所有物件を民泊用途で貸す場合のメリット・デメリットと始め方

所有物件を民泊用途で貸す場合のメリット・デメリットと始め方

コロナ禍の影響で厳しい状況にある民泊業界ですが、依然として民泊ができる物件の供給は少なく、現在でも物件を探し回っている事業者は多い状況です。

大家からすると、民泊用に賃貸募集を行うことで収益アップや空室期間の短縮といったメリットが見込める一方、いくつかのデメリットがあったり、始める際のハードルがあったり、情報が少なかったりするため、なかなか踏み切れない選択肢の一つとなっているのが現実でしょう。

この記事では、大家と民泊運営どちらも行っている筆者から賃貸物件を所有する大家さんに向けて、民泊用に物件を賃貸するメリット・デメリットと、具体的な賃貸募集の始め方について簡単に解説していきたいと思います。

 

民泊用途で賃貸するメリット

まずはメリットから解説します。一番のポイントはやはり収益性アップという点なのですが、いくつかの要素に分かれるため、主なメリットを一つずつお話していきます。

 

家賃・敷金・礼金をアップできる

民泊ができる物件は希少であることから、通常の住居用賃貸などと比べて家賃や敷金、礼金を積み増すことができます。

これは需給の問題だけではなく、後述する様々なデメリットを利回りの向上でカバーする必要があるという現実的な問題にも関わります。店舗用途での賃貸と同様のイメージです。

執筆時点の状況ではともかく、インバウンド観光が過熱し民泊ブームとなっていた2018年前後においては、民泊可能物件は需要に対し供給が非常に少ない状況でした。ゆえに、住居用物件の相場と比べてかなり高額な条件でもすぐに入居者が見つかるという状況でした(具体的には、東京都心の20㎡程度のワンルームマンションが共込12万円程度といったものも珍しくありませんでした)。

住居用途での賃貸に比べてリスクやコストが増大するため、収支は精査する必要はあるものの、民泊用途で賃貸募集をかけることで収益力が向上する期待が持てるのは大きなメリットです。

 

客付けの幅が広がる

上記の通り、民泊可能物件は供給が少なく、需要が激しく減衰した現在においてもなお物件を探す事業者がいくつも存在します(私もその一人です。物件情報ください)。そのため、住まいとして物件を探す人に加え、民泊用途で物件を探す人にも有効にアピールすることが可能となります。

客付けにあたっては、まず物件の認知が広がらないと話になりません。しかし、HOME’SやSUUMO、アットホームといった大手ポータルには類似物件も多いため、掲載したからといってすぐ決まるかと言えばそうではありません。

そうした状況にあって、民泊需要のあるエリア(都心や都心に近いエリア、または観光・リゾート地)に存在する物件を民泊可能にして賃貸募集を行えば、引き合いは確実に多くなり空室リスクの低減にも繋がります。

 

テナント側でバリューアップしてくれる可能性あり

民泊は宿泊業なので、お客様に心地の良いきれいな空間を作り提供する必要があります。そのため、やる気のある事業者(民泊運営代行業者含む)であれば、通常の住居用賃貸の内装では物足りないと感じ、様々なバリューアップを施すことが多くあります。

テナント側で家具備品の搬入に加え、例えば壁紙の張り替えやおしゃれな照明の導入なども行い、きれいな空間を作って営業するため、将来退去する際にその内装を引き継ぐ(原状回復を免除する)ことで、次回はより高く賃貸できる可能性もある、というわけです。店舗や事務所と同様ですね。

ちなみに、弊社が運営する箱根の民泊では、元々の木造戸建の内装に手を加え、よりポップで可愛らしいデザインに仕上げています。具体的には、木製のサッシやドア、ポスト等を緑色に塗ったり、庭を砂利とレンガ敷きのヨーロピアンな感じにしたりなどして、コンセプトであるジブリ作品風の世界観にも近付けています。好き嫌いはあるかもしれませんが、次の入居者にもウケるであろうリノベーションを施しています。

また、客観的なデータは無いのですが、今まで民泊撤退物件の買収案件を複数検討してきた中で、造作買取請求権を行使したテナントの話は聞いたことがないほか、賃貸借契約時に請求権を行使しない旨の条項が入っていることも多いようなので、大家サイドとしては貸すだけでバリューアップが期待できるとも言えそうです。

 

民泊用途で賃貸するデメリット

上記のようなメリットがある一方、民泊用途で物件を賃貸する場合には気を付けなければならない点がいくつか存在します。

 

対応できる仲介業者・管理会社が限られる

民泊用に賃貸することを拒否する仲介業者や管理会社は多いです。基本的に住居用途のみを扱っている会社には断られる可能性が高いと思った方が良いでしょう。

彼らは民泊などの事業用途で賃貸する場合のノウハウを持っていないほか、普段あっせんしている保険会社や家賃保証会社の利用ができず、キックバックを受け取れない場合も多いからです(上限が定められている仲介手数料だけでは利益が出にくいので、キックバックも貰うなどして頑張らないと事業が成り立たないのです)

