など徐々にポートフォリオも増えているため、今後の動向を注視したいところです。
国内の代表的な投資プロジェクト事例
国内のブロックチェーン活用サービスと、資金調達の状況について主な事例を少しご紹介します。
VALU
VALU(バリュー)は「なりたいもの・やりたいことを実現するためのSNS」です。自分オリジナルの通貨「VA」を発行し、ユーザーにビットコインで購入してもらうことで、理想の達成に向けた活動資金を手に入れられるプラットフォームとなっています。
VAを購入したユーザーには、VAオーナーが設定した特典が提供されるほか、他にVAを購入する人が増えればその価値も上昇するため、VAを売却することで売却益も狙うことが可能です。
VALUは国内のブロックチェーンを活用したサービスとしては老舗で、2017年から開始しています(会社設立は前年12月)。β版ローンチ後は、ホリエモン等のアーリーアダプターがこぞって利用し、活発にVAの取引が行われました。
VALUはシードラウンドで個人投資家の千葉功太郎氏から数千万円、シリーズAでグローバル・ブレイン社から5億円の調達を行っています。
FiNANCiE
FiNANCiE(フィナンシェ)は「夢を持つ人を応援するプラットフォーム」で、クラウドファンディングや上記のVALUに近い仕組みのサービスになっています。
叶えたい夢を持つ人を「ヒーロー」と称し、そのヒーローが発行したカードをユーザーが購入することで、ヒーローに活動資金が入ってくる形となります。カードは共同購入のようなダッチオークション形式での入札で購入ができ、購入後はヒーローが展開するコミュニティに加入する権利を得ることができます。カードは売却することも可能です。
このカードの発行と売買の仕組みには、イーサリアム(Bancorというプラットフォームを利用)のスマートコントラクトを活用しており、取引の記録はユーザーの裏側でブロックチェーン上に刻まれます。このように、ハッキングによる価値の毀損を防げる高いセキュリティを持った取引の仕組みを簡単に実装できるのがブロックチェーンの強みだと言えます。
FiNANCiEは2019年3月に3億円の資金調達を実施しており、B Dash Ventures、ファウンダーとしても名を連ねる國光宏尚氏率いるgumi Cryptos、D4V有限責任事業組合、本田圭佑氏のKSK Angel Fund等から出資を受けています。
仮想通貨取引所(bitFlyerなど)
ブロックチェーンを活用したビジネスの代表格は、何と言っても仮想通貨取引所でしょう。bitFlyer、Coincheck、Zaifなど複数の事業者があり、それぞれが資金調達を行っています。以下、主要各社の資金調達実績です。
- bitFlyer:総額約40億円
主な出資先:SBIインベストメント、ベンチャーラボインベストメントなど多数 - Coincheck:不明(3,000万円以上)
主な出資先:ANRI、インキュベイトファンド - テックビューロ(Zaif):総額約24億円(+COMSAトークンのICOで109億円)
主な出資先:ジャフコ、フィスコなど - ビットバンク:総額8.5億円
出資先:セレス - ディーカレット:総額34億円
出資先:インターネットイニシアティブ、KDDIほか全12社 - QUOINE(Liquid):不明(20億円以上)
主な出資先:ジャフコ、IDG Capital、Bitmain Technologiesなど
まとめ
ブロックチェーン業界は徐々に成長してきており、少しずつ日本においても市場のエコシステムが形成されてきています。
大企業によるブロックチェーンを活用した新たなプラットフォームの開発が進む中、複数のスタートアップ企業も立ち上がりはじめています。
世間一般に浸透するブロックチェーンプロダクトが登場するには、まだもう少し時間が必要かもしれませんが、企業が事業立ち上げのための資金調達を行える環境は整ってきたため、むしろ「今が仕込み時」と言えるかもしれません。
なお弊社でもブロックチェーンを活用した社内通貨発行・ピアボーナスツールの開発を進めており、モニター利用企業様を募集しておりますので、ご興味がございましたらぜひお問い合わせください…という宣伝で末尾を〆たいと思います。
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