そのため、事前に民泊用途での賃貸にも対応してくれる会社を探す必要があるのは手間になってしまいます(0から見つけるのは何かと大変なので、当方にご相談頂ければお世話になっている仲介業者さんはご紹介できます)。

 

騒音、風評被害などの懸念がある

民泊といえばゲストに騒がれるイメージが付きまとう、という方もいるのではないでしょうか。実際のところ騒音のリスクは避けられないので、住宅密集地のアパートや古い木造戸建などの遮音性が低い建物の場合には、特に注意した方がいいポイントです。営業者だけでなく大家や管理会社にも苦情が来る可能性は十分あるので。

特に宿泊価格帯が低いほどゲストの質も悪くなる傾向にあるので(どの事業でもそうですね)、騒音リスクは上がります。物件の構造的に騒音リスクがそれほど高くなく、かつ高単価で民泊営業ができるようなファミリータイプの間取りであれば無難かと思います。

また、騒音だけじゃなく、民泊自体に悪いイメージを持っている一般住民は残念ながら多いです。そのため、民泊をやっている・民泊用途に貸しているというだけで苦情を受けたり、近隣住民の心証を害したりする可能性も0ではないため、特に閑静な住宅地や昔ながらの住民が多く住む地域では諸々のリスクが高くなります。

 

固定資産税・都市計画税が上がる

住宅用途での賃貸であれば、住宅用地の特例により、土地の固定資産税・都市計画税が安くなります。通常(1戸あたり200㎡以下の場合)は固定資産税1/6、都市計画税1/3減免と非常に大きなインパクトがありますが、民泊用途で賃貸した場合にはこの特例が適用されなくなる場合があります(行政判断)。

税額アップ分の負担は賃料等の条件に上乗せする形で賄うのが通常です。

 

消防設備などの投資が生じる可能性がある

民泊は消防法や建築基準法において、ホテル・旅館に準ずる用途扱いになるケースが多くあり、その場合、貸床面積や構造により異なりますが、消防設備や用途変更に伴う建築基準法適合のための改修工事が必要になります。

一般的に消防設備など専有部に関する改修はテナント負担とする契約が多いのですが、場合によっては民泊営業に必要な改修の中で、大家が費用を負担しなければならないケースも出てきます。

費用や工事内容は建物構造により大きく変わるため、事前にプロに見積もりを取ってもらう形が望ましいと言えます。

 

消防点検などの手間が発生する

上記のように、消防法においては、民泊営業のほとんどは旅館に準ずる用途に該当し、火災報知設備や誘導灯、非常用照明の設置義務が生じるほか、それらを含めた防災設備がきちんと機能しているかを定期的に確認し消防署へ報告する義務も生じます。

こちらも基本的にはテナント窓口で対応を行うことになりますが、場合により大家側に連絡が行ったり、対応が必要になったりします。年2回程度のため大きな負担にはなりませんが、管理会社とは事前に話をしておく必要があります。

 

民泊用途での賃貸をする際の始め方

民泊用に物件を賃貸しようと考える場合、まずは管理会社に相談が必要です。上記のように各種対応・対策が必要になるほか、管理会社で提携している保険や家賃保証サービスが使えず難色を示される可能性もあるからです。

住宅用途のみで賃貸していた場合と比べ、民泊テナントを入れた場合、大家と管理会社の手間は増大します。ゆえに、その手間をかけても収益向上メリットのほうが大きいことを説明し、一枚岩となって進める必要があるでしょう

なお、管理会社に任せていない物件を賃貸する場合は、民泊物件の賃貸に対応できる仲介業者に話を持ちかけましょう。民泊物件のポータルサイトから探すのが確実です。また当方からもご紹介できますので、気になる方はお問い合わせください。

その他、専用の契約書(特約事項)の作りこみや工事区分表の作成、不動産収支の確認といった作業も発生しますので、これらは税理士や弁護士の手を借りて進めましょう。

 

まとめ

住宅用途として賃貸していた物件を民泊用途でも賃貸することで、よりテナントの引き合いを強くできるほか、収益性を向上することも狙えます。一方でコストや手間が増大するほか、専門的な知識も必要になってくるため、事前によく調べておく必要があります。

私個人的には、住宅用途で賃貸するだけでは弱い築古の物件や、家賃30万円以上の高単価物件であれば、民泊物件として募集を出すことで収益性アップが期待できる一方、そうでなければリスクが高いので慎重に判断した方が良いと考えます。

民泊はコロナ禍で下火にありますが、来夏には東京オリンピック開催を目指す動きもあり、再びインバウンド観光の復調によって盛り返す期待があります。その際は需給バランスが大きく崩れている状態になるかと思いますので、高めの賃料でも成約する期待は持てます。

民泊賃貸にご興味のある方はご連絡ください。コンサルティングも承れるほか、条件が合えば弊社にてお借りします!